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第1話 春の日の黙示録

 20XX年。春。その日の昼下がり、巨大な怪獣が海から上陸してきた。


 この時、僕は小学校を卒業したばかりで、春休みが終われば、中学校に入学する予定だったが、


 テレビのニュースでは、緊急事態を告げている。


「巨大怪獣は、原子力発電所に向かって進んでいます。近隣の住民の方は、今すぐ避難してください!」


 くり返し報じていたが、結局、原子力発電所は巨大怪獣により破壊され、大爆発を起こす。


 これで放射能汚染により、国土の半分は人が住めなくなるのだろう。


 

 その日の昼下がり、玄関のチャイムが鳴った。国防省の職員が、僕を迎えに来たのだ。


 実は僕は、全地球規模の適性検査に合格していて、対怪獣超兵器の砲手に選ばれていた。


 僕を迎えに来た職員は二十代後半の綺麗な女性で、僕は少し驚く。


 そんな僕を玄関先に送り出した両親は、


「頑張ってね。でも必ず生きて帰って来て。無理はしないように」


 と、母は泣きながら僕を見送る。父は涙は見せないものの、その鎮痛な表情が、すべてを物語っていた。


 そして、僕を迎えにきた国防省の女性職員は、深々とお辞儀をして、


「私は、国防参謀本部の三石美聖みついしみさとと申します。この度は、大切な御子息様ではありますが、この国のため、いえ、全人類のために、お預かりさせて頂きます」


 と、僕を車に乗せる。その車は国旗を付けた黒塗りの公用車だった。


「まるで、総理大臣みたいだな」

「今の君は、総理以上の存在よ」


 そう言いながら、美聖は車を走らせ、約一時間で国防省に到着する。


 その入口では銃を持った衛兵が、僕の姿を見て、直立不動の姿勢になり、


「ご苦労さまです!」


 と、大声で敬礼され、僕は困惑しつつも、美聖の引率で国防省の地下の機密エリアへと進む、


 

 その機密エリアには、大勢の大人たちがいたが、その中に、なんと、アイドル歌手の絵葉えばリリスの姿があった。


「あ、あの人は!」


 驚く僕に、美聖は、


「絵葉リリスさんも、あなたと同じよ。適性検査に合格したの」


 そのリリスが、僕に歩み寄ってきて、


「あなたが砲手になる人ね。私は操縦手。これからは相棒よ。よろしく」


 と、握手を求めてきた。僕は、この瞬間だけは、まるで夢見心地になる。


 絵葉リリスは、歌ダ41という、アイドルグループを卒業して、ソロ活動を始めたばかりだ。確か年齢は十六歳。


 僕は絵葉リリスの大ファンだった。


「あのう、ネオ・ドームの卒業コンサートの生配信を、僕は観ました」


 思わず、握手をしたまま言った僕に、リリスは微笑みかけ、


「本当に。ありがとう。嬉しい」


 と、言ったが、それを見ている美聖は、厳しい声で、


「嬉しいのは、わかるけど、いい加減、その手を離しなさい」


 いつまでも握手をしている僕を注意すると、その後、三人で格納庫に進む。


 そこには巨大な人型の兵器が直立していた。全長は四十メートルほどか。全体的に紺色に塗装され、その右肩には巨大な大砲が備わっている。


 僕は、その姿に圧倒された。その傍らで美聖は、視線を超兵器に向けたまま、


「これが対怪獣超兵器・巨人型戦車セイビアよ。二人とも、服を脱いで全裸になって」


「えっ?」


 戸惑う僕に、美聖は、


「何を恥ずかしがっているの。神経系統のブルーツゥースのチェックのためには衣服は邪魔なのよ」


 その言葉の終わらないうちに、絵葉リリスは、僕の目の前で服を脱ぎ始めた。

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