第2話 髪色を注意されてしまった……
案の定こんな髪色をしている俺は注目を浴びるは浴びるわで先生にその情報が流れたらしく、今現在生徒指導室で担任の横山先生と睨み合い中である。
「で、その髪型はどうしたの?貴方そういった輩じゃないのにいきなりぐれてどうしたの?しかも水色の髪に所々にピンクなんて入れちゃって」
それはごもっとも。俺が先生でもそんな風に思うだろう。
「しかも先週まで髪もそんな長くなかったでしょ?本当に一体どうしたの?」
「いや、これには訳がありまして……」
「わけ?どんな言い訳か一応聞こうじゃない?」
俺は今日の朝起きたことを簡素に説明した。
「今日起きたらこの髪になってたんです。もちろんグレてもないし、美容室にいって染めたりもしてないので安心してください!」
「いや、そんなこと信じられる訳ないでしょ」
「ですよね〜」
うん、知ってた。そんなこと現実にあり得ないもん。当人の俺でさえ訳わからんもん。
「まあ、貴方を擁護するわけじゃないけど、その髪は染めたと思わないくらい綺麗な色してるし、美容院行っても流石に髪自体はこの土日でそんな一気に伸びるものではないしね」
「先生……!!」
「でも!私がその髪の色をオーケーしたら学校の校則を無視したことになるし、それを容認したら他の生徒達も一気に真似しかねないの。貴方の言い訳は信じられないからどのような方法でそんな髪にしたのかは分からないけど、取り敢えず学校の校則に従って髪の長さはいいからその髪色だけは明日までにどうにかしなさい。このままだと上の人に睨まれるわよ」
「げ、それは嫌です」
「なら、今日放課後に美容室に行って髪色を戻しなさい、私の友達の美容室紹介してあげるから」
「先生ありがとうございます!」
その後俺は横山先生にその美容室の場所を教えてもらって生徒指導室を後にした。
☆
そして俺は再び教室に戻って来ていた。
授業開始が近くなっているため、さっきよりも教室に多くの人数が集まっている。その分俺に向く視線も多くなっていた。
(別にこんなので注目浴びてもなぁ)
俺はため息をつきながら自分の席についた。
「あら、おかえりなさい。随分お早いお戻りね」
「ああ、明日までにこの髪色どうにかしろだって」
「まあ、理由はどうあれ校則だから仕方ないわ」
「そうだよなぁ。はぁ……」
俺はもう一つため息をついた。
「おいおい、ため息つくと幸せが逃げるぞー」
「うん?瑛太か、でもため息ぐらいつかせてくれよ」
「ははっ、違いねぇ」
そう言って会話に割り込んできたこのちょっとグレ気味な男の名前は矢沢 瑛太だ。俺自体クラスでは浮いてる訳じゃないし、用がある時は普通にクラスメイトと喋ったりはするが、それ以外で絡むのはこの瑛太と遊王子くらいだ。
そんな仲の良い二人は俺の両隣なので大変助かっている。
「で、その髪のことトイレに行く前に遊王子から聞いたが、朝起きたらそうなってたんだって?」
「そうなんだよ、信じられないと思うけど」
「確かに信じられんけど、雫ちゃんだっけか?その子が好きなだけでいきなりお前がそのvtuberと同じ髪にするってことは流石にあり得ないからなぁ。どう思う遊王子?」
「確かに湊くんがそんなことをする人間ならこれ以前にも何回か問題が起きてそうではあるわね」
「確かにな」
「それで話は戻るけど、俺放課後美容室行くんだけど、いかんせん初めてでして、付き合ってくれません?」
「俺は暇だからいいぞぉー」
「遊王子は?てか、遊王子来てくれないと困る!なんか奢るからさ、な?」
「仕方ないわね、それで手を打ってあげる」
「よしっ、ありがとう、遊王子!」
俺は二人に美容室の約束を取り付ける事に成功したのだった。