表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
90/100

第90話:ケチャップ付きポテトは敗北の味

「じゃあ何すっかー。とりまアタシパフェ!」

「いいなー。まゆさんもそれにするー」

「私は王道のドリアでも頼もうかな!」

「俺は……。コーヒーでいいか」

「ぼくはカフェオレで」


 放課後。タイゼリヤに集まった学生たちは各々好きなメニューを注文していく。

 わたしは何にしようかな。ちらっと目に入ったワインは一回置いておく。

 最近お酒飲んでないけど、学生の身分で飲めるわけないし。

 まぁ、つまめるものならいいか。


「フライドポテトで……」

「かしこまりましたー! しばらくお待ちください!」


 店員さんがそのままカウンターの置くまで消えていった。

 さて。文化祭の話だけど、クラスの出し物ってここで決めていいものなの?

 もっと、こう。クラスで決めたりとかしないの?


「なんでぼくまでいるんだい?」


 まるで心を読んだかのようにわたしの疑問に響さんが答えてくれた。

 マジでなんで? クラスも違えば学年も違うのに。


「そりゃー、あれだよ! ネタ作りってやつ!」

「きみねぇ……。そりゃあネタには困っているが……」

「ならいろんなことを経験しないとなぁ! そう思うよな、弟君も!」

「俺はお前の弟じゃねぇよ」


 ニタニタ笑う鈴鹿さんも、だいぶ万葉さんに慣れてきたようで。

 この分ならいずれは行くところまで行ってほしいものだ。

 でもあの身長で姉さんって言われるのは、ちょっと嫌だな。


「てか、こういうのってクラスで決めるものじゃないのか?」


 それはそう。わたしの意見を丸々万葉さんが口にしてくれた。

 ワタシもそう思います。


「これは意見を通りやすくするように事前に仕込むための会議なんだよ!」

「……それってサクラってことですか?」

「そうとも言うー!」


 このクラス委員、結構黒いぞ。


「さて、出し物だけど。何にしよっか」


 でも根は真面目なんだとは思う。

 だってスマホで記入すればいいのにわざわざノートを開いて、ペンまで用意している。

 そんなマメな尊花さんが、わたしは好きだなぁ。


 と言うのはさておき。

 文化祭。前世の記憶ですら何をやったか覚えてないほどだ。

 その時期にはもう引きこもっていた気がしないでもないし。


「無難なのはカフェとかお化け屋敷だよなー」

「カフェはともかく、お化け屋敷だけはやめておけ」

「なんでだよ」

「用意するのも片付けするのも面倒くさい」

「ねーさんのクラスじゃねぇからいいだろ?!」


 陰キャは文化祭そのものが面倒くさいんですけどねー。えへへ。

 お化け屋敷とかやっても、恐らくわたしは暗闇でコケる自身がある。

 なんでだろうね。そんな気がしてならないのは。


「占いの館とかはー?」

「付け焼き刃ならオカルト研究会に負ける」

「あらー」


 文化祭って、実は実現できるものないのでは?

 わたしの学生としての経験が足りないから? それもありそうだけど、一番は興味が無いからだね! ははは!


「ならスイーツカフェとかか?」

「ホットプレートは使えるだろうし、悪くはないだろうね」

「だけど、それだけじゃお客さんは引けないよねー」


 スイーツカフェもちょっと外したところで王道感あるし、行けるのでは?

 でも他にも出してそうか。

 スイーツ。甘い。それから女の子……。カフェと言えばメイド。


 あ、尊花さんやまゆさんのコスプレ姿見たいなぁ……。

 絶対かわいいでしょ。尊花さんはクラシカルな正統派メイド。まゆさんは秋葉原とかに居るメイドカフェのフリフリメイドとか。

 あー、見たい。わたしは絶対やりたくないけど見たい。


「王道ならメイドカフェ、辺りだな。趣向を凝らしてコスプレ喫茶も悪くないだろう」

「コスプレ……」

「コスプレなぁ……」


 ……。あの。なんで尊花さんとまゆさんはわたしのことを見てるんですか。


「な、なんでしょう……?」

「私、美鈴ちゃんのアイドル衣装で接客してるところ見たい」

「へ?!」

「まゆさんはゴスロリファッションで接客してるところも見たいなー」


 ちょっと待って! 要望が明らかにわたしに加担してるのおかしいでしょ!!


「ゴスロリ喫茶か」

「響さんも納得しかけないでください!!」

「いやだがなぁ? ゴシックロリータのコンセプトカフェがあるんだよ。ならアイドルの衣装のカフェだっておかしくない」

「おかしいおかしくない以前に、恥ずかしいんですけど?!」

「行けるだろ、元アイドルだし。お、パフェきたー!」


 こいつ……っ!

 アイドルの相沢さんは今ご隠居なさってるんですー!

 本気でどうしよう。パフェが来て、気がそっちに行ってるし。尊花さんもノートにメモった後、ページを閉じてミラノ風ドリアに夢中だ。

 面白そうだから乗った響さんはもう取り合うことはないだろう。


 頼みの綱は万葉さん、あなただけだ!!


「……いや。俺は、その…………。鈴鹿のコスプレ衣装見てみたいし」


 終わりだ……。

 詰んだ。家のアイドル衣装を引っ張ってこないとダメな奴だこれ。

 やんわりと囲まれたし。もうアイディアも出ることはないし。


 わたしはやってきたフライドポテトに、ケチャップをたっぷり乗せて食べた。

 強い酸味と、将来への不安。あー。これが敗北の味か。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 更新お疲れ様です。 放課後ファミレスで文化祭に向けての秘密な会議。みんな青春してますね。いつかはここでのやり取りも思い出話のネタになりますよ、響さん。え、今ネタが欲しい?・・・まあ、弟と義妹…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