半径二乗の原則
砲弾の容積というのは、
そのまま内容爆発物の量に関与するという事は言うまでもない。
その容積というのは、
砲弾を、円柱と円錐の合一した構造物として考えると、
その長さ及びその半径の二乗に正比例する。
これの意味するところは、少しの砲弾径の違いが、
大きな容積の差を引き起こすという事である。
例えば、五〇ミリメートルと一〇〇ミリメートル、
すなわち半径比が一対二の砲弾の場合、
砲弾長が同じだとしても、その容積比は一対四にもなる。
要するに、単純に炸薬量で言えば、
一〇〇ミリ砲弾一発は五〇ミリ砲弾四発に相当する。
もっと身近な砲を例に挙げるなら、
史実の五式十二糎七高角砲と九八式一〇糎高角砲を比較してみよう。
容積比は16129対10000、たった2.7センチの差が
その容積を1.6倍にもするのだ。
その差が砲弾の危害半径に与える影響は大きい。
故に帝国砲兵隊は先述の通り、陸上配備の高角砲を、
既存のものから三式十二糎高角砲・四式一〇糎高角砲・
五式十二糎七高角砲に漸次変えていく事は勿論、
それを上回る大口径の高角砲の開発を進めていた。
基本的には、以前から陸軍技術研究所火砲設計部が
口径一五センチメートル・有効射高一六〇〇〇メートルの
新型高射砲として、設計を昭和一九年四月一日に完成させ、
試作砲も既に製造されていたものをそのまま引き継いだ。
これに特殊砲弾用の設備を付け加え、
五式一五糎高角砲として、制式採用した。
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