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銀河獣(ネオスザウルス)

作者: sordmany

【ロボット】

 「銀河獣、ガイアが生んだ災厄」

「ああ。現れたら最後、その周りは無と化す」

「どこに現れるのかも分からない。最悪な相手」

セブンとアグルとラウスは、銀河獣の捜索のため、行動を共にしていた。ラウスが能力を放ち、時空を移動した。

「ありがとう、ラウス」

「いえいえ。お礼には及びません。それに現在、移動がし易くなっています」

「移動がし易いということは、銀河獣が現れたということを意味する」

「そうなるな。いち早く発見せねばなるまい」

その時、四基の浮遊する機械が現れた。四基は光線を一点に集中させた。

「セブン!危ない!」

不意の攻撃を受け、セブンは近くの星に墜落した。四基もその後を追った。

「ラウス、私たちも追うぞ」

「了解」

セブンは星に落下した。四基がセブンに止めを刺すため、光線を集中させた。放たれた光線が星を構成する火山性粉末を巻き上げた。その中から、ブーメランが飛び出した。一基に命中した後、戻って行ったブーメランをセブンは掴んだ。四基は合体し、一機のロボットになった。

「貴様は誰だ!」

「我ハ、貴様二奪ワレタ、ロボットヲ取リカエシニ来タ」

「ロボット?」

「トボケルナ。貴様ガカプセル二持ッテイル事ハオ見通シダ」

その時、巨大な母艦が時空の歪みから現れた。

「ゲッ。母艦ノオ出マシダ…」

「兵器番号000007、脱走ヲ止メ、母艦へ戻レ」

「ケッ。折角同ジ仲間ノ反応ヲ見ツケタンダ。誰ガ戻ルカ!」

「抵抗ノ意思アリ。活動ヲ停止シ回収スル」

母艦はエネルギー弾を照射した。セブンとロボットが爆風で吹き飛んだ。爆風が止むと、ロボットを構成する機体が無数に飛んでいた。

「頼ム…助ケテクレ」

「訳ありのようだ。行け!ウインダム」

セブンが取り出したカプセルから飛び出した粒子が一機のロボットになった。

「ソレハ、我ノ兄弟…」

セブンが投げたブーメランが一基に命中し、それを含む四基がロボットに変形した。放たれた光線をものともせず、ウインダムはブーメランが命中した箇所へ重点的に打撃を与えた。ロボットは後ろに倒れ、爆発四散した。

