陸海軍の確執
敵爆撃機に対抗する手段は、本来二つある。
航空機による迎撃と、高射砲による対空砲火である。
しかし、現状では航空機による迎撃は、
全くと言っていいほど成果が上がらない。
このような状況に陥っては、高射砲による対空砲火に期待せざるを得ない。
が、その高射砲も十分に機能しているとは言い難い。
理由は、その砲弾の到達高度にある。
敵爆撃機の代表、B29の巡航高度はおよそ一〇〇〇〇メートル、
それに対して、陸軍の代表的高射砲である九九式八糎高射砲、
八八式七糎半野戦高射砲は「最大射高」が一〇〇〇〇メートル程
しかなく、実際に威力が望める「有効射高」はそれより低く、
B29に対して有効とは言い難かった。
最大射高一四〇〇〇メートル、有効射高一〇〇〇〇メートルと
B29に対抗できる性能を持つ三式十二糎高射砲もあるにはあったが、
いかんせんその数が圧倒的に少なく、戦力としては小さかった。
様々な資料で言及されているが、陸軍と海軍の仲は悪かった。
お互いに情報交換をせず、そのため全く同じエンジンのライセンスを
陸軍と海軍がそれぞれ別々に購入したほどである。
先の三式十二糎高射砲は海軍の四〇口径八九式十二糎七高角砲を模倣し
海軍の技術協力を経て完成したが、これはごくまれな例である。
そもそも、対航空機用の砲の名称ですら、陸軍では「高射砲」であり、
海軍では「高角砲」とそれぞれ異なる名前を使っていた。
陸海軍の確執、これも対空防御の上で大きな欠点であった。
対空砲火や迎撃の統制が取れないからである。
各々がそれぞれの判断で射撃していては有効な対空砲火にはならない。
砲火を集中し、濃密な弾幕を形成してこそ、
対空砲火の意味があるというものである。迎撃も同じだ。
この問題を解決するため、陸海軍はある重大な決断を下した。
昭和19年12月15日、この日を境として、
日本軍はその姿を大きく変える事となるのである。
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