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Project Billion ―運命を書き換えるカード―  作者: mr.iwasi


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科学者の弟の闇(第八話)

謎の新型ウイルスが、世界に静かに広がり始めていた。


原因不明、治療法不明。


それでも人々は、まだ「日常」を手放していない。


中学生・玉木隼人は、


誰にも知られない形でその裏側と戦っていた。


ウイルスの正体、そして人を“変えてしまう病”の存在を。




そんな彼の前に現れたのは、転校生の少女・小瀬栞。


どこか不自然な言動、


時折見せる“何かを知っているような視線”。


感染が拡大する中、


人々を救おうとする者たちの正義は、次第に歪み始める。




「全員は救えない」


「選別は必要だ」




現実を受け入れる者と、


それでも希望を捨てない者。




選択の先で、


玉木は多くを失い、


それでも戦う理由を問い続けることになる。




やがて世界は、


人の手では止められない局面へと踏み込んでいく。




それでも――


誰かが選ばなければならなかった。




この世界を、


壊すか。


作り変えるか。




そして、


すべてが終わったあとに残るのは――


平和な日常と、


ひとりの少女の、静かな微笑み。

 夜の研究区画は、昼よりも静かだった。


 機械音だけが、規則正しく響いている。


 後藤孝太朗は、モニターの前に立ち尽くしていた。


 表示されているのは、

 覚醒病感染者の推移グラフ。


 右肩上がり。

 緩やかで、確実な破滅。


「……減らないな」


 独り言のように呟く。


 治療。

 抑制。

 一時的な回復。


 どれも“延命”でしかない。


 救っているつもりで、

 ただ、終わりを先延ばしにしているだけ。


「……兄さんは、正しかったのかもしれない」


 その時。


 背後で、足音が止まった。


「後藤」


 振り返る。


 そこに立っていたのは、玉木隼人だった。


「話がある」


 短い言葉。

 だが、その目は真剣だった。


「……今は忙しい」


「今じゃなきゃ駄目なんだ」


 沈黙。


 後藤は、小さく息を吐いて椅子に腰を下ろした。


「で、何だ」


 玉木は、一歩踏み出す。


「最近の行動……おかしい」


「感染者を、

 “治す対象”じゃなく

 “素材”みたいに見てる」


 後藤の表情が、わずかに歪んだ。


「……見てたのか」


「見たくて見たんじゃない」


 玉木は、拳を握る。


「人は道具じゃない」


「――それで?」


 後藤は、静かに立ち上がった。


「それで、何人救えた?」


 空気が、張りつめる。


「君は戦ってる。

 命を懸けてる。

 それは認める」


 後藤は、玉木の目を真っ直ぐ見据えた。


「でもね、玉木さん」


 声が、低くなる。


「あなたは

 希望という馬鹿みたいなものを

 本気で信じてるんだろ?」


 玉木は、言葉を失った。


「必ず救える」

「誰も犠牲にしない」

「未来は変えられる」


 後藤は、笑った。


 それは、

 かつての優しい笑顔じゃない。


「そんなもの、

 現実を見てない人間の特権だ」


「後藤……」


「違うか?」


 後藤は、端末を操作する。


 映し出される、死亡者数。


「君が一人守る間に、

 何百人が壊れていく」


「それでも“諦めない”?

 それでも“希望”? 」


 声が、荒くなる。


「君の正義は、

 誰かを見捨てて成り立ってるんだよ!」


 玉木は、ゆっくりと首を振った。


「……違う」


「何が違う!」


「俺は、

 見捨てる選択をしない」


 静かな声。


 だが、揺れていない。


「全部救えないかもしれない」


「でも、

 救おうとすることだけは、

 やめちゃいけない」


 後藤は、しばらく黙っていた。


 そして――

 決定的な一言を放つ。


「――だから君は、

 何も変えられない」


 引き出しを開け、

 一枚のカードを取り出す。


 プロトカード。


「後藤……それは」


「もう、戻らない」


 後藤は、カードを見つめた。


「綺麗事で滅ぶくらいなら、

 俺は汚れてでも進む」


 視線が、玉木に戻る。


「君は、

 希望を信じ続ければいい」


「俺は、

 現実を終わらせる」


 カードが、淡く光る。


 玉木は、一歩前に出ようとして――

 止まった。


 後藤の目に、

 もう“迷い”がなかったから。


「……後藤」


 名前を呼ぶ。


 だが、もう届かない。


 後藤孝太朗は、背を向けた。


「次に会う時は、

 きっと敵だ」


 その言葉を残して。


 廊下に一人残された玉木は、

 しばらく動けなかった。


(……救えなかった)


 初めて、

 “仲間を失う予感”が胸を締めつける。


 その時。


 カチリ。


 微かに、音がした。


 振り返るが、誰もいない。


 それでも、確かに感じた。


 ――まだ、終わっていない。


 玉木は、拳を握りしめた。


 次は、

 戦うしかない。

そう決めた玉木は、必死に戦った。

そして...融合係数100を超えた玉木は、レッドドラグーン融合体となり、

後藤と戦うことを決心した。

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