「兵器番号000007、000008、それからガイア人、覚悟セヨ」

母艦が一機を投下した。ロボットが驚愕した。

「アレハ!000009!」

「貴様、名前は?」

「我ノ名ハ、ジョー!」

「ジョー、行くぞ」

セブンとジョーは無数のロボットと向かい合った。母艦がエネルギー弾を照射しようとしたとき、アグルとラウスが砲弾を破壊した。

「母艦の方は、私たちに任せろ」

「頼んだ」

「これでは銀河獣を捜索できない」

「ああ。どこかが無と化す前に、この戦いを終わらせる」


【シード】

 三本の爪が巨大樹を斬り倒した。

「よし。ここも伐採完了、っと。おっ?連絡だ。それも女神から。はい、女神様」

女神とは霊界ガイアの長である。

「シード。至急テラへ向かってください」

「何事ですか?」

「銀河獣が出現しました」

「マジですか」

「はい。他の六使徒も向っています。あなたもすぐに向かってください」

「了解しました」

六使徒とは女神直属の戦士のことである。シードはその一人だった。

「シックスヘイブンのナンバーシックスことシード、直ちに急行する!」

その時、シードの体から芽が生えた。

「何だ、これ?」

その芽は急成長を始めた。

「うわああああ!痛いいいい!」

それは巨大樹の種が発芽したものだった。巨大樹は根を張った対象のエネルギーを養分とする力が凄まじく、その対象をあっという間に抜け殻と化すほどだった。

「くそっ、油断した…!…だが、シックスヘイブンのナンバーシックスことシード、簡単に抜け殻にはならない…!うおおおおおお!」

シードは全身に力を込めた。そして、次の瞬間、三本の爪を巨大樹が生えた箇所に突き刺した。

「ぐああああ!何のこれしき…!」

シードは自身の体に生えた巨大樹の根を掴むと、勢いよく引き抜いた。

「この大食い植物め!!」

シードは腕を交差し、光線を放った。巨大樹は粉々になった。

「はあはあ…よし。僕じゃなかったら確実に抜け殻になってたな。ふう、危ない。仕切り直して、シックスヘイブンのナンバーシックスことシード、直ちに急行する!」


【異変】

 晴れた午後、賑わうカフェのテラスにある男女のカップルがいた。

「ここのサンドイッチは美味しいって評判なんだ」

「へ~詳しいんだね」

「昨日美容室で見た本に載ってたんだ」

二人が楽しげに話していたとき、遠くで悲鳴が聞こえた。

「今の声、悲鳴?」

「そうみたいだ。事故かな?」

その時、二人の目の前の道路から激しく水が噴き出した。カフェにいた人々が逃げ出した。二人も同じく逃げ出した。誰よりも先に自分が逃げようとしてカフェの入り口で混み合った。二人は最後尾にいた。噴き出した水がカフェに侵入し、床が浸水し始めた。

「早く出ないと、どんどん水が入って来てる!」

「落ち着いて!まだ大丈夫だから!」

その時、カフェを出た客が何かを見て悲鳴を上げた。二人に不安が押し寄せた。二人がカフェを出ると、地面に大きなヒビがあった。見ると、そのヒビにカフェを一番先に出た男性客が落ち、しがみついていた。

「誰か!助けてくれ!」

「あんた!さっき私のこと押したでしょ!自業自得よ!」

「薄情者!!」

叫ぶ男性客をよそに、女性客はその場を後にした。その時、ヒビが大きくなり、男性客が掴んでいた手が離れた。

「危ない!」

「ありがとう…助かったよ」

男性客は二人に深くお辞儀をし、去って行った。

「僕たちも行こう。ここから早く離れないと」

「うん!」

その頃、科学特別捜査隊は大気圏上に怪しい影を発見した。最新の科学技術を搭載したロケットが大気圏に入った瞬間、光線を受け、粉々に崩れ去った。


【絶体絶命】

 カップルの二人はカフェの近くのマンションの男の家に避難した。女はニュースを見るためテレビを付けた。ニュースでは世界各地で異変が起きていることを報告していた。

「世界中で似たような事が起きてるみたい」

「やばいな。地球滅亡の危機か」

「見て!窓の外!」

「あれは何だ!」

窓の外に大きな竜巻が起きていた。その時、台所の方で皿が割れる音がした。

「窓が開いてるわ!早く閉めて!」

「わかった!」

強い風を受けながら男は窓を閉めた。

「きゃあ!」

「どうした!」

男が女の方に戻ると、リビングの窓にヒビが入っていた。

「何か当たったの…」

「何だろう?」

男が恐る恐る窓の外を見ると、死んだ鳥が横たわっていた。

「ここも危ない。遠くへ行こう」

「うん…」

それから、二人は竜巻から離れるため、出来るだけ遠くへ走った。道のほとんどは、ヒビ割れが起き、普通に歩くことさえ困難な状態だった。二人の足が限界に達したとき、車のクラクションが鳴った。二人が見ると、車の窓が開き、カフェで助けた男性客がいた。

「君たち、遠くに行くんだろ?乗れ」

「いいんですか?」

「いいから早く!」

二人を乗せた後、車は走り出した。

「助かりました…」

「それはこっちの台詞さ。この異変で死者が後を絶たないらしい。今、生きられているのは、君たちが助けてくれたからだ。君たちに恩を返さなきゃ居ても立っても居られなかったのさ」

