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計画始動
爆撃の飛行コースとしては、カナダ上空を迂回し、
ハドソン湾よりニューヨークに侵入する経路を予定していた。
燃料消費を抑えるため、巡航高度は一〇〇〇〇メートルとされた。
西海岸の場合と異なり、大陸を横断する事になるため、
敵機の襲撃を受ける危険性が大である。
そのため、防弾処理を重厚にするとともに、
それによる速度低下を防ぎ、
更には速度向上を目指して、
エンジンを三菱「火星」(離昇出力一八五〇馬力)から
同じ三菱の「ハ-43」(離昇出力二二〇〇馬力)へと換装し、
高高度飛行のため、
一段二速の排気タービン式過給器が装備された。
これにより、高高度におけるエンジン出力低下は防がれ、
試験飛行時・高度一一〇〇〇メートルにおいて、
出力一七五〇馬力を記録した。
最高速度は「火星」時の時速四七〇キロメートルから、
時速五二〇キロメートルへと向上した。
作戦参加機数は五機、いよいよ前代未聞の、
片道特攻ではあるが、
米本土爆撃計画が始動しようとしていた。
作戦日時は、昭和二十年三月一二日とされた。
感想・評価
辛くても、それが支えになるので、
どうぞよろしくお願い致します。