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5話

日間ランキング1位を取ることが出来ました!

ありがとうございます(●´ω`●)

 しかし厚い雲にすぐに青空は見えなくなる。ただ、外のざわめきはまだ続いていた。


アズール様は慌てて視線を私へと戻すと言った。


「すみません。我が国には珍しいことなので……。話を戻しますが、本当にいいのですか?貴方のように美しい女性であれば、嫁ぎ先などいくらでもあるのでは?」


 その問いかけに私は笑顔で返した。


「私のご事情は父から手紙で知らせてあったと思いますが。それに、ここに嫁ぎたかったのです。それにシュルトン王国としてもリベラ王国との繋がりが婚姻にて深まり良いのではないでしょうか? 我が父は私のことをとても大切に思っておりますし、シュルトン王国を裏切ることもないでしょう」


 そう告げると、アズール様は眉間にしわを寄せた。それから立ち上がると私の前へと跪く。


「シャルロッテ嬢。私の言い方が悪かったですね。貴方のような美しい女性が我が国に嫁いできてくれるというのが夢のようで、勘ぐってしまったようです。本当に私の婚約者になってくれるというのならば、私は誠心誠意大切にいたします」


 血が付着した状況で現れた時には、少し不安になったけれど、そう告げられ、私は良い人そうで良かったと思った。アズール様の手を取り、私はうなずいた。


「よろしくお願いいたします」


 手を握ると、その手はごつごつとしていて、これまで幾度となく剣を振るってきたのだろうということが分かった。


「えぇ。その……婚約者となったのだし、口調を崩してもいいでしょうか。あまりこのようにしゃべることが少なくて」


 そう告げるアズール様は少し可愛らしくて、私はうなずいた。


「もちろんですわ。私は元々この口調ですので、お気になさらないでくださいませ」


「よかった。ありがとう。シャルロッテ嬢。これからよろしく頼む」


「はい。アズール様」


 私達はまだ出会ったばかりで、愛や恋といったものが間にあるわけではないけれど、このように笑顔を交わせるなんて素敵なことではないだろうか。


 そう思うと、少し胸が痛む。


 婚約者として普通のことのはずなのだ。これが。


 相手を思いやり、心を通う努力をすることが。


 その後アズール様からは国の説明や、どのようにシュルトンで過ごしていくのかなどの話があった。


 使用人の紹介や、シュルトン城内の案内などをされているうちに時間は過ぎていき、夕食を一緒に済ませたのちに私達は別室へと分かれたのであった。


 私はローリーに手伝ってもらい入浴を済ませたのちに、シュルトン王国での寝巻や洋服について話を聞いた。


 緊急事態に備えてシュルトン王国では常に女性も動きやすいズボンを履いているらしく、私は持ってきたドレスと後で父が送ると言っていたドレスは着る機会がなさそうだなと思った。


 ローリーも下がり、私は部屋に一人ソファに腰掛けながら外を眺めていた。


 寝室は結婚式まで別であり、私は個人の部屋に一人でいられるのだ。


 窓には全て格子がはめられており、少し怖い感じはするけれど、窓辺に寄って外を見ると暗い中に、遠くの方に見張り台の灯がいくつか灯っているのが見えた。


「国によって違うのね」


 そう呟いた後、私はベッドへと移動すると、そこにごろんと横になる。


 天井を見つめながら、私は静かに息を吐く。


「……ついに来たのね。ここなら……私、自由に生きられる気がする」


 瞼を閉じれば、私は今でもセオドア様の言葉を思い出してしまう。


 そして静かに、これまで堪えてきた感情がゆっくりと私の胸に押し寄せてくる。


 あぁ。ここでならば、どれほど泣いてもいいのだ。


「……愛していたのに、何故伝わらなかったのかしら」


 本音が零れ、涙が一滴落ちたのを皮切りに、ぽたぽたと瞳から涙が溢れ出てくる。


 こんな風に泣いたことはない。


 こんな風に感情をあらわにしたことがなかったため、私は自分のことなのに、どうしたらいいのか分からず、枕に顔を埋めた。


 セオドア様は私にとっての初恋だった。だからこそ一生懸命だった。


 けれど、私の気持ちは一つも届かず、街で出会った平民の少女にセオドア様はどんどん惹かれていったのだ。


 私がいるのに。そう思い、街に様子をこっそりと見に行ったことがった。


 私には向けてくれない笑顔を、少女に向けているのを見て、私は苦しくて仕方がなかった。


 そんな思い一つ、私はずっと吐き出せず、胸には積もりに積もった悲しみが溢れていた。


 だから、涙が溢れ出てきてしまう。


 もう何に悲しみを抱いているのか、何に涙が溢れてくるのか分からない。


 涙の止め方が分からずに、涙で枕が濡れていく。このままではだめだと、タオルで目を押さえつけて涙を止めようとするけれど、やはり止められない。


 窓の外へと視線を向けると、強い雨が降り始め煩いくらいの雨音を響かせる。


 これならばどれほど泣き声を上げてもバレなさそうだと思っていたその時であった。


「シャルロッテ嬢、すまない……その、泣き声が聞こえて……大丈夫だろうか?」


 共同私室の扉がノックされ、アズール様の声が聞こえた。



ブクマや評価などつけていただけると嬉しいです! つけてもらうと、うぉぉぉぉぉ!ってやる気になりますので、よろしくお願いいたします(●´ω`●)

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