物言わぬ鉄塊
世界最大の戦艦として有名なのは
勿論大和型戦艦なのは言うまでもない。
だが、その先については知っている人は少ないだろう。
俗に、超大和型戦艦・改大和型戦艦と呼ばれるものである。
改大和型戦艦は大和型戦艦の過剰とも言える装甲を減らし、
その代わり艦底防御を、大和型戦艦の二重から、
三重へと強化し、高角砲は四〇口径八九式十二糎七高角砲から
秋月型駆逐艦にも搭載された
六五口径九八式一〇糎高角砲へと換装、
四六センチ主砲の口径を大和型戦艦の四五口径から
五〇口径へと延伸したものである。
超大和型戦艦は、高角砲を五式十二糎七高角砲
(史実で、四〇口径八九式十二糎七高角砲を長砲身化し、
昭和二十年、正式採用されたもの。)へと
換装し、主砲を、五〇口径五一センチ連装砲3基6門へと
強化したものである。
これらは第五次補充計画(マル五計画)によって計画され、
改大和型戦艦は第七九七号艦、超大和型戦艦は二隻有り、
第七九八号艦及び第七九九号艦と呼ばれた。
これら三隻の建造計画は戦局の変化により中止された。
戦艦よりも航空母艦の方が優先的に
造られる事になったためである。
以後、この計画が再開されることはなかった。
工廠の倉庫に鎮座している「それ」は異様な存在感をはなっていた。
「五〇口径五一センチ砲」、先述の戦艦に搭載されるために造られた
世界最大の艦砲である。もっとも、この砲が艦に乗ることはもうない。
いまは解体されるのを待つ、ただの鉄塊に過ぎない。
この砲が後に、米軍を恐怖に陥れることになるとは、
誰も想像しなかったであろう。
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