シミ
短いですが、読むと鬱っぽい気分になる恐れがあります。
読む際には注意してください。
地方都市でもない県の2番目に人口の多い市の駅前、ダンゴムシが並んだ道路を越えたところにある、2階建ての古いカフェの中。
小奇麗に取り繕おうともしていない。
知り合いで集まり、配慮を忘れ、入り浸っている老害。その中に赤ん坊を連れ、話の的となっている女。
絨毯には浅黒いシミ。
オレンジジュースに付着した水滴。
『汚らわしい』
己の前で親戚が話をしている。
横には意見を求められる兄、黙っていろと言われる妹、歩き回っている弟、狂気じみた母。
向かいには腰の曲がり切った父方の祖母、やせ細り目の周りをクマと爛れた皮膚に囲まれた父、千と○尋の神隠し冒頭の豚のような父の妹、何故か父方の祖父の弟。
笑える。
「春ちゃんはどう思う?」
来た。
「・・・」
「また後で訊くよ。」
目の前で繰り広げられる話し合いという名の報告会。
父の引き取り、借金、家の名義、逮捕、嫌味。
加速する叔父と父の妹の詰問、狂っていく母。
どうしてここに来たのかと嘲笑われる妹。
なにこれ。
「受験頑張ってね。」
笑顔の祖母と叔父。
「はい。」
この時間はあのシミと同じだ。
あの建物、潰れないかな。
読んでいただき、ありがとうございました。
こうした方がいいとか、分かりにくいところなどがあればコメントしてください。今後改善します。