表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

35/62

第35話



 結局、ダイアンとティオーナから有効なアイディアは得られず、ロージスはぶちぶちぼやきながら街中を歩いた。


「あいつら、途中から新作スイーツの話ばっかりしていて、俺の悩みを聞いていなかっただろう。まったく」


 ロージスがこんなにも頑張っているのだから、もう少し親身になってくれてもいいではないか。


「まあでも、あのふたりではハリィメルの心を動かす方法なんてわかるわけないか。ハリィメルの一番近くにいるのは俺なんだからな」


 ひとりで歩きながら得意げに胸を張るロージスを、通行人が不気味そうに避けて通り過ぎる。

 学校でのハリィメルはほとんど誰とも話さない。最初は無視されまくったとはいえ、今となってはハリィメルと最も会話をしているのはロージスだ。学校で一番ハリィメルと親しいと言えるだろう。


「いやいや。そもそも俺とハリィメルは『交際中』なんだった」


 交際を申し込んで了承され、別れていないのだから、自分達は間違いなく恋人同士だ。

 放課後は一緒に勉強して、帰りは家まで送っている。誰に聞いたって「恋人だ」と認められるだろう。


 そうとも。恋人なのだから、休暇中にデートに誘うのも当然だ。もっと強気に行こう。


「よし! 帰る前に、この辺にいい店がないかちょっと見てみるか」


 ハリィメルを誘うための下見だと、ロージスは周囲の店を眺めて回ることにした。若者に人気そうな店がいいだろう。だが、あまりに混んでいては落ち着かないし、ハリィメルも嫌がりそうだ。


「お。あの店は良さそうだな。雰囲気がいいし、若い女性客が多いみたいだ。人気のメニューでもあるのかな」


 一軒のカフェに目をつけたロージスは近くに寄ってみようとそちらへ足を向けた。

窓辺に座っている客の姿が見える距離まで近づいたところで、ロージスは足を止めた。

 よく見知った人物の、見知らぬ姿がそこにあった。


 ワンピース姿で頬を染め微笑みを浮かべ、知らない男と向かい合うハリィメルを目にしたロージスは、凍りついたようにその場に立ち尽くしたのだった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] やったー脳破壊だー! メンタル破壊されたあとに再生したロージスに期待!
[良い点] テカテカしてきたー!!!
[一言] 見たかぁ〜遭遇するだろうなとワクワクしてたけど、固まるパターンなのね!次の話ワクワク(((o(*゜▽゜*)o)))
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