招待状
長い目で見てください
モニター内の電脳空間で、一昔前の戦隊ヒーロー物のリーダーのような赤を基調としたアバターが縦横無尽に飛び回る。
相手は甲冑姿の鎧武者だ。
禍々しい妖刀を抜き放ち、素早く突っ込んで来た。
閃光が走る。
あまりに速すぎる刀さばきが、ヒーローを追い詰めていく。
ヒーローは、ギリギリのところで身を引き攻撃を避け、壁を蹴って跳躍し鎧武者の背後を取り、裏拳叩き込んだ。
鎧武者の面は割れ、兜はひしゃげ膝を落とす。そこに流れるような回し蹴り叩き込まれ、鎧武者はぶっ飛び。
そして―――
『YOU.WIN』
―――という文字がモニターに表れた。
『マーシャルアーツ』それがアキラが行っているゲームの名称であった。
限られたエリアを自信のアバターで三次元フルに使って戦わせるバトルゲームだ。数あるANG社のオンラインゲームの中でもその単純さから高い人気を誇っており、アキラのアバターはその中でもトップランカーであった。
「じゃあ、今日の相手は……っと」
アキラは『マーシャルアーツ』に嵌まり、暇さえあれば相手を探す日々だった。
そんなある日のことだった。
謎の小包が届いてきたのは――――
「なんだよ、これ?」
送り主は、「ANG社」だ。俺は首を捻りながらも封をといた。
中に入ってるものが目に飛び込んできた。そのとたん、俺は声をあげずにはいられなかった。
「うわ。これって、すごい」
そこには、ゴーグル型の端末機械とその付属部品があった。
俺は、これをあるゲームフェアで見たことがあった。
ANG社の最新型のゲーム端末で、このゴーグル型のゲーム端末を頭にはめることで、意識を電脳空間にリンクさせることができ、文字通りゲームの世界に入ることが出来るのだ。
今までのゲームの根幹を揺るがすほどの世紀の大発明だといわれている。
ただ、まだこれは試作段階で実用段階ではないという話だったが……
「完成してたのか……」
送られてきたゴーグル型のゲーム端末は、フェアで見たものとは違いゴテゴテしておらず小型化され、小型マイク付きヘッドホンとセットになっていた。その一式はヘッドギアのように頭にはめる形になっている。
しげしげとゴーグル型のゲーム端末を手に取ると、ヒラリと手紙が舞い降りた。
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おめでとうございます!
あなたはその卓越したゲームの腕を認められ、モニターに選ばれました。
ぜひ、世界初の電脳空間でのゲームをご体験ください。
ただし、これは特別に選ばれた人のみの体験版ですので、ぜひとも御内密にお願いします。
次の日時にゴーグル型のゲーム端末を頭部にはめて待機していてください。
○月×日 12時00分
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俺は思わず、声をあげた。
「今日じゃん」
批判は受け付けます
どしどし、どうぞ