偵察者リズ
火の巨人を倒したと喜んだのも束の間、メイメイが矢を受けていた。
さらに追撃が来る。張っていた魔法障壁をも突破する。メラーの技術か。
減速した矢を掴み取る。当然のように毒が塗られている。
飛んできた側に火球を放つ。放ったとほぼ同時に、逃げていた研究員らしき人物に着弾したが、燃えたのは服だけだ。本人は逃げた。
「うっ……ぐ。熱い……」
メイメイは起き上がり、自分で矢を抜く。
彼女に毒は効きづらい。
だが、今は毒矢を受けて体の毒が活性化し、苛まれているようだった。
出会ったときと似た、自家中毒の状態だ。
「大丈夫、です。今の私なら、制御、できる。行きましょう。メラーを、討ちましょう」
お前はダメだ、と言おうとは思わなかった。
メラーのいる場所はわかっている。二人の研究員もいる。撤収しないあたり、罠があるのかもしれない。
森の中に分け入っていく。
「人の気配があるな。メラーでも研究員のケンとベルクでもない。巨人の戦いを見てもここにいるんだ。関係者かもしれない。組織の追っ手かな」
探知をかける。相手も気づいてこちらへ向かってくる。
「僕と知って向かってくるのか。いや、この魔力は」
「お知り合いですか」
会ったことがある訳ではない。
ただ、つい昨日感じた覚えがあった。
「【アナスタシス】に潜入した、偵察者さん」
魔法による記録の、主の魔力だった。
目の前から現れる。身軽な格好の女の人だ。
「ボルフ殿。お初にお目にかかる。リズという。今日はメラー殺害のため……」
リズと名乗った彼女は、信じられないものを見たような表情になった。その視線はメイメイに留められていた。
「お嬢様……?」
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