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彼女が昔ニンゲンだった時  作者: 志摩
2-2  みなとくんの日記
36/38

3、 水晶の魔術









「いやーすごいな、ロープに布つけて仕切りにしてるのか」

「ないよりはいいけど、まあなんとも言えない感じね」

「布団敷いたら終わりだな。あ、毛布だけか……布団も持ってくれば良かったか」

「布団山ほどあるもんね、おばあちゃんのそのまましまってるやつ」

「そうだな、あんまり寒いようなら取りに行かせてもらうようだろうな」

「あ、あの端っこだね。トイレの前だ」

「とりあえず荷物置いてトイレ行ってくるか」

 パパが先にトイレに行った。

 ママと2人でおるすばんして、ぼくは少しだけ持ってきたおもちゃを出した。

 トイレからだれか走ってでてきた。

「カイくん、ソラくんだ」

 ちょうどカイくんソラくんはトイレに行ってたみたい。うしろからパパもきた。

「みなと!」

「みなとだ!」

「この子達がお友達? こんにちは」

 パパが2人のほうに言ったら、少しびっくりしてた。

「「こんにちは!」」

「こっちきて遊ぶ?」

 ママが呼んていた。ぼくはおもちゃが取られちゃったらちょっとこわいけど、ひさしぶりだから少しあそびたい。

「ちょっとまってて」

「オレらもおもちゃ少し持ってる」

 2人はかけっこしながら行っちゃった。

「ばあちゃん! みなとがいた!」

「あそんでくる!」

 大きなこえがこっちまで聞こえてきた。

「元気なんだね、お友達」

「うん。ガロンすきなの」

「そっか。みなともおもちゃ持ってきたね」

 ぼくはガロンのライバルのリリーのフィギュアをもってる。

「みなとー」

「ガロンのおもちゃだぜ」

 カイくんはガロンとガロンの弟のゼロンをもってた。

 ソラくんはあんこくりゅうきしのリオンとシオンをもってた。

「おー、ガロンたちいっぱいだな」

「みなとのパパ、ガロン知ってるの?」

「すげえ! じいちゃんとばあちゃんぜんぜんわかんないんだもん」

「オレのガロンとゼロン!」

「こっちはリオンとシオン!」

「ぼくはリリーある」

「おーすごいな。あとはイアンとダインで揃うな」

「「スケントン軍団がいない!」」

 ガロンたちドラゴンナイトは人間に変身して悪いことをしてるスケントン軍団ていうおばけとたたかってる。その他にもアクマ軍団とかデビル軍団とかいっぱい悪いやつがいる。シリーズごとに軍団がかわる。

「リオンとシオンは?」

 リオンとシオンはあんこくりゅうきしで、もともとアンコク軍団に捕まって悪いことしてたドラゴンナイト。最近のテレビではいいやつになった。

 2人もどうしようかと話してた。

「おばちゃんがアンコク大魔王になろうか?」

 ママがこわい顔しながら近づいてきた。

「いや、アンコク大魔王はいないよ」

「アンコクていおうって言うんだよ」

「そうなの……。ごめんね」

 ママはガロンあんまり知らないから、ちょっとはなしがおかしくなっちゃった。

 カイくんとソラくんは笑ってた。

「ドラゴンナイトいっぱいだな」

「ミナトは本物のドラゴンナイト見た?」

「うん。ナナちゃん、お友だちだから」

「まじか! デカかったなドラゴン!」

「いいな! オレたちもバスでここまでれてきてもらったんだ!」

 ナナちゃんの青い大きなドラゴンのことだと思う。

「ぼくたち3人だけだったから。ドラゴンのせなかにのせてもらった。すごかった」

「いいなー! かっこいいよな」

「オレたち、じいちゃんとばあちゃんが畑に行っててさ。手伝いにいくと緑のちっちゃくてしゃべるドラゴンがいるんだよ」

 カイくんとソラくんは手をパーにして、これくらいしかないと見せてくれた。

「だからいつも手伝いに行ってみてんだ」

「なんかおじいちゃんみたいなんだよね。おもしろいよ」

「緑のドラゴン……」

「そうそう、なんかドラゴンっていっぱいいるんだって」

「らしいね。あと黒いのと、合体するやつがいるんだって」

「合体するの? リオンとシオンみたいだな」

 急にパパが話しに入ってきて、みんなでびっくりした。

「そうなんだ! リオンとシオンは双子だろ! 強いんだよな」

「ユニゾンだよね。あの2人だけのわざなんだけど、本当にできるなんてすげえよな」

「すげえな、本物のドラゴンナイトだなー」

「なんだかナナちゃんがテレビの中の人みたいになっちゃったわね」

「だよなー」

 ナナちゃんにもっいろんな話聞いておけばよかった、ドラゴンの話。

 ナナちゃんはパパとママと難しい話ばっかりしてたから、あんまり話す時間がなかった。世界が混ざってるとか、べつじげん? の生き物とか。新しいスタイルの生き方とか、なんとかかんとか。

