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彼女が昔ニンゲンだった時  作者: 志摩
2-2  みなとくんの日記
35/38

  ドラゴンナイト   ー 2










 


 学校に着いたらもうお外は暗くなっていた。

 みんなで体育館のところにおろしてもらった。ナナちゃんの黒いドラゴンは小さくなって頭に乗っててなんだかトカゲみたいだった。

 みんなおろしてもらったら青いドラゴンはどこかに飛んで行っちゃった。

 





 ナナちゃんが歩いて行くから、パパとママもぼくをだっこしてついて行った。

「いやー、お疲れ様。助かったよ」

「本当に、ナナちゃんがきてくれなかったら大変だった」

「タイミング良かったんだね。ちょっと気になることがあってあの辺見回ってたんだよ」

「何かあったのか?」

「特に事件とかってわけじゃないのよ。ただサカキおじいちゃんが……ドラゴンの長老みたいなおじいちゃんなんだけど、その人が昔の友達がいる気配がするって言うから。ちょっとそれを探しに」

「ドラゴンってそんなにいるの?」

「いるらしいよ。そりゃもうあっちの世界じゃ人間が絶滅しててドラゴンがいっぱいだったらしいからね」

 ドラゴンがいっぱいいるところ見てみたいな。ナナちゃんはたくさんのドラゴンと友達みたいでうらやましい。ぼくだってドラゴンナイトになりたい。どこかにぼくのパートナーになるドラゴンだっていると思う。

「あ、そうだ。とりあえず職員室に先生たちいるから色々手続きしてもらってね。そしたらとりあえずの食事と寝る場所が教えてもらえるから」

「そうなのね、わかったわ」

「今ね、結局どこからも助けが来ないから全部自分たちでなんとかするしかないのよ。だから色々分担してやってるんだけど、2人は農業のプロだから、多分畑チームになると思う」

「チームごとに作業分担してるの?」

「なんだか面白いことになってるんだな」

「そうねえ。そうしないことには人手が足りなくて、仕事もない、買い物行くところもない、お金なんてあってもなくてもかわらない、って状態だから」

 ナナちゃんが急にこっちを見た。

「ミナトもやることあるから、頑張ってね!」

「ぼく?」

「そうだよ。子どもたちは大きい子は大人のお手伝いとかに行ったり、お掃除当番だったり、あとはミナトたちよりもちっちゃい子達がいるからその子達と遊んでもらったりしてるんだ」

 ぼくのクラスの子たちもおてつだいしてるのかな。

「ミナトにできるのかな。ママちょっと心配」

「大丈夫だよ。ミナトは結構しっかりしてるよ」

「ママはちょいと心配しすぎなんだ」

 ナナちゃんとパパが笑ってた。

 ぼくはママと同じで、ちょっとこわかった。みんなと同じことするのって少しむずかしい。ひとりですきなことしてる方がかんたん。

「そうだといいんだけど」

「まあなんとかなるよ」

 ナナちゃんがそう言って、用があるって行っちゃった。

 パパとママとぼくはそのまましょくいん室に行った。

 








 しょくいん室に入ると先生たちがいっぱいいてびっくりした。なんかいつもより多い気がする。

 パパが近くにいた先生に手をふった。

「こんにちは」

「こんにちは、ナナちゃんが連れてきたのかな?」

「そうなんです、なんかまず手続きがあるからって言われて」

「そうなの、こっちに座ってね。やっと最近みんなの情報整理が始まったの。パソコン使えないからとりあえず紙なんだけど、これがもう大変で」

「そうなんですか」

 パパは先生につれて行かれちゃった。

 ママとぼくは入り口のところでまってるみたい。ちょっとだけママのことを見ると、わらってた。

「ミナトちゃん、久しぶりだね。元気だった?」

 ぼくのクラスのたんにんのましい先生だった。

 ママがぼくの方を見て、お口でぱくぱくしてるので、ぼくは先生にごあいさつした。

「先生こんにちは、元気です」

 先生とママはにこにこしてる。なんかこわい。

「お久しぶりです、なかなか家から出られなくて」

「そうですよね、無事で良かったです。色々起きた日は日曜日のクラスだったので。子ども達も全部いたわけではないからこうして会えて本当に良かったです」

「そっか。なんだかもう今がいつで何時とかよくわからなくて、困っちゃいますよね」

「そうですよね、旧式のものなんてほとんどないですから、田舎だからなんとかなるけど都会の方じゃかなり困ってるかもしれないですよね」

 ママとましい先生、いっぱい話してる。なかなかぼくとはお話しできなさそうなかんじ。

「先生、カイくんはいる?」

「いるよ。ミナトちゃんはカイくんソラくんと仲良しさんだよね?」

「うん」

「良かったね、ミナト」

 これだけ聞けたら他はもういいや。

「カイくんとソラくんはご両親が仕事から帰ってこないんです。だからおじいちゃんと、おばあちゃんが、一緒にいます。うちのクラスは15人くらい授業にいたんですけど、ご近所でお家が無事な方は歩いて帰ってます。時々ここに食べ物をもらいにきたりしてますね」

 カイくんソラくんはふたごで、なかよしさん。いつもおじいちゃんとおばあちゃんといっしょみたい。パパとママはいそがしいらしくて、夜しかあえないって言ってたけど、ずっとあえてないみたい。さびしいね。

「そうなんですね、うちも家は平気なんだけど、どうにも孤立してしまって。やっと人に出会えたって感じですよ」

「本当に良かったですよね。今は何とか他の生き物たちと離れた場所で暮らしてますけど、実際問題として何が起こるかなんてまだ未知の領域ですから」

「ドラゴンっていっぱいいるんですか?」

 それはぼくもききたい。

「今ここにいるのはナナちゃんのドラゴンが、4? 5?かな。それ以外に作物を育てる生き物がいるらしくて、なんて言ったかな…。そのちっちゃいお猿さんみたいな子たちが裏山に畑を作って共同生活みたいなことをしてます」