「そんな大したことしてないですよ」

「いや、君は大した奴だよ」

車が森の中に入って来たとき、地震が起きた。

「きゃあ!」

「うわあ!」

車が道を外れ、林の中に突っ込んだ。

「これじゃあ、もう走れないな」

「そうですか…」

「すまないな。君たちだけで行ってくれ」

「え?あなたも一緒に行きませんか?」

「俺はここに残る。この車は俺と長年を過ごした相棒だ。カフェから逃げた時も相棒が心配で早く出たかったんだ。君だって大切なものを置いてくことはできないだろ?」

男は隣の女を見た。

「できません」

「そういうことだ。じゃあ、気をつけろよ」

二人はさらに森の奥深くへと進んだ。滝の付近に着き、二人は一休みするため座り込んだ。

「ふう…だいぶ歩いたね」

「うん。もう歩けないよ」

その時だった。女が座るところが、ヒビ割れ落ちた。咄嗟に男は女の腕を掴んだ。

「しっかり掴まって!」

「うん…!」

ヒビ割れは徐々に大きくなり、男のいる所に達した。

「うわああ!!」

そこに、ロープが飛んできて、落下する二人に絡みついた。


【救出】

 二人はロープで引き上げられた。二人の前に、一人の青年がいた。

「ありがとう…君は?」

「僕は“地球を救う者”です」

「すごいんだね」

「僕に付いて来て下さい」

青年の後を二人は付いて行くと、滝の裏の洞窟に入った。その奥に、大勢の人がいた。

「ここは避難者が集まるシェルターです。一時的ではありますが」

「君が集めたのか?」

「僕と、僕の家族が集めました。ここは唯一被害が出ない場所なんです」

「そうなの?どうしてそんな事を知ってるの?」

「実はこの異変は何度も繰り返されています。僕は繰り返されたことを記憶しています」

「君は一体…?」

その時、男女の脳裏に声が響いた。

「やあ。はじめまして。あなたがたはかつて我々を超常現象と呼び、戦った者たちの子孫です」

「その話、ユメさんが話してくれたことじゃない?」

「僕の母さん、そんなこと話してたっけ?」

「話してたよ。うちのパパとママも一緒に盛り上がってた。私たちが生まれた時は、もういなくなったとも話してた」

「ケンタさんとウララカさんか」

「その方々もここにいますよ。この青年、ゴショガワラコクヤさんに憑依する形で、あなたがたを集めさせていただきました」

「あなたは誰ですか?」

「長老です。ガイア人の元長と言った方がいいでしょうか。では、早速本題に入りたいのですが、あなたがたには久しく呼ばれていない超常現象を呼ぶ力があります。そこで強くテラを助けてほしいと念じてほしいのです。何度も繰り返されている銀河獣との戦いを終わらせるために」

「何だか訳が分からないけどやるしかないか」

「うん!私たちにしかできないみたいだし!」

「ご協力ありがとうございます」

「では、こちらへ」

青年が誘導した先に、二人の見知った人々がいた。

「あなたは、栄誉市民のシンメンサトリさんじゃないですか!?」

「はい。一応…ってこのやり取り会う度にやるの?」

「ははは。サトリには会う度に驚くやり取りをされてたけど、見るのは面白い」

「ママ!それにパパもいる!」

「無事でよかった」

「母さんもいたんだね」

「いたわよ。私の父さんもいるわよ」

「また救世主が増えたか」

全員の脳裏に声が響いた。

「盛り上がっているところ申し訳ないですが、時間がありません。コクヤさん、号令をお願いします」

「はい。皆さんは“地球を救う者”です。戦いを終わらせてまた話すためにも『テラを助けてほしい』と念じてください」

洞窟にいる人々は強く念じた。


【シックスヘイブン】

 六使徒の三人、アルフレア、タイフーン、クェークはテラへ向かっていた。

「テラの様子は?」

「危険らしい。テラにいるレイが気づいた時には既に進化が半分以上進んだ状態だった」

「レイは1人で対処しているのか?」

「いや、3人だ。しかし、我々も急がねばなるまい」

三人は頷き、速度を上げた。三人がテラへ到着したとき、大気圏と呼ばれる空間に銀河獣の幼体がいた。幼体といえども、放つ光線の破壊力は命中したものを木っ端微塵にする。レイとアンとドゥは協力し、幼体と対峙していた。