「そうだ! たんけん! 行こうぜ!」

 カイくんが言った。

「たんけん! いいね! もしかしたらドラゴンに会えるかも!」

 ソラくんも行くみたい。

 ぼくも行きたいけど、パパとママがいいって言うかな。

 パパとママを見てみると、笑ってた。

「パパとママも一緒に行ってもいい?」

「きたばっかりだから、色々教えてくれると嬉しいなー」

 行ってもいいみたい。

「ぼくも行きたい」

「「いこう!」」

 カイくんとソラくんは先に走って行っちゃう。

「あ、待って」

 ぼくはいそいで追いかけた。

 カイくんとソラくんはどこかのお部屋に入って行った。

「ばあちゃん! みなととたんけんしてくる!」

「行ってくる!」

 おばあちゃんが何か言ってる声がしたけど、2人は走って行っちゃう。ぼくも追いかけないと。

「まってよー」

「みなと! はやく!」

「いそげ!」

 2人はリレーでえらばれるくらい足がはやいからすぐにいなくなっちゃう。ぼくは走るのきらいだからゆっくりしか行けない。

 入り口の方で2人は見えなくなっちゃった。ぼくも入り口についたら、2人は外の入り口の近くでジャンプしながら待っててくれた。

「はやく!」

「みなとのパパとママは?」

 ぼくは後ろを見たけどいない。

 少しおくまで見ると、さっき2人がおばあちゃんになにか言ってた家のあたりにいた。

「たぶん、カイくんとソラくんちのおばちゃんと話してる」

「なんだ、ばあちゃん何言ってんだろ」

「おこってないといいな」

 2人は少しおびえた顔をしてる。おばあちゃんもしかしておこるとすごくこわいのかも。

「大人いないとおこられそうだもんな」

「オレたちだけじゃやばいかなー」

 2人の言ってることは正しいと思う。ぼくもおこられるのはいやだから、パパとママがついてくるならそっちの方がよさそう。

 また後ろの方を見るとパパとママはおじぎして歩いてくるところだった。

「もう来そうだよ」

「やった!」

「出発だ!」

 ぼくもくつをはいて、パパとママだってすぐにくるだろうからと先に3人で出発した。














「畑の仕事はさ、お昼までなんだ」

「その後はおやすみなんだって」

「だからドラゴンナイトのお姉ちゃんはしょくいん室とかにいるらしい」

「あとはほいく園のほう」

「なんか新しく水をためる場所作るらしいんだ」

「そうそう。まほうでずっと水がなくならないようになるんだって」

「それを作るのにいそがしいとか」

「いやまほうがむずかしいんじゃなかったっけ?」

「そうだっけ?」

「あれ? 新しくまた野菜作るんだっけ?」

「あ、それも言ってた。そのまほうがむずかしいんだっけ?」

「そうだっけ?」

「あ、あとドラゴンナイトのお姉ちゃんのほかに、まほうつかいのお姉ちゃんいるらしいよ」

「まほうつかえないらしいけど、見えるんだって」

「オレたちも何か見えたらすぐに言うようにって先生言ってたぜ」

「何が見えるのかはよくわかんないけど、なにか見えるらしいぞ」

「きらきらってなる? とか」

「風が光ってみえる? とか」

「なんかすげーよな」

「だよな。やべーよな」






 カイくんとソラくんは、まずは体育館、その後ろの方の畑、そしてぐるっと回って反対にできてたほいく園の方へ歩いて言った。そしていっぱいしゃべっておしえてくれた。

「カイくんとソラくんはなんでも知ってるんだね」

「すごいなー。ドラゴンナイトに魔法使いまでいるとなると、なんだか違う世界の話みたいだよな」

 ドラゴンとまほうつかいはよく絵本にも出てきたし、テレビでもよく出てくる。でももう小学三年生になるから、本当にはないって知ってる。でも今は本当にあるようになった。本当にゆめみたい。

