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彼女が昔ニンゲンだった時  作者: 志摩
1-2  ドラゴンと魔法

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2、光の粒は…




『変わった子だな』



 確実に私の方を見ていっている。生まれて初めてドラゴンの声を聞いた、きっと私に話しかけたんだろう。

「私のこと?」

『そう。力を持ってる』

「力?」

『私たちと同じ力』

 ドラゴンの持つ力とは一体何のことだろう。

「他の人たちにはないの?」

 ドラゴンは少し頭を上げて辺りをキョロキロ見回して、そんな人が他にもいないか、探してくれているようだった。

 私はナナさんとも話がしたくて様子を見てみるが、先生たちとの話はまだまだまだ白熱しており、こちらのことは視界に入っていなそうだった。


『この場所にいるものだと、少し力をまとっている子はいるけど、私たちのようには使いものにならないだろう』

「そうなんだ」

 3匹いるドラゴンが様子を見に来たのか、みんな私の近くに来た。もしかするとナナさんの側は白熱しすぎた話し声がうるさいのかもしれない。

 首が2つあるドラゴンがじーっと私の方を見ていた。

 何だか面白い、こんな風に目の前にドラゴンがいるなんて。


「ねえ、この光の粒みたいなのって何かわかる?」

 私は指で後を追うようにして光の粒が流れているところを示してみた。ドラゴンたちもそれを目で追いかけていたが、反応はいまいちだった。

 黒いドラゴンだけはどうやら子供たちの方へ行って遊んでみたいのか、そちらばかり気にしていた。


『見えないね』

『見えないね』

『私にも見えないが、それは力の流れのことだと思う』

「力の流れ?」

『そう。大地の力、水の力、火の力、風の力、その根源にあるものというのだろうか。私たちもその力を操っているんだと思う。そういうことは詳しくは説明ができない、すまない。きっと私たちの力と関係しているだろうと思うよ。ナナが魔法と呼んでいるものだ』

『魔法』

『魔法』

「これが魔法の力の根源にあるもの? それが私には見えてるのか」

 私の目の前にあった光の粒をギュッと掴んでみる。それは手のひらには残らず、何処かへ流れていってしまう。掴むことができない。

 なんだかとても不思議な気分だ。突然の世界の変化、そして私の体の変化。もともと私が魔法使いだった訳はない。この世界に魔法なんて存在してなかったのだから。本でしか読んだことのない、夢の世界の力。それが今私の目に見えているなんて。

『私は水を使える。みんなそれぞれチカラの質が違うんだ。君はどんな力を操るんだろうね』

「どんな力があるの?」

『たくさんある、水、土、風。世界にあるものは何かしらの力が作用しているから』

 青いドラゴンが、少し後ろを向いた。

 黒いドラゴンが子どもたちの方へ行ってしまったせいだった。

『私はさっき地面に穴をあけたよ』

『そうだね、地面、土、砂、そんなものは動かせる』

 その隙に首が2つあるドラゴンが頭を近くして話しかけてきた。 

『あの子はヘイって言うんだけど、まだ生まれたばかりでうまく力は使えないんだ。ヘイは闇の力を操る。うまく表現できないのだが、なんだろう。影と言うのかな、もしかしたら人の心さえも』

『そうだね、でもまだ子供だからね』

『これからいろいろ教えないとならないね』

 私も一緒に教えてもらえないだろうか。魔法が使えたら、私の人生とても面白くなる気がするんだけど。ドラゴンに伝えたらどうなるか、断られてしまうだろうか。なんだか勇気が出ない、私はそのまま言葉を飲み込んでしまった。


「そうなんだ」


 ドラゴンは私の方を見て少し笑うように鼻を鳴らした。

 3つの頭が私の方に近づいてきた。

『ナナも契約したあと、少しずつ力が増えてきている。落ち着いた後で良いなら、力の使い方を教えよう』

『私が教えてあげようか?』

『ヘイとも一緒に。3人だね』

「ホント! 嬉しい」

 そんなに私もやりたいと顔に出ていたのだろうか。少し恥ずかしいけれど、それよりは嬉しさが勝った。




「ーーーー」





 ゆっくり喜ぶ間もなく、子どもたちが駆け回っていた方から大きな声が聞こえた。

 さっきまで遊んでいた黒いドラゴン、その大きな姿がいつの間にかなくなっていて、もしかしたらその子が何かしたのかもと想像できた。

 もっと色々な話が聞きたかったのに。


『あれは、ヘイだろうな』

『そうだね』

『ちっちゃくなった』


 ドラゴンたちがそう言って、子どもたちの方へ首を回して歩いていく。

 やっぱりあの黒いドラゴンが何かしたみたいだった。

 なんだかみんな大騒ぎしていて、何を言っているのかうまく聞き取れない。

 ナナさんたちも流石に大きな声だったので気がついたのか、子どもたちの方へ向かっていた。

 私も様子を見にみんなについて行った。




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