第7話 先生に報告。
お待たせいたしました。
学校に着いた。ローファーから上履きに履き替えるが、もちろん今の俺の足ではぶかぶかだった。
「湊くん大丈夫?今日体育あるから横山先生にいって借りてきたら?」
「そうだっけ?でも体育着もぶかぶかでちょっと不恰好になっちゃうし、ウィッグ取れるかもだから見学にしとくわ」
「いつもならダメと言いたいところだけど、それが理由なら仕方ないわね」
「でも普通に不便だから今から横山先生のとこ行って借りてくるな」
「分かったわ。ついでに髪の件については説明してきたらどう?」
「そうだな」
「じゃあ私は先に教室行って待ってるわね」
「ああ、ありがとう」
先に階段に登る遊王子を見送り、職員室に向かう。
途中で他の先生とすれ違い挨拶を交わす。
職員室に着いた。最初は様子を見るべくひょっこり顔だけ出して覗く。
「横山先生は……あれ、いない?」
「いるわよ」
「うわぁ!?」
驚きすぎて一瞬倒れかけそうになるも何とか持ち堪え、そっと胸を撫で下ろす。
後ろを向くと驚かせてきた張本人、横山先生が立っていた。
「ごめんなさい、あまり驚かす気は無かったのよ?」
「少しはあったんですね」
「ちょっとはね」
そう言って自分の席に持っていた荷物を一度置き、戻ってくる。
「それで湊くんは何用で職員室に?」
「あ、そうでした。ちょっと二人きりで話したいことがあるのでいいですか?」
「良いわよ、昨日の部屋でいいかしら?」
「はい」
すぐそばにある生徒指導室へと入る。先生は気を遣って鍵を閉めてくれた。
「それで、どうしたの?」
「あの、梨沙さんからは聞いていると思うんですけど」
「ああ、梨沙ってことは髪についてのことね。何故か髪が染まらなかったからウィッグ付けてるって言われたわ。ちょっと確認してみてもいい?」
「はい、どうぞ」
先生に頭を預ける。先生が頭を撫でるように触ってくるので少しくすぐったい。
「遊王子さんにやってもらったんだっけ?すごいわね、見た目普通だわ」
「はい、遊王子には感謝しかないです。でも先生、俺の一番話したいことは違うんです。先生も俺の身体を見て少し勘づいてるはずです」
「それは湊くんの背が小さくなったり、女の子っぽくなったことに関係するのかしら?」
「全部分かってるじゃないですか……でもちょうど良いので話します。俺の身体に起こってることを」
俺は遊王子と考えた考察を先生に洗いざらい全て話した。
☆
「そういうことだったのね……」
「はい、そうなんです」
「とはすんなりはいけないわ」
「ですよねー」
俺だってこの急激な体の変化や髪の件について当事者でなければ、戯言だと言って真に受けなかったであろう。
「でも、私はその過程を現に見てるのよね……。うん、分かった。私は信じるわ」
「先生……」
「それに先生のサポートは必要でしょ」
「はい、ありがとございます!」
ちょっと泣きそうかも。
俺は深々と先生にお辞儀をした。