「オレたちもドラゴンナイトになれるのかな!」

「すげーよな! 超楽しみ!」

「まほうつかいもすごいよね」

「だよなー」

「どっちもありだな」

 ぼくもドラゴンナイトでもまほうつかいでも、どっちでもいいからなれたらいいな。

「いやしかしここに保育園があるとはびっくりだね」

「ドラゴンナイトが空から運んできたらしいよ」

「すごかったぜ! 超ゆれたんだ! 何かと思ったらほいく園が落っこちてきたせいだったんだって」

 2人はぴょんぴょんとびながら話してる。

 いいな、ぼくも見てみたかった。

 パパとママも見てみたかったって笑ってる。

「あっちがさっき言ってた水を貯めるやつかな?」

 パパがなんか地面があなあいてるところを見てた。けっこう大きいあなだった。ぼくんちくらいならはいっちゃいそうなかんじ。

「そうそう。落ちるとあぶないからあんまり近づいちゃいけないんだ」

「たすけてもらわないと出てこられないって、落ちたやつが言ってた」

「落ちた人いるのね。それにしても大きいわね」

「まあここにいる人間全員分って考えたらしょうがないんだろうけど」

「そうね。崖になってるわけじゃないから、怪我するってほどじゃなさそうだし。それでもあっちのはじまであるからかなり広いわね」

「プールよりでかいかな?」

「いやプールくらいじゃね?」

「水たまったらおよげるかな」

「たのしそうだな」

 2人がニヤニヤしながらちっちゃい声で言ってる。

「おこられそうじゃない?」

 ぼくが言ったら、

「大丈夫。バレないように」

「先生いなければ」

 って言った。カイくんとソラくんはいつもこう言って、先生にバレておこられてる。

 でもとってもおもしろいし、あそんでて楽しい。

「あ! ドラゴン」

「うそ! どこどこ!」

 カイくんが空をゆびさしてる。

 ぼくも空を見たら、青いドラゴンが穴の真ん中におりていった。

「わーすげー」

「いーな、行きたいなー」

 2人があなの方をすこしのぞきこんて、もどってをくりかえしてる。ぼくも見たいんだけど、落っこちそうであんなに近くまで行けない。入っちゃダメなせんが引いてある。きっとほんとうにあぶないんだ。

「何してるんだろうな」

「そうね、あれナナちゃんもいるね、背中から降りたみたい」

 青いドラゴンが座っていたみたいだったのに、立ってるみたいになった。

 そしたら空から首が2つついてるドラゴンがおりてきた。黒いちっちゃいドラゴンもいた。

 黒いのは空とんで遊んでるみたい。首が2つのドラゴンは青いドラゴンみたいに立ち上がった。

「ドラゴンいっぱいだなー」

「いーなー」

「いっぱいだ」

 ぼくたちは3人で近づいちゃいけない線をこえちゃったみたいでパパとママにとめられた。

「落ちちゃうよ」

「気をつけて」

『落ちても死にはしない。大丈夫』

 どこかから声がしたけど、どこかわからない。

「え!」

「なんだ!」

 パパとママがすごいびっくりしてる。

「おじいちゃんドラゴンの声だ!」

「どこ! またかくれてるの!」

 カイくんとソラくんがキョロキョロさがしてる。

『ここじゃ』

 ぼくの目の前に何かいた。

「わー!」

「「いた!」」

 カイくんとソラくんがぼくの顔にくっついてきた何かをとってくれた。

 緑の蛇みたいなトカゲみたいなやつだった。

「おじいちゃんドラゴン、ここでなにしてるの?」

「みんなあっちにいるんでしょ?」

 カイくんとソラくんが、おっきなドラゴンたちのいる方を見てる。

『お前たちいい時に来たな。今大きな水晶を作ろうとしていての。雨と大地の精霊の力を借りて大きな魔術になる。人が多いと気が散ると言って内密にしておったが、ここにいたものは仕方がないからの。皆んなでここで大人しくしているんじゃ。危ないからの』

「まほう!」

「すげー!」

「水晶作る?」

「なんかすごいことしてるんだね」

『ここに清らかな水辺を作るにはこれが1番早い。これだけの規模だと他の種族のものも集まってくるだろうからの。あえて大きくして向こう側を作ったんじゃ。大丈夫、こちら側にはこない。これだけ力の強いものがいるんじゃ弱い種族は領域を越えてこようとはしない。ほら始まる』

