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Project Billion ―運命を書き換えるカード―  作者: mr.iwasi


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覚悟(第十一話)

謎の新型ウイルスが、世界に静かに広がり始めていた。


原因不明、治療法不明。


それでも人々は、まだ「日常」を手放していない。


中学生・玉木隼人は、


誰にも知られない形でその裏側と戦っていた。


ウイルスの正体、そして人を“変えてしまう病”の存在を。




そんな彼の前に現れたのは、転校生の少女・小瀬栞。


どこか不自然な言動、


時折見せる“何かを知っているような視線”。






感染が拡大する中、


人々を救おうとする者たちの正義は、次第に歪み始める。




「全員は救えない」


「選別は必要だ」




現実を受け入れる者と、


それでも希望を捨てない者。




選択の先で、


玉木は多くを失い、


それでも戦う理由を問い続けることになる。




やがて世界は、


人の手では止められない局面へと踏み込んでいく。




それでも――


誰かが選ばなければならなかった。




この世界を、


壊すか。


作り変えるか。




そして、


すべてが終わったあとに残るのは――


平和な日常と、


ひとりの少女の、静かな微笑み。

夜明け前の研究施設は、

 静かすぎた。


 後藤孝太朗は、

 通信端末の画面を見つめたまま、

 動けずにいた。


 そこに表示されている名前。


 浅倉ひより。


 ――死亡。


 簡潔すぎる文字。


「……そうか」


 それだけ言って、

 後藤は端末を伏せた。


 怒りは、なかった。

 涙も、出なかった。


 胸の奥にあったのは、

 はっきりとした後悔だけだった。


(俺は……遅れた)


 もし、

 昨日の夜に、

 もっと早く動いていれば。


 もし、

 人のまま戦う覚悟を、

 もっと早く決めていれば。


「……玉木さん」


 名前を呼ぶ。


 そこにいないと分かっていても。


「君は、

 間に合わなかった自分を、

 責めるだろうな」


 後藤は、静かに立ち上がった。


 研究室の奥。

 厳重に封印されたケースがある。


 プロトカード。


 自分が、

 二度と使わないと決めていたもの。


「……これを使えば、

 戻れない」


 分かっている。


 だが。


「それでも、

 やらなきゃならないことがある」


 ケースを開ける。


 カードは、

 まるで答えるように、

 淡く光った。


 その瞬間。


 空間が、歪む。


「――ようやく、来たか」


 低く、歪んだ声。


 闇の中から現れたのは、

 アダバイス。


「人が、

 ここまで絶望すると

 実に美しい」


 後藤は、一歩も退かない。


「……お前のせいで、

 人が死んだ」


「違う」


 アダバイスは、笑った。


「人は、

 もともと壊れやすいだけだ」


 後藤は、カードを握りしめる。


「俺は、

 守れなかった」


「だから――」


 視線が、真っ直ぐになる。


「今度は、止める」


「ほう?」


 アダバイスが、首を傾げる。


「お前は、

 融合しないと決めた人間だろう?」


「――ああ」


 後藤は、はっきりと答えた。


「これは、

 例外だ」


 カードを掲げる。


「人類を救うために」


「そして、

 自分の過ちを正すために」


 起動音が鳴る。


 研究施設が、

 激しく揺れた。


「融合開始」


 光が、後藤を包む。


 それは、

 玉木の融合とは違う。


 荒く、

 危険で、

 戻る余地のない光。


「……なるほど」


 アダバイスが、低く唸る。


「命を賭けるか」


 次の瞬間。


 二つの力が、正面から衝突した。


 爆音。


 だが、

 長くは続かなかった。


 後藤の融合体は、

 明らかに不安定だった。


「……これで、いい」


 後藤は、

 アダバイスを押さえ込みながら、

 小さく呟く。


「俺は、

 英雄じゃない」


「……ただの、

 間に合わなかった人間だ」


 アダバイスが、

 苦しそうに歪む。


「貴様……!」


「悪ぃな」


 後藤は、

 最後に、空を見た。


 そこに、

 ひよりの姿はなかった。


 だが――

 確かに、思い出があった。


「玉木」


 声は、もう届かない。


「……そして、ありがとう」


そう言って、二人は爆散してしまった。

そこには、後藤のプロトカードだけが残っていた。


 次の瞬間。


 アダバイスがカードに包まれる。


...後藤龍馬だ。

彼は最初からコレを狙っていたのだ。



龍馬はアダバイスと融合を始める。


...世界の終わりは近い。



ご閲覧、ありがとうございます。

次回でラストになります。

次回も見て下さると、幸いです。

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