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推しのvtuberになりました!  作者: 東郷 アリス
第二章

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第14話 目覚め


目が覚めて起き上がると、よく見たことのある部屋だった。

しかし、それは自分の部屋だというわけではなく、その部屋はVtuberである雪白 雫ちゃんが配信で使っている部屋の風景だった。

驚きはしたものの、それ以上に最近特に酷かった体調がすっかり良くなっていたことに気づき、心の中で喜んだ。


部屋にあった姿見で自分の姿を確認する。寝る前に着ていた服はなぜかなくなっていて、鏡に映る俺は、変わり果てた裸体を晒していた。

大きな胸。そして男である証がまるっきり無くなっていて、女性のものへ、身体は更に小さくひ弱になっていた。


「あっ、ああー」


自分の次くらい聞き慣れた声が自分の喉から発せられる。


そう、俺は完璧に雪白 雫になったのだ。







「取り敢えず服着よう」


そう思って可愛らしいタンスを開け、中身を物色する。


「おっ、あった」


先ずは下着。一番手前にあったものを適当に穿いていく。ブラはつけたことがないので、何となくだが、これで大丈夫だろう。そして服はやはりこれだろうか。

いつも雫ちゃんがメインで着ている可愛らしさ全開のドレスコーデ。着たことがないのに何故か一番落ち着くのだ。


着替え終わったところで部屋を出る。少しトイレに行きたかったのと、家の中で他に変わっているところがないか確認するためだ。実際部屋から出るといつもの風景が広がっていて、基本的には変わっていないようだった。しかし、自分が使っている歯ブラシや顔を洗うタオルは女の子らしいものに変わっていた。

推測だけだけど、おそらく自分が主に使うものは変わっていて、一般にみんなで使うようなものはそのままという構図になっている。


他にも色々確かめたいことはあったものの、そろそろ膀胱がまずくなってきたので、トイレに行くとしよう。





少し時間が掛かったものの、女として初めてトイレを済ました俺は、手洗いを済まして朝食を食べていた。ここで気づいたけど、俺は右利きから左利きに変わったらしい。確かに雫ちゃんは左利きなので、この身体再現性高すぎだろと驚いてしまった。

 

テレビのニュースを見る。そしていつも通り雫ちゃんな動画や切り抜きをチェックする。うん、いつも通り面白い。

少し元気を分けてもらい、そのまま使った食器を丁寧に洗っていく。

洗い終わると再び自分の部屋に戻り、ベッドの上へ座り込む。


自分の部屋のようで自分の部屋じゃないみたいだ。居心地が良いのか悪いのやら、どっちなのか自分でも分からない不思議な気分。


「・・・」


無の時間がやってくる。しかし、これはこれで良いのかもしれない。


そうやってぼーっと部屋を眺めていると、「ガチャッ」と玄関のドアが開いた音が聞こえた。そしてドスドスと誰かが走ってくる音が聞こえたかと思うと、勢いよく部屋のドアが開いた。


「裕樹!!」


そこに立っていたのは、出張で家を空けていた俺の姉だった。


「お姉ちゃん……」


俺は黙って姉に抱きついてた。その時俺は何故か涙を流していた。姉はそんな俺を、何も言わずに抱きしめてくれた。

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