 ナナちゃんが真ん中に立って、青いドラゴンと首が2つのドラゴンがむきあってる。

『ほれ、力を集め始めた。幸いここは気が集まっておる。すぐにできるだろう』

 ドラゴンたちのいる地面のところが少しずつ光ってる。それがだんだん広がっていってぼくたちの近くまできた。

「すごいね、光がこっちまできた」

「光?」

「光ってるの? どこどこ?」

 カイくんとソラくんがキョロキョロしてる。ぼくたちのすぐ近くまで光ってるのに、2人には見えないのかな。

「すぐ近くまで、海みたいに光ってるよ」

 パパとママの方を見たけど、2人ともわからない見たいだった。

「わかんないぞ」

「何か光ってるの?」

「えーみなもにしか見えないのー」

「いーなー」

 これはぼくにしか見えないみたいだった。

『お主にしか見えないのか。誰にでも見えるものじゃないようだ。少なからず力があるのかもしれんな』

「それってまほうの力?」

「みなとはまほう使えるの?」

「ぼくだけ?」

『これこれそんなに慌てないで、話を聞くのだ。わしにはもうここは水でいっぱいに見える。それは精霊の力が満ちているからじゃ。それをこの後実際に生み出すのにはもっと力を集めなければならん。それを今あいつらがナナを中心にしてやってる』

 ここがもう水でいっぱいになってる、らしい。

 ぼくにはそこまでは見えない、なんか水たまりみたいな光ってるようなのが見えるだけ。

「きらきらしか見えない」

「オレなんも見えない」

「オレもなんも見えない」

 2人はちょっとすねてる。

「すごいね、みなとは魔法の素質あるんだって」

「おじいちゃんドラゴン、ミナトはこれからどうなるの?」

『どうなるって言われても、それは練習次第としか言えん。子どものうちは力が安定しないからもう少し大きくなってからでもいいし、小さいうちに魔力を増やす訓練だけしてもいいし。あとはドラゴンと修行しても後々の魔術につながるだろう』

「ぼくもドラゴンナイトになれる?」

『ドラゴンナイト?』

 おじいちゃんドラゴンはドラゴンナイトのこと知らないかもしれない。なんて言ったらわかるかな。

「ナナちゃんみたいなひと」

『それはお主だけではなんともならん、ドラゴンも人を選ぶ。2人揃わないと無理じゃな』

「みなとばっかりずるいなー」

「オレもドラゴンナイトなりたい」

『お主らもまだわからぬ、この世界は今変化している最中。何が起きてもおかしくはない。子どもの方が適応が早いだろう。老いたものにとって、変化や新しいことというものは時に受け入れきれずに拒否してしまう。そう言うものじゃ』

「なんかむずかしいこと言ってるけど」

「オレたちむずかしいのやだ」

 カイくんとソラくんはもうおじいちゃんドラゴンの話をきくのにあきてきたみたい。

「あ! とんだ!」

「ホントだ! とんだ!」

 ドラゴンたちとナナちゃんがみんなととんでこっちへむかってきてる。

 さっきまでみんながいたところにはキラキラが集まって固まってる感じになってきた。

「なんかできてきた」

「石みたい」

「そうね、あれが水晶ってやつね」

「そうだ、宝石みたいな透明な石だな」

『今度は見えるか、ならもう完成だな。すぐに水が出てくる』

 石が大きくなってえだわかれしていって、なんかチクチクしかかたまりができた。そしたら少しずつ水が出てきたみたい。

「すごいなー。あんなに大きくて背の高い水晶なんて売ってるの想像したら恐ろしい」

「ちっちゃい家くらいあるでしょう、やばいわ」

『あっちの世界じゃあんなもんどこにでもあったぞ』

「たかい!」

「でかい!」

 カイくんソラくんは大きくてよろこんでた。

「きれい……」

 ぼくはとうめいで光ってて、なんかすごい力があるかんじがしてかんどーした。

「ちょっとおじいちゃん! ここにいたの!」

 ナナちゃんがぼくたちのうしろにおりてきて、ぼくの近くをとんでたおじいちゃんドラゴンをつかまえた。

「肝心な時にいなくなって」

『後は若いもんでやってくれと言ったろう。これは年寄りにはきつい。ちゃんと説明したはずじゃ。できたからよかろう。よくやった』

「まったく、言い逃げね」

 ナナちゃん少しおこってるみたい。

 おじいちゃんドラゴンはナナちゃんにぎゅーてにぎられて苦しそうにしてた。

「うわーおこられてる」

「かっこわる」

 カイくんソラくんは大きな声で笑ってる。

『こう言うところがある、仕方がない』

『サカキおじいちゃん、疲れるの嫌い』

『サカキおじいちゃん、面倒なの嫌い』

 大きなドラゴンたちもしゃべったから、少しびっくりした。

「みんなおしゃべり上手ね」

「そうだな」

「そうでしょ。ドラゴン賢いの。私たちなんかよりずっと」

 ナナちゃんがおじいちゃんドラゴンをはなしてあげた。おじいちゃんドラゴンはヘロヘロになってぼくの頭にのっかった。

 ナナちゃんはまだすっごいこわい顔してた。











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