硫黄島決戦 中 中
日本軍には、武器・弾薬の他にも深刻な欠乏状況にあるものがあった。
水である。
元来この硫黄島において、水というのは雨水だけであった。
やっとの思いで日本が掘った、島唯一の井戸も、
今はアメリカ軍に占領されてしまっている。
硫黄島は火山島であるが故に、地下壕の中は過酷な暑さである。
水不足というのは、この状況において致命的であった。
そのため何度も「水汲み決死隊」が編成され、水を汲みに行った。
しかし、必死に水を汲もうとする日本兵に対して、
アメリカ軍の攻撃は容赦しなかった。
その機関銃は片っ端からなぎ倒し、速射砲は体ごと吹き飛ばし、
火炎放射器は火だるまにし、戦車は蹂躙して踏み潰した。
あたりは、日本兵の四散した肉片、押しつぶされた死体、
炭と化した死体等で埋め尽くされた。
数え切れない程の機関銃・速射砲・戦車・
火炎放射器・迫撃砲等の強大な武器の前では、
コップ一杯の水でさえ、その何十倍もの血と引き換えであった。
戦時下、石油事情が非常に苦しかった日本では、
「ガソリン一滴血の一滴」という標語が唱えられたが、
この硫黄島では、「水の一滴人間一人」であった。
感想・評価
辛くても、それが支えになるので、
どうぞよろしくお願い致します。




