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第83話:突然現れてなんやかんやするカミサマ

 それから数日が経った。

 尊花さんは家出ではなく、お泊りという形を取っていたので、そのままご帰宅。

 まゆさんも、親から話がしたいと言われ、ものすんごく嫌そうな顔をしていたけれど、それに従う形で一度家に戻ることになった。


 ということで今、家にいるのはわたしだけということになる。

 お母さんもお仕事だしね。


「はぁ……」


 ちゃんと笑顔でまた会おうと言った。

 もしかしたら夏休み中にもう一度会うかもしれないし、もしかしたら夏休み明けに。

 その間、わたし一人ぼっちか、と思うと無性に誰かが恋しい感情に陥ってしまうわけで。


 認めてしまうと、寂しいというやつだ。

 でも陰キャだし、寂しいからって誰かに電話したりメールしたりしない。

 ただベッドで横になって、ソシャゲをただ周回するだけ。

 気晴らしにはなる。だけどそれだけじゃ物足りなくって。


「わたしも変わったなぁ」


 今までボッチで引きこもりだったわたしだから、ひとりでいることには慣れていると思ってた。

 けれど、実際はそうではない。

 尊花さんやまゆさん。それから鈴鹿さんに万葉さん。響さんのおかげで、だいぶ人らしく生活できるようになってきたと思う。


「これも全部、転生したおかげ、かなぁ……」


 ボソリと虚空につぶやいたら、1通のメッセージが飛んできた。


『そうでしょーーーー???? っぱカミサマは天才だなーーーーーー!!!!』


 ムカついた。

 こいつ聞いてるのかよ、この独り言。


『そんなこと言わないでよー、ひとりが寂しいって言うなら、カミサマがいつでも来てあげるのに、っさ!』

「その態度がムカつくんですけど」


 当然のようにドアを貫通して、その姿を現したのは神様ことカミサマだった。

 この人の本名、なんだったっけ? まぁいいか忘れてても。


『コトノハ様だよー。ほら、コトノハ神宮祭の!』

「はぁ……」


 どうでもよすぎた。

 宿題でもしようかなぁ。こんなのと一緒にいたら気が狂いそうになる。


『こんなのとは失礼な。そんなこと言ったら、呪い授けちゃいますよ~!』

「冗談に聞こえないからやめてほしいんですけど」

『へっへっへ、この顔が冗談に見えるかい?』


 心底人をおもちゃにしているような、恐ろしく歪んだ顔立ちをしていた。

 はぁ。言うのは嫌だから心の中で謝罪しておく。モウシワケゴザイマセンデシター。


『うんうん。カミサマ寛大だから、そういう態度でも大歓迎だよー』

「で、今日は何しに来たんですか?」

『まぁ、ぶっちゃけ誰にすんの? って話よ』


 随分と直球で来たなおい。


『いやぁ、尊花ちゃんの話も聞いて、まゆちゃんの話も解決させて、あとはキミの問題を解決すべきかなー、ってさ!』

「あなたにとってはどうでもよくないですか?」

『それはそうはいかないのよ。暇だから!』


 やっぱりこの人に何かを聞くのは間違いだったみたいだ。


「だったら決めるまで待てばいいじゃないですか」

『でも、キミなら決めないでズルズル引き伸ばしにしそうだなー、と』

「うっ……」


 た、確かに。期限でも決めないと引き伸ばしにするのはわたしのは悪い癖だ。

 なにせ引きこもり卒業の時期を決めてなかったがために、高校卒業まで引っ張ったのだから。

 今回もそう。決めるとは言ったものの、気付いたら半年1年。卒業まで行きそう。


『分かるよー。カワイイ推し2人に告白されたんだもん。迷う気持ちはとても良く分かる』

「何様なんですか」

『神様ですけど?』


 イラつくなぁ。


『どうだい? 夏休みを機にこの曖昧な期間を終わらせるのは』

「どういう意味ですか?」

『カミサマからの御神託ってわけさ』


 神託って。どうせろくでもないことでしょう?

 ハッピーエンドがどうこうってやつ。


『何事も決断をするには新しい知見を得てから決めるべきだ』

「おぉ、なんかそれっぽい」

『てことで、近い内に響ちゃんのところに行ってくるといい。本編でそんなに出番がないからきっと寂しがっているよ』

「何の話ですか?」


 本当に何の話かさっぱり検討はつかないけれど、確かにあの人にならこのことを打ち明けてもいい気がする。

 まともな回答をもらえずに、突っぱねられそうな気もするけど。


『大丈夫。響ちゃんもネタには飢えてるから』

「それ、わたしのこと言ってます?」

『キミたち3人はネタの宝庫だからね。これを機に交流してみるのも、キミにとっても、彼女にとっても重要なことだと、カミサマは思うんだよねぇ~』

「……カミサマは、結局何がしたいんですか?」


 その時々を楽しむ。というのは言葉触りはいいけど、要するに目的がないに等しい。

 カミサマがわたしたちに何をさせて、何が嬉しいのか。何を目的にしているのか。それが一切分からなかった。

 人智を超えた先にあるカミサマに、そんなことを問うのは変な気がするけど。


『楽しみたいだけだよ! 人間ドラマ、ってやつを!』

「……もしかして、本当にそれだけですか?」

『うん! それ以外にやることないし!』


 うわ。予想以上にクソみたいな理由だった。


『カミサマは一貫して変わらないよ。これからもカミサマを変えられるような人類なんていない。今のまま、ずっと楽しみ続けるだけだよ』


 なんか、つまんなそうだな。

 ずっと今のままを楽しみ続けるって、それこそ神様だからできることのように思えて。

 人間は変わらなければいけないタイミングがある。

 今のまま。現状を続けるって、意外と難しいから。

 でも変わった先に、また違う楽しさがあるのだから進み続けることもまた価値のあることなんだ。


『そうだよぉ~。人間はそれでいい。いつか死ぬとしても、変わることで人生はまた美しく輝きを放つんだから。カミサマはそれを見て笑ってるんだけどねー』

「こいつ……!」


 前言撤回。やっぱりこの神、今が一番楽しそうだわ!


『次は2人がキミのコタエを聞いた後に来るから、シクヨロ~』


 両手でパンっと叩いて猫騙し。そのままカミサマの気配がなくなった。

 あー、ホント接してて疲れる邪神だ。

 だけど、ちゃんと決めなくちゃなぁ。わたしのコタエを。

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