異変
組織【アナスタシス】に捜査の手が入り、壊滅した。総統、監査役、威力部門の長が処刑されたという。書記長は遺体を調べるはずだから、まだ埋葬されていないかもしれない。
墓を暴けば、そこには威力部門の長マサーケと、僕を組織に引き込んだヤーノがいるだけだった。
「総統とヤーノが同一人物だった、書記長とヤーノが同一人物だった、総統とマサーケが同一人物だった、ヤーノが偽装死の援助者となった、など様々な可能性が考えられるな」
「普通に考えれば最後だと思うけどな」
荒唐無稽な説を挙げるハルクに突っ込んでおく。
「危険人物が生き残っている。何が起こるかわかったもんじゃない」
「帰ったら家がないかもしれないな……」
前にも家が吹き飛ばされただけに笑えない冗談だ。
ハルクは置いておいて、もう少し地下を探る。
しばらくすると、探っている僕の肩が叩かれる。
没入していて、呼びかけに気づかなかったか。作業から手を離さず答える。
「あー悪いハルク、もう二〇〇秒待ってくれ」
ところが、返事は前方から聞こえた。
「え? なんか言ったか?」
そこからの判断は可能な限り速やかだった。片手間で浄化の術式を組み立て、背後に撃つ。祝福を拒む死体人形や幽鬼を破壊するが、人間にはなんともない。
魔法の気配を探るより先に発動したのだが、手応えは予想外だった。
十五体の死体人形と三十体の幽鬼が浄化される。
多い。後ろにそんなにいたのか。行列のできる魔法使いだ。
ハルクも気づいてくれよ。
振り返ることで発動する呪いが残留しているのを解呪する。
「今気づいたのかよ。無害として放置してたんじゃないのか」
そんなわけないだろ。僕の実力に対して無害ではあった。
「相対的には無害だったろうよ」
一瞬真意を図りかね、遅れて魔法探知が状況を告げる。
墓地のあらゆるところから幽鬼が生成されていく。死体人形もちらほらいる。
僕はそれを認識した。
「大して変わらないかな」
即座にすべて粉砕した。広域での浄化だ。その辺の葬儀屋には負けないぐらいの腕はある。
「そうだな。すまん」
何がしたかったんだろうな。
しかし、帰った僕らは愕然とする。
「帰ったら家がないかもしれない」など、笑えない冗談だ。
そう思っていた。
現実に比べれば、笑えるほど甘い想定だった。
緩やかに川が流れる平地に建てられた都市だったはずだ。
出発したときまではそうだった。
地面が大きく盛り上がっている。
それだけではない。
あちこちから火を吹き、溶岩が流れる。
都市の真ん中に、火山が発生していた。
ここまで読んでいただきありがとうございます! 残念ながらもうすぐ終わりに向かいます……! 「もっと読みたかった!」「長かった!」「残念じゃないよ!」など色々思われると思います。
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