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激戦! 護国兵卒懸命録  作者: 骨折ギプス
本編?開始
15/35

青木の胸中 上

 今回の作戦にあたって、青木少佐は並々ならぬ思いを抱いていた。

それは、今年二月一八日の出来事に端を起している。


その日、いつになく青木は上機嫌であった。

久しぶりの休養日、

基地から数キロメートル離れた実家に帰れるからである。

と言っても青木の場合、その目的は両親というより、

むしろ従妹に会うためであった。

その従妹の父親が空襲で亡くなったため、

母と共に青木の家で一緒に暮らしているのである。

そして、何を隠そう青木は、

この年の離れた従妹を溺愛しているのである。

家にいるときは常にその周りをウロウロしていて、

やれ何か不自由はないか、欲しいものはないか、

食べたいものはないか、行きたいとこはないか、

何か手伝うことはないか、と従妹にべったりである。

周りもたしなめてはいるのだが、

いかんせん吾郎は馬耳東風である。

それにその従妹、橋本佳奈子も彼のことを憎からず思っているので、

最近は、周りもとやかく言わなくなった。

今回、吾郎は食べずにとっておいた航空糧食を

袋の中に沢山持ってきていた。

缶詰のパインアップルは佳奈子の好物であるから、

とりわけたくさん入っている。

彼は従妹の喜ぶ姿を思い浮かべながら、その頬を緩ませていた。


その時、あたりにけたたましいサイレンの音が鳴り響いた。

空襲警報である。

非番とはいえ、そんなものは当然関係ない。

吾郎は急いで基地へと駆けていった。

従妹に会うのは、しばらくおあずけである。

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辛くても、それが支えになるので、

どうぞよろしくお願い致します。

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