表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/15

LUCKY=SMITH

酒場の喧騒の中、ライオはカウンター席で妙齢の女性とグラスを傾けていた。笑顔で冗談を飛ばし、まるで自分が世界一幸せな男であるかのように振る舞っている。


その光景に、奥の席から冷たい声が飛ぶ。


「ライオ様?私がいるのに、そのようなお方と楽しんでいらっしゃるのですか?」


声の主はセリナ・フォン=エルトハルト。上流階級の血を引く魔術の天才で、どこか不器用な愛情をライオに向け続けている。

(セリナ:貴族の魔術天才お嬢様。家族想いで、ライオの真っ直ぐさに惹かれているが、不器用でツン寄り。)


ライオはグラスを置き、ニコッと笑いながら言い訳を始める。


「いやいやセリナさん、誤解誤解。これはあれ、情報収集。冒険者としての、ね?」


(ライオ:貧農出身の超運だけで生き残る冒険者。口八丁、心根は家族想い。自覚ゼロの幸運体質。)


その横から低く重たい声が響く。


「まったく、なぜこのような男にお嬢様は……」


現れたのはクラウス。セリナに付き従う重騎士であり執事。ライオの軽薄さに眉をひそめるが、そのたびにお嬢様の笑顔を見て溜め息をつく。

(クラウス:元騎士の重装備護衛執事。セリナの忠臣であり保護者。ライオには苦言を呈しがち。)


すると酒場の一角から、ヒラヒラと手を振る人物が近づいてきた。


「ちょっとォ~、アタシもいるのにぃ? まーた可愛い女の子に鼻の下のばしてぇ♥」


その妖艶な声と派手な身振りの正体は、アルメス。神に見放された元神官にして、いまや神を超えて愛を語るオカマの癒し手。

(アルメス:男。神に見放された元神官。オネエ口調で誰にでも絡むが、実は深い慈愛を持つ。ライオの運を「天啓」だと信じている。)


「ちょっ…アルメスさん、これはその、信仰的な…意味での交わりで…!」


必死にごまかすライオに、さらに追い打ちをかけるように、落ち着いた声が酒の香りと共に響いた。


「くくっ。ほんとに飽きないね、君は。」


グラスを片手に現れたのは、メイベル。軽やかに物語を紡ぐ吟遊詩人。ライオの無自覚なドタバタを曲にして売るのが最近のマイブームらしい。

(メイベル:女。吟遊詩人でありバイセク。物事を俯瞰で見るクールさと、好奇心旺盛な遊び心を併せ持つ。)


ライオは全方向からの視線にタジタジになりながらも、グラスをくるりと回し、少し照れくさそうに言った。


「ま、俺ってば運が良すぎるんだよ。モテるってつらいなぁ~、はははっ!」


全員:「……」


沈黙のあと、メイベルが笑い、アルメスがニヤリとウィンクし、セリナがふてくされたように視線を逸らす。そしてクラウスは、天井を見上げて深く深く息を吐いた。


そして——


これがDランク冒険者パーティ『ラッキースミス』だ。


トラブル率:高め。

成功率:謎に高め。

好感度:なぜか上がる。

英雄になる気ゼロ。


だが運命だけは、彼らを放っておかない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