4、 ドラゴンの話
『これこれ、何も聞かずに一方的に怒るな』
「そんなこと言われても、めんどくさくて逃げてきた以外の何があるのよ」
おじいちゃんドラゴンがナナちゃんの方から逃げながら、ぼくのまわりをくるくるとんでいる。
『いやはや、あなどられたものだ。何か感じてこちらにきたのじゃ』
「そうやって言い訳して、さぼるなら最初から一緒にやるなんて言わなきゃいいのに」
『やる気はあったんじゃよ。それよりも気になることがあっての』
「そんなこと言って疲れるから嫌になっただけでしょ」
『この辺だったかな』
「ああもう人の話を聞かないで」
なんだかふたりでけんかしててぼくも少しこわい。
パパとママを見たらうんうんと顔をうごかしていて、たすけてくれなさそう。
『さっき少しだけ力が強くなったんじゃが、ここら辺なんじゃ』
「そんなこと言ってごまかせると思わないでよ。本当に疲れたのよ私は」
『じい様、さっき精霊と力を合わせた時、私の何か感じた。それと同じだろうか』
「ディーネまでそんなこと言うの? 一体何なのよ」
『分からない。だがさっきの水を生み出すのとは別の力があった気がしたんだ』
一体何お話をしているのだろう。
『精霊の力のせいかと思ったけど、違うのだろうか』
『わかった?』
『わかんない』
「2人はわかんないのね、ヘイは?」
ナナちゃんが上をむいて一人でとんであそんでるドラゴンにいったけど、そのままあそんでるみたい。
「返事はないと、まあまだ子どもだし分からないのかな」
大きいドラゴンたちだけで話すみたい。
『大きな力に反応したのか?』
『分からなかった』
『どんな感じ?』
『何か吸い取られるような』
『大地が変化したせいか?』
『そのせいだろうか。もっと何か小さいものかもしれんぞ。精霊の集まったのせいか、この土地に根付いた何かが変化しているのか。可能性はいくらでもある』
「難しい話になってきたわね。この水晶を作るのは大地に異変をきたさないんじゃなかったの?」
『そのはずじゃ。元々こういうものじゃ水辺というものは』
「そっちの世界の話でしょ、それは」
『なんにせよ、また何か力を使えば反応するんじゃないか』
『またやるの?』
『あの大きいの作るのは大変』
「そうね、今日はもう無理よ」
『だが何か新しい力の流れたとすると、確認しないままというのも』
『何かあってからでは困るじゃろ』
『仕方ないな』
『これ以上地面は掘らない方がいいよ』
『ここら辺崩れそうだよ』
「それは困る」
『じゃあ雨じゃな』
『そういうと思ったよ』
「何か立て込んでるようだから、俺たちは戻ろうか」
パパがぼくたちに言った。
急に話しかけられてびっくりした。
「ドラゴン見たいけど、話はできなさそうだな」
「どっかちがうところ見に行こうぜ」
カイくんとソラくんもむずしい話を聞くのがいやだったみたい。
「ごめんね、また今度ゆっくり話でもしよう」
ナナちゃんが手をふっていた。
ママがぼくの手をつかんで歩きだす。
ぼくもいっしょに行かなくちゃ。もう少し話聞いてたかったけど。
「これからディーネが何かするみたいだから、離れて見てるといいかもよ」
ナナちゃんが教えてくれた。
ぼくたちはみんなで体育館の方へ戻ると、遠くなってしまったけどナナちゃんたちがいた方を見てみた。
青いドラゴンが空の高くに飛んでいく。
くるくると回っていて、なんだがたつまきでもできそうな感じだった。
「すっげえな」
「ドラゴンがおどってるみたいだ」
カイくんとソラくんはジャンプしてよろこんでいた。
おどっているようにも見える。何か歌みたいな、小さい音が聞こえる気がするけど、よく聞こえない。風なのかな?でも風が強いわけじゃなくって、なんだか少しすずしいような気がした。
「霧か?」
「そうねミストが出てきてるみたい」
パパとママが話している。
「ミストって何?」
「うーん、細かい水が飛んでくる感じ?かな」
このつめたいかんじが水がとんでいるせいなのかな。
手やほっぺが冷たくなってきた、でも何かがあったかい、あつい? あの石かな。取り出してみると、やっぱりあつくなっている。
「みなと? どうしたの?」
ママがこっちを見ている。
この石見つかったらまたおこられちゃうかな。
『これ!』
急に目の前に黒いドラゴンがきた。
びっくりして石を落としてしまった。
「それみなとの拾った……」
