表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

配信中つばめ

訪れていただきありがとうございます。

 彼女は遠くへ行ってしまった。どれくらい遠くへ行ってしまったのかを測りたくて、30cm定規を準備したものの数値を読み取ることができなかった。距離的にこの定規では測れないところまで行ってしまったのか、はたまた今感じている距離というものが長さの単位をもつものではないのか。ここに僕は差があるとは到底思えなかった。


 「君はどうして遠くへ行ってしまったんだい。僕のことが嫌いになったとか。」


 「どうしてあなたは私を責めるの。遠くというのは相対的なものよ。遠くというのは行くものではなく、結果として提示されるものに過ぎないわ。」


 「でも僕はここから一歩も動いていないんだ。前にも後ろにも。」


 「位置というのもまた相対的なものね。あなたが動いていないのは、あなたが定めた系での話であって、それを私に押し付けるなんてちゃんちゃらおかしいのよ。」


 改めて乾杯、と彼女は僕にグラスを向ける。その姿を望遠鏡で覗く。僕は望遠鏡の仕組みをさっぱり知らない。だからこの望遠鏡が彼女と僕のなにを繋いでいるのかはやはりわからなかった。


 彼女と僕の間にはどうも何かしらの遠さが生じる。小さな川一本渡ることのできない僕はごみを集めてそこに引き籠るしかなかった。


 

 

お読みいただきありがとうございました。感想などお待ちしています。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