小悪魔な天使と理性を奮い立たせる王 【天候令嬢発売記念】
発売記念短編第二弾! 今回はアズールです!
アズールは、ローリーから今日は楽しみにしておいてくださいと言われ、一体どうしたのだろうかと思っていた。
今日はシャルロッテと共に過ごせる日であり、アズールは楽しみにしていた。
シャルロッテの力があったとしても、魔物がいつくるかは分からない。
だからこそ、この魔物が入ってこないという今こそ、強化の時だとアズールは考えていた。
今までは、渓谷に魔物の侵入を阻む仕掛けなどはしてこなかった。それは、魔物に襲われる危険と隣り合わせの行為だったからだ。
だがしかし、今ならばほとんど魔物が入ってこない。
だからこそ、ここしばらくアズールは渓谷の強化を図っていた。
毎日毎日。
シャルロッテと喋ることが出来るのは朝食と、たまに昼食と、夕食の時くらいで、しっかりと日程を合わせて会える日を作らなければ、中々に一緒に過ごすことさえ難しい。
だからこそ、今日はシャルロッテと過ごすのが楽しみで、アズールは朝からウキウキとしていたのだ。
ローリーからの言葉で、新しいドレスが届いたとのことも聞いていたので、それを着て見せてくれるのだろうかと、ワクワクとする。
少し早い時間から、待合室にてアズールが待っていると、シャルロッテがローリーを伴って入って来た。
「まぁ。アズール様。お待たせしてしまい申し訳ありませんわ」
大丈夫だと答えるつもりだった。
しかし、目の前のシャルロッテを見て、アズールは固まった。
アズールは自分の好みが、少しふわふわとした感じの可愛らしいものであると最近自覚するようになっていた。
花柄やレースを着ているシャルロッテが見たい。
そんな気持ちがあったので、アズールは比較的可愛らしいものをシャルロッテにプレゼントしてきたのだけれど、今日のドレスを見て、アズールは驚きと同時に衝撃を受けた。
大胆に開いた胸元、そして背中まで見えるドレス。
シャルロッテが今日は髪の毛を上にあげ、うなじが見えているのもいけない。
アズールは、自分の胸元を抑え、それからもう片方の手で自分の顔を覆った。
可愛い。そして美しい。
ちらりと見れば、ローリーがアズールに向かってぐっと親指を立ててポーズをしている。
いい仕事をしただろうと自慢げである。
アズールは自分がいかに、シャルロッテの可愛らしさ美しさの可能性をつぶしていたのを教えられたような気がした。
「アズール様? あの、似合いませんか?」
アズールの前で、戸惑うようにくるりと回るシャルロッテはまさに小悪魔。
アズールのことを見上げる姿は、大きな瞳が潤んでいるようにすら見える。
「……違う。君は、君は最高に、美しいし可愛いし……」
頭の中で小悪魔というワードが広がり、アズールはそれ共に不安に駆られる。
「待ってくれ。待って、今日は少し街の方へも行こうかと思っていたが、やめよう。今日は、今日は二人きりで過ごそう。あ、二人きりとはいっても、その、庭、とかな」
こんな小悪魔なシャルロッテの姿を他の男に見せる?
アズールは思わず拳に力を入れた。
それからローリーの方へと視線を向ける。
後からローリーには、感謝の気持ちと、それと出来るならばこのドレスは他の男の前では着せないようにと伝えようと、そうアズールは思った。
あまりにこれは……。
アズールは静かに息を吐くと、いつまで自分の理性は保つことが出来るだろうかとそう心の中で思った。
「今日は、二人ですごせるの楽しみです。ふふふ」
可愛らしく微笑むシャルロッテが、アズールの腕にぴたりとくっついた。
嬉しい気持ちと、堪えなければならないというアズールの気持ち。
二つの感情が入り交ざる中、アズールは大きく、ゆっくりと息を吐いた。
「俺は……頑張るよ」
「アズール様?」
「うん。頑張る」
遠くを見つめながらそう呟くアズールに、シャルロッテは小首を傾げたのであった。
そして、二人はその後、楽しく過ごすのだけれど、アズールは終始シャルロッテに邪な視線を向ける者がいないかと警戒をし続けていた。
そんなことに気付かないシャルロッテは、アズールがこのドレスを見て喜んでくれていると思ったのか、ローリーと、それから小悪魔的なドレスをまた買いたいと相談をするのだけれど、それにアズールが頭を悩ませるのはまた、別のお話。
もっとアズールのデレデレを書きたい今日この頃です。
読んでくだった皆様ありがとうございます!(*´▽`*)
よろしければ、書籍の方も手に取っていただけると嬉しいです!
4万文字ほど加筆しております!よろしくお願いいたします!!(*´▽`*)
もうドキドキしすぎてて……緊張がすごいです。






