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クエストをはじめます

駄文です

それからは、興奮しっぱなしだった。

ためしにゴーグルをあてがったり、一緒に入っていた説明書を熟読したりと。

そして、そのときがやって来た。

両親は旅行で帰ってこないためのんびりできる。

自分の部屋に入ると準備に取りかかる。説明書通りにゴーグル型のゲーム端末に付属部品を取り付けると頭にはめる。


「ちょっと、キツイかな?」


ゴーグルにはベルトがついており。それを後頭部にまわし、留め金をとめるにはぎゅっと締め付ける必要があった。

だが、そうするとゴーグルと顔には隙間がなくなり、ぼくは圧迫感を覚えた。


(はずれないようにするためとはいえ、ちょっと痛いな)


そして、最後に耳の辺りある起動ボタンを押した。

すると、暗闇だった視界にウサギをモチーフにした女の子が現れた。ウサ耳が特徴の可愛らしい美少女だ。

ヘッドホンから、女の子の声が聞こえてきた。


『私は、この度ナビゲーターを勤めさしていただく、ナビィといいます。私の姿が正しく見えるのならば、ご返事を』


「えっ、あ、ああ」


可愛らしい外見とは裏腹な機械的な声に軽くどもりながらも答える。


『では次に、リンクシステムを起動します。リンクは一瞬ですので』


ナビィがそう言った瞬間。世界は白い世界に包まれ―――気付けば、青色の空間に自らのアバターの姿で立っていた。


『ようこそ、電脳空間へ。ゲームの中では、わたしがナビゲートを担当します。何か質問があるときは、何時でも答えます。それでは、この世界での動き方を練習してみます。』


僕のまわりに、突然壁がいくつもそびえ立ち、道ができた。


『チュートリアルを始めます。まず、この道を進んでください。脳波を感知して動くので歩くイメージをすれば、その通りに歩きます。』


いわれた通りにイメージしてみる。

すると、僕の体はイメージ通りに動き始めた。

不思議な感覚だった。現実世界の僕はただ椅子に座ってるだけなのに、僕は間違いなく歩いているのだ。歩くたびに体に振動が走り、耳からは足音まで聞こえてくる。


『次は、走ってみてください。』


タタタ。


顔を風が撫でる感触までリアルに感じる。

足音と共に、僕はあっという間に、行き止まりたどり着いた。


『基本的な動作は分かりましたか?この世界では基本的にイメージ通りに動きます。』


『それではクエストを開始します』


「えっ、もう?」


いくらなんでも、短すぎだろうと思う。


『このゲームは操作の単純さが売りの一つですから』


まあ、たしかに考えただけで動くのだからこれほど単純なゲームもないだろう。


『納得していただけましたか?では開始ステージへどうぞ』


その声と共に、猛スピードで迫ってきたドアに吸い込まれたかと思うと、気付けばゲタ箱にいた。

いくつもあるゲタ箱には、スニーカーなどが入っていた。大きさからして中学校だろうか。

あまりの精巧さに呆れていると、怒鳴り声が聞こえてきた。


「もうちょっと、丁寧に出来ないのか!!」


僕は、声のした方向へと行った。後ろからは、ふわふわとナビィもついてきた。

目の前に現れたのは、大柄のロボットだった。

しかも鉄人28号みたいな、武骨なロボットだ。

僕は彼を知っていた。


「あれ?コータじゃん」


「ん?お前……アキラか?」


僕と同じく『マーシャルアーツ』のトップランカーで珍しいロボット型のアバターを使うプレイヤーである。

プライベートもメールをやり取りする仲なのだ。


「キミにも来たの?」


「おうよ、他にも呼ばれてるみたいだぜ?」


コータが顎でしゃくるとそこには二人のアバターがいた。

一人はメイド型のアバターだ。銀色の髪を揺らしながら壁にもたれている。もう一人はガンマンだ西部劇に出てくるような格好をした女の子のアバターだ。


「えっと、キミたちは?」


「わたしは雷光のミリィ。ミリィと呼べ。これでもスレイヤーズのトップランカーなんだぜ。こいつはアイシス。わたしとバディを組んでるんだ」


ガンマン風のアバター――ミリィが楽しげに妙なポーズをとりながら喋り出す。(ちなみにスレイヤーズとはマーシャルアーツと人気を二分するゲームで、チームを組んで戦うシューティングゲームだ)


ミリィに紹介されたアイシスは軽く会釈しただけでぷいとそっぽを向いてしまった。

何か気を悪くするようなことをしたか?とミリィに尋ねるが、どうやらアイシスが無口なのは何時ものことで戦闘中のチャットも最低限らしい。

とりあえず、四人が揃ったのでナビィに話しかける。


「四人でやるのか?」


『いえ、あと一人来たらクエストを開始します』


「あと一人?」


するとタタタッと足音が聞こえてきたかと思うと、声が響いてきた。


「お〜い、お〜い、まってくれ〜」


走ってきたのはメガネをかけた魔法使いのアバターだ。


「あれって、魔界大戦の黒魔術師の格好じゃね?」


そうコータが言う。

おそらく、その通りだろう。魔界大戦、これも大人気のオンラインゲームで経験値や道具を錬成することにより強くなるやり込み型のゲームである。


「ぼ、ぼくも呼ばれました」


軽く息を切らしながらたどり着く。(ゲームの世界なのに何故息を切らすのだろうか?)


『これで五人が揃いました。それではクエストを開始します』


ナビィが言った瞬間、虚空から扉現れ、僕たちを吸い込んでいった。



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