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第4話 黙示録の日

 怪獣の吐く炎に包まれる、巨人型戦車セイビア。


「大丈夫?」


 と、通信機から三石美聖みついしみさとの声。


「平気です」


 絵葉えばリリスは答えたが、セイビアは、地面に片膝を付いたままだ。


「砲を撃って」


 リリスの指示で、砲手の僕はセイビアの右肩に搭載された大砲を発射したが、


 ドゴオォォーン!


 その反動で、セイビアは後ろに転がり、砲弾も巨大怪獣から、大きく外れた。


 バゴオォォーン!


 郊外の町に砲弾が着弾する。その町は、


 ゴオオォォォーッ

 

 紅蓮の炎を上げて、瞬く間に燃え上がった。地獄の業火のようだ。


 それでもリリスは、セイビアを立ち上がらせて、


「もう、一回、お願い」


 と、言ったが、巨大怪獣に飛びかかられる方が、早かった。


 ドスーン。


 巨大怪獣に押し倒されるセイビア。


「い、嫌アッ」


 リリスは何とか、巨大怪獣を押しのけたが、まだセイビアは地面に寝転んだままだ。


「リリスさん。立たせて下さい」

「わかってるわ。今、するから」


 リリスはセイビアを立たせ、僕は砲の標準をターゲットの巨大怪獣に合わせる。


「今よ。撃って」


 リリスは言ったが、装弾不良を起こしたようだ。


「上手く、入っていません」


 僕は、そう言いながら、装填レバーを手動操作で、ガチャガチャと動かし、砲弾を送る。


「入れて、早く入れてよ」

「い、今、入れますから」


 ガチャリと装填が完了して、


「行きますよ!」

「いって、早く」


 ドゴオォォーン!


 二発目。しかし、砲弾は巨大怪獣の右へと反れる。


 バゴオオォォォーン!


 今度は高速道路を、なぎ倒す砲弾。


「照準が、ズレています」

「どうすれば、いいの?」


 そこへ、通信機から美聖の声。


「密着して、やるしかないわ」

「りょ、了解。やってみます」


 リリスは、そう応答して、果敢に巨大怪獣に接近したが、至近距離から、


 ゴゴオオォォォォッ。


 巨大怪獣に炎を吹きかけられ、悲鳴をあげる。


「ひぃっ、熱い、熱いッ」

「うおっ、あっ、熱いっ」


 僕も砲座に伝わる熱で、唸り声を漏らしてしまい、


 セイビアは、後ろへと下がる。


「後ろはダメ。前よ、前」


 美聖も必死な声を出し、ナビゲーションする。


 次の瞬間、セイビアのブルーツゥースが異常な反応を起こして、僕の全身が強く痺れた。


「ゔゔゔっ、何だ、この感じは」

「わ、私も感じる。す、凄い!」


 リリスも、この痺れは感じているようだ。


「ううッ、神経が、ぶっ飛びそうだ」

「私も、ああっ、ああぁ、飛びそう」

「どうしたの、あたなたち。大丈夫」

「ダメッ、私、飛ぶ、飛ぶうぅーっ」


 リリスが絶叫した時、セイビアは勝手に動き、砲弾を発射した。


 ドゴオォォーン!


 砲弾は巨大怪獣に直撃したようだ。


 バッゴゴゴゴゴオオォォォォーン!


 大爆発する巨大怪獣。



 こうして巨大怪獣を殲滅して、全人類の危機は過ぎ去った。


 見事に巨大怪獣を倒した僕は、無事に家に帰る。両親は歓喜して、


「本当に良かった。母さんは心配で」

「お前は強い。父さんは誇らしいよ」


 その後、僕は普通の中学生となり、平凡な日常を送っている。そして、あの黙示録の日は、思い出となった。

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