「僕らが傷ついてもテラを守る」

「大丈夫か?レイ」

「六使徒の皆さん。来てくれたんですね」

「我々に相手を任せて、君たちは休んでいるんだ」

「有難うございます」

三人は頷き、幼体に向かった。幼体が口から光線を放った。三人は力を合わせたバリアで防いだ。同時に、エネルギーを集中させたキックを浴びせた。幼体は呻き声を上げた。

「キックをあと何回浴びせれば幼体は消えるだろうか」

「少なくとも100回はかかるだろう」

「出来れば幼体のうちに倒したいが」

幼体の目が鋭く光った。幼体の光線をバリアで防ぎ、三人がキックを繰り出した。その時、幼体の背中に巨大な羽が左右に二枚ずつ、顔に青い瞳の目が左右に二つずつ、口が新たに一つ増え、短い腕に伸びる鋭い爪が三人を襲った。三人は爪を寸前で躱した。

「まさか、進化が完了した」

「何としてもテラを守らなくてはならない」

「あそこには我々と同じ人間が生きている」

三人は頷き、力を合わせた連携攻撃を放った。銀河獣は呻き声を上げなかった。近づいてきた三人を目掛け、長い尾から光線を放った。躱した三人の位置を予想し、口から光線を放った。三人は光線を受けた。レイが叫んだ。

「アルフレアさん!」

その時、銀河獣の六枚の羽が放った光線をレイは受けた。アンとドゥが叫んだ。

「レイ!」

レイは光線を受けた瞬間、バリエルの意思を感じた。

「…バリエル、なのか?」

「俺は…強くなる…もっと…でも…これは…臨んだ姿じゃない…」

「バリエル!」

「レイ…助けてくれ」

銀河獣が口から光線を放つとき、時空の歪みから一人が現れた。その人物は、大きな杖を振り、暗黒物質を放った。暗黒物質は光線を飲み込み、銀河獣に命中した。銀河獣は呻き声を上げた。その人物はアルフレア、タイフーン、クェークに呼び掛けた。

「目を覚ますのだ」

「お前は、魔界ディスガイアの王」

「女神の弟」

「そして、我々のかつての同志、ミズーリオ」

「遅くなった。お前たちも来ていたのか」

「ああ。お前の姉、アナスタシア様の命を受けた」

もう一人現れた人物がレイに呼び掛けた。

「シックスヘイブンのナンバーシックスことシード、只今参上!あれは、レイ!大丈夫か!?」

「シード!落ち着いて聞いてほしい!」

「まず、お前が落ち着け!」

「わかった。あの銀河獣の正体は、君の父、バリエルだ」

「何だって!!」

その頃、セブンたちの戦いが終わりを迎えた。

「アギラ!テンシの力を解放せよ!」

一本角の怪獣は吠えた後、角に溜めたエネルギーを解き放った。

「我モ加勢スルゾ!」

ジョーが集中させた光線を放った。最後の一機がバリアを展開した。

「終わりだ!」

セブンが投げたブーメランが光線を纏い、バリアを破壊した。光線を受け、爆発四散した。

「ミクラス、アギラ、ウインダム、それからジョー、戻れ!」

二本角の怪獣と一本角の怪獣、二機のロボット怪獣がセブンのカプセルに戻った。さらに、母艦が煙を上げ落下した。アグルとラウスが降りて来た。

「こっちも終わった」

「そうか。では、我々も急ごう」


【ネオスザウルス】

 「僕が銀河獣の光線を受けたとき、確かにバリエルの意思を感じた」

「親父は何か言ったか?」

「彼は、強くなりたかった。ただそれだけだった」

バリエルは、かつてガイア人の戦士だった。六使徒のようにスターを持つ戦士の指示で戦った。バリエルは努力したが、期待に応えられなかった。バリエルは強さを求め、霊界ガイアが創った人工太陽の光を盗み出した。その結果、バリエルは強すぎる光を浴び、時空の歪みの先にあったテラで存在が消えた。反対に、暗黒物質が生まれ、ミズーリオが共に時空の歪みの先に入ってディスガイアの王となった。その暗黒物質に集まった怪獣が合体して、銀河獣が誕生した。

