攻撃隊、発進!
作戦当日、二式飛行艇にはそれぞれ二五〇キロ爆弾八発が搭載され、
エンジンの暖気運転も終わり、
出撃の時を今か今かと待ちわびていた。
早朝、基地司令・林寛次郎大佐より搭乗員達に、訓示が下された。
「この戦局を打開するため、その身体を以て敵地に突撃し、
敵軍に打撃を与えんとする、勇敢な搭乗員達に、
謹んで特別の敬意を表す。
各員の勇戦奮闘により、赫々たる戦果を挙げることを期待す。」
それを聞く搭乗員の表情は凛々しく引き締まり、
そこには怯えなどは微塵も無い。
この作戦についての意気込みたるや、
気合が体からにじみ出ていると錯覚するくらいである。
この片道特攻隊は「神雷特別攻撃隊」と命名された。
二式飛行艇五機により編成される爆撃隊、
これを率いるのは、青木吾郎少佐である。
「この米本土爆撃作戦は、参加機数こそ少ないが、
その意義は非常に大である。
この戦争を一刻も早く終結させ、平和を取り戻すには、
我ら神雷部隊の成功が不可欠である。
この上は、各員その使命を十分に果たし、
奮迅の働きをする事を願っている。」
青木少佐のこの言葉に、
搭乗員達は天地を震わすような声で「応!!」と応えた。
機内に入り、計器を点検し、エンジンの出力を段々と上げていく。
滑走路の白い点線がやがて線になり、
そして、爆撃隊は空へと飛び立った。
地上では、整備員や他の隊員達が、
飛行機が彼方に見えなくなるまで、
腕がちぎれんばかりの勢いで、
帽子を振り、歓声をあげていた。
米本土爆撃作戦、いよいよ開始である。
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