「え? また石拾ってきたの?」
パパが言っちゃったから、ママがこわい声になった。
『これ! これ!』
ナナちゃんが走ってこっちにきた
『これは何だ』
「ちょっと待ってよ、みんな空飛ぶだけなんだから早すぎ」
『これはこれは』
みんなが集まってきて、ぼくは石をかくせなくなっちゃった。
『出てくるよ』
黒いドラゴンがぼくを見ている。
出てくるって、どう言うことだろう。
「で、てくる?」
『これは珍しいものを見つけたな』
おじいちゃんドラゴンがとんできた。
「これは何?」
ママがおこってる声で言ってる。
「なになに?」
「むずかしい話?」
カイくんとソラくんも見にきちゃった。どうしよう。
ぼくは落ちた石をそのまま見てた。
『これは、卵だな』
「卵なの?」
『おそらくーーーじゃな』
「だめね、聞き取れない言葉だわ」
ドラゴンたちがこれが玉子だって言ってる。やっぱり石じゃなくて玉子だったんだ。
『出てくるよー』
「ちょっとヘイ、これ今孵るの?」
『出てくるー』
「え、何? 石じゃない? それで出てくるの? 産まれるの? 何で?」
「俺も分かんないけど、なんかあっちの世界のやつなんじゃないの? 鶏卵よりちっちゃいでしょ」
「たまご!」
「うまれるって!」
みんながいろんなこと言ってる。どうしよう、これ石じゃなかった。何か出てきちゃう。
『これはあれじゃ。炎の生き物、わしらと同じドラゴンのような』
「これドラゴンの卵なの?」
ナナちゃんが大きな声を出してびっくりした。
「「ドラゴン!」」
ぼくのひろった石みたいな卵、ドラゴンだったの? どうしてうちにいたの?
「すごいよ、卵が動き出した」
『手を出して見なさい』
おじいちゃんドラゴンがぼくの前にきた。
「ぼくのて?」
『そうじゃ。ナナ手伝ってみるのじゃ。力が足りん』
ぼくは卵の方に手を伸ばした。
卵が一人でとんで? ういてきて手の上にのった。そしたらなんだか火みたいのが出てきた。でもぜんぜんあつくない。あったかい。
「え? それ熱くない? 私どうすんの?」
『手の下に手を添えてやれ。力の補助じゃ』
「そんな雑な。大体力の使い方なんて私だってよく分かんないのに」
ナナちゃんの手がぼくの手の下にきた。
「な、なんか、動いてるよ」
「そうね、なんか燃えてる気がするけど、熱くないね。これ炎じゃないのかな?」
『ーーーー』
卵がはれつした。
びっくりして手をもどして目をかくしちゃった。
いそいで手をみたけど、やっぱりなにもいない。どこかに行っちゃった。
「みなと上見て」
パパがぼくの頭の上を見ていた。
ぼくも見て見たら、トカゲみたいなオレンジみたいな色の光ったドラゴンがいた。羽が生えてる。ちっちゃいけど。
「出た!」
「ちっちぇ!」
オレンジのドラゴンはだんだん光が消えていって、ぼく肩にのった。
「みなとの拾った石からドラゴンが……」
「なんでこんなのがうちの庭に」
「うちにあったの?なんで?」
『世界が混ざった時に落ちたのかもしれない』
『この種は親が卵を産むときに火の中に隠すんじゃ。そのあとは土の中に隠れて溜め込んだ熱を使って成長して、そのうち孵る。火を食べたり親が力を注ぐことで大きくなる』
「この子は喋るの?」
『無理じゃ』
『無理だろうけど、こっちの世界で成長したらどうなるかは分からないかな』
なんだかぼくもドラゴンライダーになったような気がしてうきうきする。
ナナちゃんみたい。まだちっちゃなドラゴン。かわいい、火がもえてキラキラしているみたい。羽がすけてる、とうめいなオレンジ。
でもこの子かってもいいのかな、育ててもいいのかな。
「この子、名前つけてもいいの?」
パパとママに聞いたけど、返事がない。こまってるんだと思う。ママはこう言う時いつもダメっていう。
ナナちゃんの方を見てみると変な顔をしている。
「えっとね、多分名前をつけると契約者になるのよ。だから…」
ナナちゃんがパパとママを見た。
「みなとはナナみたいになるってこと?」
「そうなると思う」
「「ドラゴンライダーだ!」」
「そうそう」
ぼくは本当にドラゴンライダーになれるのかもしれない。
「すごいなみなと! ドラゴンライダーになれるって!」
「いや、あの、私もなんだかよくわかってないから。具体的にどうなるかは」
「そんなのダメに決まってるでしょ!」
ママが急に大きな声を出した。




