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プロローグ
――オメデトウゴザイマス。
アナタハ、スキル“行きし者”ヲ取得シマシタ。同位座標ニ接続、転移完了。
頭の奥底で、聞き慣れない声が響いた。人の温もりを感じさせない、硬い音が。
反射的に身構える。足元で、ギシリと床が軋んだ。
視線を上げると、見知らぬ天井が目に入る。壁は薄い紙のようで、木の骨組みが規則正しく走っている。狭い通路は薄暗く静まり返り、息苦しさを覚えた。
奇妙だ。
一体ここは、なんなのだろう。
――続ケテ、“運命調律”ガ開始サレマス。
コチラニハ、変更オヨビ停止ノ権限ガ、アリマセン。シバラクオ待チクダサイ。
その言葉の意味を理解する暇もなく、何かが流れ込んできた。
視界が揺れ、耳鳴りがする。押し寄せるのは光でも音でもない。情報だ。
知らぬ地の名、奇妙な道具の使い方、覚えのない所作。そういったものが次々と自分の中に流れてくる。
呼吸を整え、ゆっくりと目を開けた。
まだ状況は分からない。だが、ひとつだけ確信できた。
――調律完了。ソレデハ、ヨイ旅ヲ。
ここは、自分のいた世界ではない。




