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第50話:人生山あればテストもあり

 お祭りの翌日。

 なーーーーーーーんかよそよそしい感じで登校してきた万葉さんと鈴鹿さんを、わたしたちは歪んだ笑みを浮かべながら近づいていった。

 それに気づいた鈴鹿さんはなーーーーーぜか、頬を赤らめる。

 ふふふ、いじり甲斐がある餌が来たぜ……!


「おはよー、鈴鹿ちゃん!」

「お、おう。ぉはよ」

「な、何だお前ら。ニヤニヤして……」


 なんで、って。それをわたしたちに言わせるつもりですか~? ん~~~?

 早速本題に入ろうか、それともちょっとずつ攻めていこうか。お姉さん悩みますねぇ。


 悩んでいたところにまゆさんと目があってアイコンタクト。

 分かった、その作戦で行こう。


「そういえば、ボートのあとどうしてたんですか?」

「あ、あぁ……。対岸に行ってもお前らがいなかったから、2人で屋台を巡ってたよ」

「そ、そうだな! いやぁ、わらび餅とかあるんだなー! めっちゃ美味かったよな?!」

「おう!」


 2人でわらび餅食べたんですか。ふふふ……。


「他にはどんなのー?」

「たこ焼きとか、焼きそばとか。お好み焼きも食ったな」

「そうそう! こいつめっちゃ食うからさぁ! アタシがお腹いっぱいだってのに、まだ買うんだぜ?!」

「あはは! で、どうしたの?」

「え?」


 んん~~? はて。どうかしたんだろうか。

 別に話の流れ的にそろそろ解散の流れだろうなー、とわたしたちは思っただけだ。

 まゆさんの顔が笑いをこらえているように口角が歪みっぱなしになっている。

 このときだけまゆ女神さまから、あの邪神のニヤついた顔がちらついてしまった。


「解散の流れかなーと思いまして」

「ぉ、おう? そうだよなぁ、鈴鹿?」

「………………そうだよ」


 そうでしたっけ?

 あのとき鈴鹿さんとわたしたちは電話をしていたと思うんですけど。

 そろそろ突っ込みどころとしてはちょうどいいのかもしれない。


「あれ、鈴鹿さん。わたしたちと電話してませんでした?」

「お、おまっ?!!」

「え?」


 鈴鹿さんの顔が髪色と同じぐらいに赤面を始める。

 ふふふ、それはわたしたちとの契約の代償ですぞ! ふふふ……。


「お前、まさか……」

「…………聞かれてた。バッチリ」

「……はぁ」

「この場にいる全員知ってるよー」


 わたしたちも恥ずかしかったよ、2人の告白。

 感動的な告白で、こちらまでニヤニヤが止まらなかった。

 わたしは昔のトラウマを思い出してたけど、まぁ、うん。ごちそうさまでした。


「お前……」

「し、仕方ないだろ! ……その、協力してもらったんだから」

「かわいいですよ、鈴鹿さん」

「うるせぇ!」


 八つ当たり気味にわたしの頭に軽いチョップがヒットする。痛い。

 暴力に訴えなくたっていいじゃないですか。わたしはただニヤニヤしてただけなのに。


「で、付き合うことになったんだよね?」

「……オマエ~~~~~!!!」

「容赦ないな、3人とも」

「気になってたからねー」


 そうですよ。最初に鈴鹿さんから好きだよーって聞かされた(聞き出した)ときから、わたしはずっと行く先が気になっていたんです。

 自分の恋愛はいざ知らず、人の恋愛事情は創作みたいで面白いから。

 THE・青春って感じがして、本当にごちそうさまです、って感じ。


「……すまん、万葉」

「いやいいんだ。どうせいつかは言おうと思ってたし」

「で、どうなんですか?」


 万葉さんは少しばかり息を吐き出す。それまでの恥ずかしさや気まずさと一緒に。

 それから覚悟を決めたように、鈴鹿さんの手を取って……。


「俺は、鈴鹿と付き合っている。これでいいだろ?」

「あ、あう……」

「「ごちそうさまです」」


 これが青い春というやつかぁ。

 わたしには過ぎたる思い出だけど、目の前でこう、形にされるとこちらまで恥ずかしくなってくる。

 やっぱり人の恋愛というものは健康に良い……。


「これからも仲良くね!」

「そうだよー。鈴鹿さんを泣かせないでねー?」

「分かってるよ、ったく」


 ご成約おめでとうございます!!!!!

 これからも末永くお幸せに!!!!!!!!

 パチパチと感動で拍手をしていると、「さて」という言葉とともに尊花さんがピシャリと空気を切り替えた。

 え、なに?


「で、来週からのテストどうするの?」

「え?」「は?」


 来週からテスト。そう。来週から期末テストなのだ。

 わたしは転生者だけど、授業とかを完全に覚えているわけではないから、復習しているんだけど……。

 素行の悪い万葉さんと鈴鹿さんが勉強をしているかといえば……。


「やっべぇ!! どうしよう?! なんにも覚えてねぇ!!!」

「そんなこったろうと思ったよ。俺もだが」

「もう、そんなんだったら夏休みは補習の毎日だよ?」

「「それは困る!!」」


 さすがしっかり者の尊花さんだ。こういう委員長ムーブは久々に見たけど、板についている。わたしも誇らしいよ。

 誰目線なのかはさておき、尊花さん自身は確かに成績がいい方だ。問題ないと思う。

 わたしもそこそこ勉強ができると自負している。

 我、転生者ゾ! 授業の内容は完全に把握しているわけではないが、昔見聞きした内容をそのまま復習しているようなもの。真面目に授業を聞いていれば、日々復習しているようなものだし。


「夏休み、かー」

「……どうしたんですか、まゆさん?」

「え? ううん、なんでもないよー! えへへー」


 笑って誤魔化された。

 というか、きっとまゆさんルートの一件なんだろうなぁ、と漠然と。

 でも万葉さんが鈴鹿さんルートに行ったんだし、心配する要素はない、ような気がしないでもないような……。

 不安だけど、まぁなんとかなるでしょう!


 泣き言を繰り返す2人をよそに、わたしは来月から始まる夏休みの予定を頭の中で立てているのだった。

 まぁ、全日ゲームだろうけど!!!!!

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