四話 異世界では兄妹でも結婚出来るってよ
その世界にはある日魔王が突然生まれた。
魔王は悪魔の軍を作り、その世界を侵略するためか様々な土地を荒らし始めた。
魔王の勢力が強さを増し、みんなが怯えて生活していた。
それまでは争いの絶えなかった国どうしも魔王と対抗するため力を合わせたが、なにぶん魔王は強く、日に日に人類は追い詰められていたのだ。
だがそんなある日勇者が現れ、長い間戦いを繰り返し、全ての幹部を倒し、人々の希望となった勇者は魔王との決戦の前で不治の病にかかり死んでしまったという。
「それから10数年の時が流れ、魔王の幹部達も復活を果たしてしまった。今、その世界では再び始まった魔王軍の侵略によりどんどん生き物の数が減っている。このままではその世界が魔王に侵略されてしまうんだ。だからその前に誰かに魔王を倒してもらうしかないんだ」
「は、はぁ⋯⋯それでなんでその話を俺たちに?」
流石にこのパターンは大体予想はつくんだが⋯⋯
パッパカパーンそんなBGMが流れると、
「それは、お前らが次の勇者だからだ! てことで、ハクヤさんとクレアさんの異世界行きが決定しました! わーい」
「わーいじゃねぇよアホオヤジ!」
突然キャラが変わりすぎだろ!
どこ行ったよ、あの何があっても動じない近所でも恐れられたあのお父さんは!
「おー忘れてた忘れてた、なんでお前らに決めたかというと俺とあいつの子供だからだ」
「本当に大丈夫かお父さん。 壊れちまったのか? まぁ100歩譲って異世界の話が本当だったとしてどうして地球人の俺とクレアが勇者なんだよ。それにあいつって母さんの事だろ? なんで母さんも関係してくるのか分からんぞ」
てか、さっきから、妙に妹が静かな気がするのだが今はそれどころじゃない。
「もしかして父の話を信じてくれないのか? あぁ母さんだ。⋯⋯俺達は元々その世界に住んでいたんだよ」
そう言った父さんの言葉はとても重く感じた。
前から父さんは母さんの話をするとどこか思い詰めた表情をする。
「⋯⋯⋯⋯」
俺は何も返す事が出来なかった。
「その世界では魔法だって使えるんだぞ! かっこいいだろ!」
そんな俺を察したのか急に明るくバカな事を言い出す。
(確かに呪文は憧れる、だが魔王と戦う? バカじゃないのか? ただの高校生だぞ? そんな事が出来るわけがないだろ)
「かっこいいのは、認めるが死ぬのは嫌だ。だから行く気は無いよ」
「ふーんその世界では実の兄妹でも結婚したり出来るんだけどなぁ」
妹がピクリと動く⋯⋯
おい⋯⋯ 妹よお願いだそのまま静かにしていてくれよ。
「お父さん! 私たち行くわ!」
おい! お決まりかよ! やめてくれ⋯⋯馬鹿なの?死ぬの!?
「よし分かった! 決まりだな!」
「おい! 俺の意見は?!」
「は? お前ら付き合ってんだろ? なら一心同体だろ」
「いや付き合ってないんですけど⋯⋯」
「お兄ちゃんと二人きり~ふんふんふ~ん♪」
「こいつ本当に分かってんのか?!」
「て事で手続き完了、今から異世界にワープして貰うから」
「は? 今から? 学校はどうするんだよ!」
「そこら辺はこっちで処理しとくから気にすんなよ」
「後はあっちに行ったらノートを持ってると思うからとりあえず基本はそれを読んだらわかるぞ。それと、魔王を倒す期限は五年だ。五年すぎたらその世界は終わると思ってくれ」
「は? どうゆう事?」
「いずれわかるさ」
「では、健闘を祈ってる」
「おい! ちょっとまって! あっ⋯⋯」
足元の地面に魔法陣が現れる。
「お兄ちゃん、一緒に魔王を倒そうね」
クレアは笑顔でそう言って無理やり手を繋いで来た。
本当に分かってんのかなぁこれから先が心配だよ⋯⋯
まぁ、仕方ない⋯⋯のか?
(それより本物の魔法陣初めて見たわ⋯⋯本当にこれから異世界生活が始まるのか⋯⋯? 可愛い妹とふたりきりの⋯⋯極度のブラコン妹と兄妹結婚が許された世界に二人だけで?)
凄く嫌な予感を感じるも、まばゆい光が強まりだし目を閉じる、次の瞬間俺達兄妹は知らない場所に立っていた。
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