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悪魔伝染  作者: 多賀まりあ
5/7

幻視

5話です

個人的に書いてて1番楽しかったです

故郷が見えてくる…

ずいぶん大きな町だ、しかし私の記憶は一切戻らない

それどころか何故かどこかでこの町へ入るのが嫌な気がした

「着いたよ!

さぁ、馬車から降りて〜」

私はキャリーに言われるまま、馬車から降りて町へと入っていく

その際に馬車の方を振り返り御者の顔を見るが、何故かぼやけて見えない

ここで私はいよいよ何かおかしいと感じた

すると、キャリーが声をかけてきた

「どうしたの?

早く行こうよ、お母さんやお父さんや大好きなみんなが待ってるよ!

ん?どうしたの何か考え事をして

もしかして」

急にあたりの光景が変わる


町はボロボロの黒焦げの残骸だらけでおよそ民家と呼べるものなどなく、乾いた血溜まりや、人"だったもの"の骨が沢山転がっていた

「気づいてしまったようね」

キャリーがガスマスクを取りコートを脱ぐ

キャリーの顔や体は継ぎ接ぎだらけで、コートの下に着ているワンピースが血塗れになっていた

その瞬間失っていた記憶が唐突に戻り始める


私の故郷は"魔女狩り"と"核"により滅んだ

魔女狩りとは、ある少女が未知のウイルスに感染した事を発端にした惨劇である

その少女とは"私"、ウイルスにかかり暴力衝動にかられ暴れる私をグリッグスという医師が悪魔に憑かれていると診断した

それ以降未知のウイルスは感染を拡大し、沢山の人が悪魔に憑かれている、もしくは悪魔を呼び出しているとして処刑にされた

感染者の暴力による死者も出て、そのうち誰が感染者か分からず魔女狩りは住民の間でも行われるようになり、感染していない人までもが殺されるようになった

ただ、悲劇はここでは終わらない

次に被害がここまで及ぶのではないかと考えた隣国、"カブラ"がこの町へ核ミサイルを撃った

町は吹き飛び、最初に取り憑かれたということで特別に郊外の協会で保護されていた私も爆風の影響の範囲内にいたせいで教会ごと吹き飛ばされた

ただ、幸運にも私は"何故か"生き残った

いや、生き返った

放射能により私のウイルスが変異したのか、私は不死に近いとてつもない再生能力と不老

"魔法"を手に入れた

そしてその後悪魔憑きは、急速な科学の発展によりウイルスのせいであったと判明した

そして、全ての元凶である私はワラキアによって捕まりあの城に20年以上"幽閉"されていた

「全てとはいかないけれど大抵思い出したようね

私の"魔法"は幻視、核で滅ぶ前に私はカナリアの森に家族と避難していたけれどもう既にウイルスを発症していたようで森の中で家族を皆殺しにして、ペットのカナリアを貪った

それを森に住んでいた猟師が見てしまったようで、それ以来あの森はカナリアの森と呼ばれるようになったわ

その後、私はあの森でウイルスにより息絶えたけれど、通りかかった頭のおかしい科学者に人造人間として作りかえられ"生き返った"

その時に"魔法"を手に入れたわ、こんな酷い見た目にした科学者は殺してやったけどね、あはははは

そこでさ、私達化け物二人でここに家を建てて、暮らしましょうよ?

大丈夫、この土地はあの惨劇以降誰も近づかないわ

ねぇねえねえねぇねえねえねぇねえねえ、ねえ、ねえ、ねえ、ねえ、ねえ、ねえ、ねえ、ねえ、ねえ、ねえ、ねえ、ねえ、ねえ、ねえ、ねえ、」

私は生きた心地がしなかった、元から回復能力により生きているだけのゾンビに近い私だが目の前の"死体"に恐怖を感じた

「断る」

死体が声を発する

「どうして?

私あの城の連中皆殺しにしてあなたを助け出してあげたのよ?

あなたを助けるために、死んだ後継ぎ接ぎだらけになってまで助けに来たのよ?

私の優しさを拒絶するの?

そんなの許さない赦さないユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイ」

死体がこちらへ飛びかかってくる、私には回復能力はあるが攻撃系の能力は無い、ただこの死体に気が済むまで(この様子だとそんな時は来ないだろうが)無茶苦茶に、そしてグチャグチャにされるのだろう

怖いがどうしようも無い、力のない弱者は淘汰されるのみだ


「遅れた!ごめんごめん、見つけるの手間取ってもたわ!

覚悟しろキャリー!」

ここまでお読みいただきありがとうございます

よければまだお付き合い下さい…

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