相互補完
ここまでの説明だと、万能兵器のように思えるかも知れない。
だが考えてみてもらいたい。
ネ弾の一つ目の長所は、開放空間を前提としている。
すなわち、爆圧が直接人体に襲い掛かるのが前提条件なのだ。
ので、敵が気密容器の中に存在している場合、
被害はあまり与えられない。
戦車等、気密構造でも、移動速度が比較的遅い場合は
前述の様に、蒸し焼きになる場合もあるが、
時速数百キロメートルの航空機に対しては、
高温の空間をすぐ通り過ぎてしまうため、効果が薄い。
すなわち、爆圧・高熱により
航空機の搭乗員に被害を与えるには、
その航空機が気密空間でない必要がある。
もっとも、初期の航空機ではあるまいし、
高高度を飛行する航空機が気密構造でないはずがない。
どうすればいいのか。
答えは明快だ。その航空機に穴があいていればいい。
そう、風穴を開ければいい。
そこで登場するのが、零式榴散弾だ。
炸裂すれば、小型機ぐらいならそれだけで撃墜できるかもしれない。
ただ、防御の重厚なB29等は、
それ単体では撃墜までいかないだろう。
ただ、機体外皮に穴を穿つことは充分できる。
もうお分かりだろう。零式榴散弾の炸裂により敵航空機に損傷を与え、
そこにネ弾を打ち込み、敵航空機を撃墜する。
このような流れを想定しているのである。
三式焼夷榴散弾の方は、弾子に改良を施し、
護衛戦闘機等の小型機用とする。
黄燐の焼夷効果及びその瘴気を以て
敵航空機の戦闘性能の低下を誘発させようという狙いである。
まとめると以下の様になる。
敵爆撃機に対しては、零式榴散弾・ネ弾、
敵戦闘機に対しては、零式榴散弾・三式焼夷榴散弾を
それぞれ用いるという事である。
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