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通信輻輳

作者: 尚文産商堂

何も連絡がこない。

携帯電話として使っているスマートフォンはただの電波を垂れ流している文鎮と化している。

なにせ1時間ぐらい前から始まった通信障害の影響で、何も情報が手に入らなくなってしまっている。


と思っていたのが始まった直後。

今自分がいるところが運がいいことに手野グループの、それも手野通信の会社の中だ。

正確を期するためにいっておくと、手野通信の本社ではなく、手野通信の子会社である手野移動通信、つまり携帯電話の会社だ。

機種変更のためにきていたらそんなことに巻き込まれたというわけだ。


おかげで何が起こったかということについてはだいたい流れがわかるようになった。

敵国の攻撃だ、とか何かのテロ攻撃だ、といううわさもあるような気がするが、実際のところは通信の異常輻輳らしい。

なんだそれだけか、とも思ってしまったが、客としては単純に迷惑だなと思うぐらいに過ぎなかった。


この通信障害がおさまったのは、結局さらに12時間を要することとなった。

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