プロローグ。
『今日も配信ありがとうございました!じゃあまた明日、お疲れ様ー!』
画面上で動くその女の子は、笑顔で手を振って配信を終了した。そこで流れるエンディングは、彼女の水色を基調にした髪とそれに似た水色に光る瞳をより綺麗に映した。
そんなエンディングを見てから俺はスマホの画面を閉じて立ち上がった。
そんな俺の名前は湊 裕樹。vtuber大好き青春真っ只中の高校二年だ。因みに俺の推しは雪白 雫ちゃん!人見知りだけどゲームがめちゃくちゃ上手くて驚くようなプレーをみしてくれる。歌も良いし性格も可愛いし、最高だ!
そんな俺だが、今現在は秋葉原に来ている。もちろんvtuberのグッズを買いに行くためなのだが、なんと今日から雫ちゃんの所属するブイライのポップアップストアが開催するのだ!
いけない、こんな話をしてる場合じゃない。早速行ってくる!
そう言ってポップアップストアに行った一時間後。俺は満足気に秋葉原の道を歩いていた。目標の雫ちゃんのグッズはゲットしたし、特典でランダムでついてくるポストカードでは見事に雫ちゃんを引き当てた。
今日の俺なら嫌なことでもなんでもいいよって言っちゃいそうだわぁ。
そんなことを思っていると、突然女の人に話しかけられた。
「す、すいません!タピオカ飲みたいんですけど、お金なくて、買ってくれませんか!?」
いつもなら断ってたかもしれないが、今日の俺は海よりも山よりも深い心を持っていて寛大だ。しかも可愛い女の子の頼みだ。俺は軽く了承した。
「すいません、ありがとございます。本当に奢ってくれるなんて思いませんでした。本当に感謝です!」
「いや、別に気にしなくていいですよー」
彼女に奢るついでに自分のために買ったタピオカの抹茶ミルクティーを「ズズー」とすすっていく。
「それでもありがとうございます。お礼と言ってはなんですが、その袋の中に入ってる女の子が好きなんですよね?」
「そうなんだよねぇ、雪白 雫ちゃんっていってね」
「その子になりたいくらい好きですか?」
「もちろん、どんなに炎上しても愛せる自信がある!」
「そうなんですね、それは良かったです!」
そう言った彼女は立ち上がって空になったタピオカの入れ物をゴミ箱に捨てる。
「今日はありがとうございました!このお礼は返しときましたので、絶対喜んでくれると思います!では!」
「え?うん。じゃあね」
俺なんかお礼返されたっけ?そう疑問に思いつつも彼女が見えなくなるまで手を振って見送った。
そんな次の朝。
溢れ出る眠気を抑えながら洗面所までいって顔を洗うため自分の寝ぼけた顔を覗いた。しかし、その寝ぼけた顔は一瞬で変化した。
「な、なんだこの髪色は!?」
そう、鏡の前に写っていたのは、昨日までとは違う水色の髪をしている俺だった。