第16話 世の中は広い。
二日連続投稿はめちゃくちゃ久しぶりですー。
良ければ読むだけ読んでいってくださいー!
「さあ着いたわよ、降りてちょうだい」
「うん。わかったよ」
車で連れられてやってきたのは大型ショッピングモール。現在は地下の駐車場にいるが、ここまでくるのが大変だった。ゴールデンウィークということもあり渋滞が起こり、入ってからも駐車スペースが開くのを待つという事態だ。それでも二、三十分そこらで止められたのはかなりの幸運では無いだろうか。
「うん、やっぱりその格好似合ってる」
「本当に変装できるのかこれ?」
「多分大丈夫よ」
そんな俺の格好は、白いブラウスに下は膝が隠れたくらいの黒いスカート。更には目立たないようにベイカーボーイハットを被り、何も意味なさげな伊達メガネをしている。姉がいうにはお忍びお嬢様風をイメージしたコーデだとか。
姉はというと、俺がいるにも関わらず、タンスの前側にあるジーンズとシャツを取り出して着替え始めたくらい適当なコーデではある。ただ、このハットと伊達メガネはお揃いが良かったらしく、変装にもなっていないが同じように身につけている。
絶対隠せてないじゃん。心の中では思いつつ、姉の後ろをつく形で中に入っていった。
中に入ると丁度よくエレベーターが到着したので、ショッピングを終えた中の人と入れ替わりでエレベーターに入る。俺の髪色が特別珍しいのでやはりジロジロ見られはするが、雫ちゃんのことは知らないみたいで、特に突っかかれることはなかった。
それでもウィッグ付けるべきだったなと後悔しつつ、エレベーターはそんな俺の気持ちを無視して徐々に上がっていった。
ピンポーン。その音を皮切りにエレベーターはピタッと動きを止めた。
「さっ、行くわよ裕樹」
「うわぁっ、ちょっといきなり引っ張るなよ」
その反動で自分の意思とは裏腹に、エレベーターから飛び出てしまった。エレベーターは俺たちが外に出たのを察知すると、もう一度音を立ててドアを閉め、別の階へ行ってしまった。
「でも案外大丈夫でしょ」
見渡すと俺を珍しそうにじろじろ見てくる奴はいるが、少し眺めた後は連れの友達や家族との会話に戻っていった。登録者数が百万人を超えている雫ちゃんの姿だからこんな変装すぐバレれて騒がれる、なんてことを考えていたからちょっと意外な結果となった。
この結果を踏まえて安心したのと同時に、雫ちゃんの知名度もまだまだかと少し悔しい気持ちにもなった。
「ほら、登録者百万人越えの姿の方悔しがってないで行きますよー」
「分かったよっ」
心の中では少しイラつきはしたが、姉に置いてかれると溜まったもんじゃないので、小走りで姉の後ろを追いかけた。
「それで、最初は何処の店か決めてるのか?」
「うん、行く場所は決めてるんだけどね。その前に少し待ち人を迎えにいかないと」
「待ち人?」
「そうそう、私一人だと大変だから一人助っ人呼んでるのよ」
誰だと思いつつ、連れてこられたのは全国で展開している有名なカフェ。
「いらっしゃいませ」
「先に一人入ったと思うんだけど……」
「ああ、そのお客様でしたらあちらでお待ちしてますよ」
「ええ、ありがとう」
姉は御礼を伝えてから案内された席に向かった。俺も一応お辞儀だけして急いで姉についていった。
まだ誰か知らされてない俺ではあったが、姉がその子に抱きついた時に瞬時に誰か予想がついた。そう、遊王子だ。




