一応の成功
ルメイの考えた隊形は次の通りである。
全体の機数を一〇〇パーセントとして、
高度八〇〇〇メートルに一〇パーセント、
一〇〇〇〇メートルに二〇パーセント、
一二〇〇〇メートルに三〇パーセント。
一一〇〇〇メートルに三〇パーセント、
一一五〇〇メートルに一〇パーセント。
八〇〇〇メートルの部隊は先頭、
後方10キロメートルに一〇〇〇〇メートルの部隊。
その後方15キロメートルごとに
一一〇〇〇メートルの部隊、一一五〇〇メートルの部隊、
一二〇〇〇メートルの部隊、と続くのである。
証言によると火球の直径は
一〇〇乃至二〇〇メートル程らしい。
この隊形なら集中被害なく、
無事に爆撃を敢行できるだろうと、ルメイは目論んだ。
実際、ルメイのこの案はある程度の成功を収めた。
日本軍の対空砲火は
八〇〇〇メートルから一〇〇〇〇メートルの間に集中し、
さらなる高高度を飛行していたB29の編隊には
、それほど被害はなかった。
想定外だったことといえば、
集中砲火を受けた八〇〇〇メートルの部隊は、
その八割が撃墜され、一〇〇〇〇メートルの部隊は、
実にその四割強が撃墜された事だろう。
集中砲火を受け、
ある程度は撃墜されるだろうと思っていたが、
これ程までとは考えていなかった。
それでも一応の成功にルメイの溜飲は少し下がった。
その夜、久しぶりに参謀達はぐっすり眠る事が出来たという。
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