「ちっちゃいお猿さん?」

「そうそう。元々あちらの世界の生き物なんだけど、ドラゴンの長老様が手伝いにはちょうどいいって言って連れてきちゃって。昨日から住み込みになってます」

「へえー、よくわかんないけどすごいことをしてるのね」

 ドラゴンだけじゃなくて、ようせいみたいなのもいるみたい。なんだかワクワクしてきた。

「ニュウモンキーって言ってたよ」

「あ、それは新しくつけたやつですね」

 パパが戻ってきておしえてくれた。

「ニュウモンキー?」

「あっちの世界の言葉は難しいから、先生たちでつけたって言ってたよ。なんでもキウイみたいな顔で手足がヒョロヒョロの猿なんだと」

 なんかへんなさるみたいだ、ちょっとつまらない。もっと羽があって空とべるとかならおもしろいのに。

「そのお猿さんが自分たちの食べ物は作って食べるらしくて、一緒に畑仕事してもらってます」

「へえー、そうなの」

「んで、俺たちも明日からその手伝いだと」

「そうなの! うまくやれるかしら」

「まだ探り探りなようですよ、何せ昨日からなんで」

「そうらしいですね。今日はとりあえずきたばかりだから色々見て回ったりしてくれていいってよ。部屋はミナトの友達がいるから、体育館の小アリーナの端っこのあいてるところ使えって」

「小アリーナってどこよ?」

「地下ですね、卓球部が使ってる場所で多分入り口に行けば分かると思います」

「さっきの先生もおんなじこと言ってたよ」

「ぼくしってる」

「ミナト行ったことあるのね。良かった」

「じゃミナトちゃん教えてあげてね。私もそろそろ戻ります」

 先生はだれかによばれたみたいでいそいでかえっちゃった。

「なんだかみんな忙しいようだよ」

 パパはぼくを抱っこすると、ママをしょくいん室の外につれて行った。

「ミナトここからも行けるか? 体育館」

「うん」

 ぼくはあっちとゆびさしておしえてあげる。

「手続きって何したの?」

「元々の住所とみんなの名前と生年月日、あとは職業と病気があるか、聞かれただけだよ」

「それだけ?」

「それ以外は今はいらない情報だとよ、電気がないから身分証の管理コードも電話番号も使えないとよ」

「それもそうか」

「んで、新しい住所の代わりが小アリーナの10番だってさ」

「新しい住所?」

「そうだ。体育館の全部のアリーナとホール、理科室とかああいう特別な部屋以外の教室は全部区切って、ここに逃げてきた人達それぞれで個人の部屋にする準備をしてるんだと。トイレは共有、飯は時間が決まってて家庭科室で順番に食べんだと。お風呂は今魔法で作れるか検討してるって言ってたぞ」

「なんだかすごいことになってるのね。大きい合宿所っていうか寮って言うか」

「それも自給自足だってよ。今のところ肉と魚はないから、それっぽい野菜食ってるって。でも野菜は魔法みたいなので何とかしようとしてて、あったかい飯は何とか火を起こして作ってるって」

「ご飯は魔法じゃないのね」

「あぁ、火を使えるドラゴンや種族が近くにいないって言ってたよ。なんでもこの辺には大地の生き物が多いとかなんとか」

「大地? の生き物?」

「俺に聞いてもよくわかんないぞ? そんなこんなで水と畑はなんとかなっても大きい火を起こすのは無理なんだと」

「そうなんだ、魔法みたいなのに、なんでもできるわけじゃないのか。難しいのね」

 ナナちゃんはドラゴンナイトになったみたいだけど、まだテレビで見てるガロンみたいになんでもできる人じゃないみたい。

 まほう使いもドラゴンナイトも、ガロンたちはできてたからすごいんだって思った。

 ぼくがすごいドラゴンナイトになってみんなを助けてあげられたらかっこいいかな。みんなうれしくなっちゃうな。

「魔法って物自体が馴染みのないものなんだし、うまくいかないだろうよ」

「そうよね、私たちにとっては映像世界のものだわ。リアルじゃない」

「ガロンは悪い奴と戦う時にドラゴンの力を使うからなあ、普段の生活の場面なんてあんまりやってないし、実際こうなってみるとどうすんだかわかんないことばっかりだよな」

「ガロンはまほう使いに手伝ってもらうんだよ」

「そうだな、ガロンだってひとりでやってるわけじゃない。ドラゴンナイトだって何人もいるし、手伝ってくれる魔法使いだっていっぱいいるんだから。俺たちもなんか手伝わないとな」

「そうね。新しい時代について行かないとよね」

「あ、ミナトも手伝いするようなんだ」

 ぼくのおてつだいとうばん……。

「保育園の子どもたちと遊ぶのと、お掃除とかと、パパたちと一緒に行くの、どうする?」

 ぼくはあそぶのがいいけど、だれかといっしょにあそぶとすきなことはあんまりできない。でもパパとママはきっと大人がいっぱいいるところに行っちゃう。でもへんなおさるさんがいるかもしらないところに行くのかな。

「へんなおさるのところ?」

「畑にいるってニューモンキーだっけ? じゃパパたちと一緒に畑に行ってみようか」

「そうね、今日少し見に行ってみない? 荷物置いて色々見に行きましょ」

「そうだな。ミナトもそれでいいかな?」

「うん」

「決まりだな」

 ちょうどたいいくかんの入り口が見えてきた。

「あそこからはいるよ」

「体育館だな。じゃ俺たちもの家に行ってみような」



















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