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推しのvtuberになりました!  作者: 東郷 アリス
第一章

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第8話 変化の兆しの学校生活。

投稿10本目。


その後すんなりと上履きを借りられた俺は、自分の教室に向かっていた。この学校には一年時クラス替えが無いので、廊下を歩いて基本ら俺の姿が変わったとかは気づくことはないだろう。

ただのダボダボの制服を着た女っぽい男子高校生とは思われるかもしれないが。


少しずつ変化していく身体。躊躇いや戸惑いが全くないとは言えない。ただ、自分が自分じゃなくなっていく感じがして少し怖い。


そう考えているうちに教室に着いた。ホームルームがあと少しで始まるため、既に教室にはほとんどの人が席について周りの人と喋ったりしているが、まだ何席かは空席だった。


「おはよう」


いつもなら通りがけにクラスメイトに挨拶をしていたが、この身体の変化に気づかれるのがすこし怖い。これがきっかけでイジメれたりしたら。だから縮こまりながらさっそうと自分の席に着く。

席について黙っておけば、あまり気づかれることはないだろう。


でも、やはり全員に隠せるわけではない。少なからず何人かは俺の身体の異変に気付いているだろう。


「あれ、湊じゃん、昨日のイカした髪はどうしたんだよ」

「あははは……先生に注意されて戻した」

「まあ、あんな派手だとな。目をつけられないように気をつけろよー」

「ああ、ありがとう」


クラスメイトである一人と会話を済ませる。あいつは意外と鈍いから助かった。

俺は安堵の息をこぼす。


「湊くん少し怯えているように見えたけど大丈夫?」

「ん?あ、遊王子か」


やっぱり俺の事情を知ってくれている人が近くにいると安心する。今俺が一番怖いのは、俺のことを知ってはいるが関係があまり深くない遊王子や瑛太以外のクラスメイトたちだ。

彼らは良くも悪くも噂をよく流すのだ。


「ごめんな、ちょっと今更だけどこの変化が怖くなってきて……」


俺は少し落ち込むように顔を下に向けた。


「そうね、いつだって変化は怖いことよ。でも大丈夫。貴方がどんなに変わっても私は貴方の味方だから」

「遊王子……ありがとう」

「べ、別に何もしてないわよ」


俺から顔晒そうとする遊王子の頬は何故か赤らんでいた。







そして放課後。瑛太が何故か学校を休んでいたが、特に特質したことはなかった。

当然いつも瑛太を含め三人で下校するので、必然と遊王子と二人で下校になる。


「今日のフットサル俺もやりたかったなー」

「ウィッグ取れて生活指導行きよりはマシでしょ」

「うっ、確かに」


遊王子が痛いとこをつく。でもずっとウィッグがずれ落ちるからという理由で体育を見学するワケにはいかない。今後のために何か対策しないとな。


「なあ、遊王子。俺は本当に元の姿に戻れるかな?」

「何よいきなり。さっき言った通りどんな姿でも私はそばにいるわ」

「そうか、そうだよな」


やっぱり遊王子はいい友達だ。それを聞くだけで安心する。


ちょっと上機嫌に信号を渡り、帰り道とは反対の道を歩く。そう、今日は少し寄り道だ。

元々真っ直ぐ家に帰るつもりだったが、遊王子が好きなカフェの新作メニューが出たらしく、一緒に行くことになった。


カフェに着くといつも通り注文する人と席をとる人で別れる。今回俺は席をとる人だ。


「湊くんは何かいい?って抹茶フラペチーノのよね?」

「正解!」

「分かったわ、席お願いね」

「りょーかいー」


階段を上がり空いている席を探す。空いている席はと……あった!


ややはや走りで駆けつけて無事確保する。これで俺の役目は終了だ。暫くスマホを弄って時間を潰す。


そういえば昨日の夜はしんどくて雫ちゃんの配信は見れかったやつがあったな。


彼女のチャンネルを開き、イヤホンを片耳だけつけて昨日の配信をつける。


オープニングが流れ、彼女が現れる。


『はいどうもー、雪白 雫です!今日も今日とてこのゲームをやっていきたいと思いまーす!』


初めて見る人用に最初は軽くゲームの説明が挟まれる。それが終わり、いざゲームというところで遊王子が買った飲み物を持ってこっちに向かって来るのが見えた。


後でまた見るか。そう思ってイヤホンを外しスマホの電源を切る。


「はい、抹茶フラペチーノ」

「サンキュー」


受け取った抹茶フラペチーノを最速で口に入れていく。


「うん、さいこー」

「それは良かったわね」


そう言って遊王子は席ついた。


「雫ちゃんの配信見てたの?」

「ああ、昨日の夜は見れなかったからな」

「ああなるほどね」


相槌をし、遊王子も新作のフラペチーノ(確かメロンをふんだんに使ったとか)を飲んでいる。


「ウィッグの調子はどう?」

「基本は問題ないかな、ただ熱気が溜まって少し蒸れちゃってるかな」


手で仰いで暑さを表現する。


「あの髪は結構目立つけど気にならないなら、学校は終わったし取っちゃえば?」

「んー、確かに。知り合いも周りに居なそうだしお言葉に甘えて取っちゃおうかな」


俺は手を頭の横に持っていきウィッグを慎重に外していった。そしてあっという間に黒髪から水色の髪に変わっていく。


「はぁ〜、頭が涼し〜」


髪をぱさりと舞い上げる。よく見ると俺の方をじっと遊王子が見ている。何だろうか?


「やっぱり目立つわね」


彼女は笑いながら言った。確かにちょっと視線が多くなった気がする。それでも興味は一瞬のようで、時間が経つにつれそれも無くなっていった。


カフェで俺と遊王子の会話は少なかった。彼女は読書、俺は雫ちゃんの配信を見る。いつも通りだ。

時間は過ぎ、カフェから出る頃には外の日もだいぶ低くなっていた。


「じゃあ湊くん、また明日ね?」

「ああまた明日」


そう言って別れを告げた頃には既に日が沈んでいた。


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