十話 いや、まぁもちろん巨乳が嫌いなわけじゃ無いよ?
「お兄ちゃんは、胸の大きな女性がタイプでしたもんね!」
こいつまだ朝の事引き摺ってるのか⋯⋯。
「だからあれは俺のじゃないっていってるだろ。別に俺は特別胸がでかい人が好きって訳じゃないんだよ! 」
「ならお兄ちゃんは胸の大きな人は好きではないと?」
泣きすぎたのか、少し腫れた目で俺を見上げてくる。
「いや、嫌いではないけどな」
俺はたまらずそっぽを向いた。
「やっぱ好きなんじゃないですか! 」
クレアが弾ける様に俺の胸ぐらを掴むと激しく揺さぶってくる。
「極端すぎるんだよ! まずまず外見の問題じゃないんだよ! 第一に誰がなんと言おうと俺たちは兄妹だ」
「そうですね! 本当は私達は兄妹なんですよね!」
こいつ、ふてくされてんなぁ。
「あぁ、そうだな。 〈本当は〉は、いらないけどな」
「ですがさっきも言ったじゃないですか。 ここにそんな壁な、い、ん、で、す! もうここは異、世、界なんですから! そう、お父さんは私達にこの天国の様な世界を与えてくれました 」
「そんな壁って⋯⋯はぁ⋯⋯天国って大袈裟すぎるだろ。 俺からしたら軽く地獄ですらあるが」
「いやいやここは天国いや、それ以上ですよ! 」
そう叫ぶ中クレアは俺と鼻が当たる距離まで近づいていた。
はぁ、どうしてこうなっちまったかなぁ。
俺は一つため息をつくと、頬を膨らませて見上げてくるクレアの頭を軽く撫でてやる。
「まぁ、それでも結婚なんて絶対にしないからな」
「ふふふ⋯⋯絶対にしてみせますよ。 例えどんな手を使ってでもです 」
「いや怖いわ!」
そんなやり取りをしていると突然クレアの腰につけてあった例のポーチが光りだす。
「おい、お前のポーチ光ってるぞ」
「なんですかねこれ⋯⋯ラブラブカップルのラブラブなやり取りを邪魔するなんてポーチの癖に生意気ですね! 」
だから、どこがラブラブカップルなんだよ⋯⋯
クレアが叫ぶとポーチを外すと思いっきり投げ飛ばした。
「え⋯⋯」
俺はその光景に唖然としてしまう。
クレアが投球したポーチは物凄いスピードで飛んだのだ。
いやもう、ありえないレベルのスピードなのだ。
まるで隕石がその速度と熱で赤く見える様に、クレアの投球したポーチがぶっ飛んで行ったのだ。
現実離れした現象に呆気にとられていると、クレアが思いっきり投げ飛ばせたから多少スッキリとしたのか、顔を上げ爽やかな笑顔を向けてきた。
いや、怖えよ⋯⋯




