八話 やっぱり美少女なんだよなぁ⋯⋯
「で、これ結局なんなの? 俺達を気持ちよくさせて永遠の眠りにでもつけさせる為のものなのかな? 」
「さぁ、私にはさっぱりです。 それよりお兄ちゃん! もっと重要な事があるじゃないですか! 」
俺がポーチを片手にひらひらと揺すっていると、クレアが凄い迫力で迫ってくる。
「だ、大事な事? 」
「はい! これから話す事はとーーっても大事な事なので一言一句聞き逃さないでくださいね」
「あ、あぁ」
そこまで言うのだから相当大事な事に違いない。
俺はこの世界について何か大事な事を忘れてたり、気づいてなかったり、とか。
「私たちは異世界に来ましたね? 」
「あぁ」
「これから周りに誰も知ってる人がいない訳ですよね? 」
「まぁそりゃ異世界だからな、本当に頼れるのはお前だけだな。言葉すら通じるかわかんねぇし」
「そうなんです。そしてそんな中で私たちは2人暮らしを⋯⋯するんです⋯⋯よ」
言ってる途中で何故か顔を赤く染め、俯き最後には聞き取れないほど小さくなっていく。
そこは照れるとこなのか?
俺の妹様は相変わらずよく分からん。
というか、大事な話なのか⋯⋯?
「ま、まぁそうだが、今までと特に変わらないん
じゃないか? 」
クレアは顔を勢いよく上げるとこちらを睨んでくる。
俺の妹ながら、みてくれはやっぱり本当に美少女だなぁ。
怒ってる顔すら様になってて可愛げがあるのが凄い。
俺がそんな事思ってるとも知らずにどすどすとこちらに近づきながら、
「変わらないわけないじゃないですか! 大きく違いますよ! どんぐらいかと言うと同じ鳥でも飛べるツバメと飛べないにわとりぐらい違うんですよ! 」
訳の分からない事を言ってきた。
「なんだその意味の分かりにくい例えは⋯⋯どこがそこまで違うのか簡潔に分かりやすく教えてくれ」
「いいでしょうお兄ちゃん! 現実世界で私達は2人暮らしをしていましたね? 」
「まぁ、うん」
「そう、男女二人で一つ屋根の下暮らしていた訳です。 ですが、そこにはとてもとても高く回り道さえも許さない大きな壁があったのです。 それはなんだか分かりますか? 」
いや、うん⋯⋯絶対これそんな大切な話じゃないよね。