「親父はやってはいけないことをした」

「彼は、強くなった。でも、それは望むものではなかった」

「親父がやったことは許される事じゃない!それで十分だ!」

シードは銀河獣に向かって、腕を交差し、光線を放った。

「バリウム光線!!」

銀河獣は呻き声を上げた。

「親父!目を覚ませ!!」

「シード。今、親父と言わなかったか?」

「アルフレオ師匠。あれは、親父の後悔で出来た化け物です」

「そうか。よし。全員で力を合わせ、バリエルを解放してやろう」

「「了解」」

八人は頷き、銀河獣に向かった。激しい攻防が行われた。その中で、テラを死守することはわすれなかった。

「私たちも加勢する。行け、ミクラス!ウインダム!アギラ!そして、ジョー!」

「セブン!感謝する」

遅れて駆けつけたセブンらが加勢し、銀河獣はついに倒された。レイとシードが呟いた。

「やった、か」

「じゃあな、親父」

その時、全員の脳裏に声が響いた。

「よくやった。皆の者」

「その声は、長老様!」

「アルフレオ。元気だったか」

「はい。長老様こそ、お元気でしたか」

「当然だ。これでもう銀河獣が出現することはない」

「それはどうしてですか?」

「私は、あることをきっかけに、時間遡行を繰り返している。その繰り返しの中で、銀河獣がテラに現れるとき、他の場所に現れるときと比べて活発になった。原因を考えたとき、バリエルの本体が眠るテラに反応していると見た。そんな中で、テラは銀河獣によって何度も滅んだ。何度も繰り返した。今回はシードがテラに辿り着けたことが勝因だった」

「その言い方だと、俺が何度も辿り着けなかったみたいじゃないかよ」

「その通りだ。シードがテラに着いたときは、もうテラが滅んだ後だった。しかし、今回は何故か早く着いた。バリエルの息子であるシードの放つ光線が効いたのだろう」

「やっぱり俺がいないとダメか」

「その通りだが、調子に乗りすぎるな。他の者も気を落としすぎるな。全員何度もよく戦った。いや、一度だけか」

「ところで、結局、どうして銀河獣が出現することがないのですか」

「それは、バリエルが関わっているからだ。おそらく、バリエルは全力を出せるこの場所で負けたことで、死を受け入れることができたはずだ」

「諦めがついた、ということですね」

「ああ。だが、バリエルの息子がこれだけ強くなって驚いた。あと、ミズーリオ、大変だったな」

「かつての過ちの分なのだ。父上には申し訳ないことをしたのだ」

長老はかつて霊界ガイアの長であり、現在のガイアの長、アナスタシアの妻、ミズーリオの兄である。長老はガイア人の中で、最も優秀な戦士に剣を贈ることを決めたことがあった。その時、戦士だったミズーリオは人工太陽の光に触れようとしたが、バリエルと違い、未遂に終わった。しかし、僅かに生まれた暗黒物質が剣に宿り、動き出した。それを見て、長老は剣を掴んだ。そのまま、長老は剣に連れられて時空の歪みに入り、現在に至る。

「私はいつどこに飛ばされようとも生き延びる」

「兄上らしいのだ」

「アグルはテラに何度も訪れていたな」

「はい。テラを守ることができ、心から安心しました」

「そうか。では、私は再び時間旅行へ出かけよう。剣が騒がしいのでな。さらばだ」

全員の脳裏から声が消えた。

「なにがともあれ、無事に済んで良かった」

「ああ、そうだな」

「レイ、アン、ドゥ。君らもテラに居続ける必要はない」

「いえ。僕はこの星に残ります」

「そうか。いつでもガイアに帰って来ていいからな」

「はい」

「じゃあな、レイ」

「じゃあね、シード」

セブンとアグルとラウスは別れを見送った。

「私たちも行こう」

「ああ。宇宙にはまだまだ怪獣がいる」

「またいずれ」


【平和】

 その後、世界各地で起きていた異変が治まり、地球に平和が戻った。二人はマンションの男の家で外出の支度をしていた。

「準備できたよ」

「うちの化粧がまだなの。ちょっと待って」

しばらくして、支度を終えた二人はマンションを出た。電車を乗り継ぎ、降りた駅から歩いてしばらくして『イズミ』と表札がある一軒家に着いた。ベルを鳴らすと、声がした。

「よく来たね。開いてるから、入っていいよ」

二人は玄関に入り、脱いだ靴を揃えた。部屋に案内された二人は、席についた。向かいに三人がいた。

「あれ?あなたは、栄誉市民のシンメンサトリさんじゃないですか!?」

「はい。一応…」

部屋が静まり返った。その後、笑いが起きた。


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