V・T<ヴァレンタイン>大作戦 「魔鋼騎戦記Ⅱ」~スピンオフですよぉ!
今日も今日とて。
戦車は走るよどこまでも~
<ヴァレンタイン>を控えたとある一日を紐解きます・・・。
作者注)オリジナル本編をお読みになった方しか解らないかも・・・すみません。
「ヴァレンタイン?」
碧い髪をピンクのリボンで括った少女が聞き返した。
「はい!目標は近付いて来ております!!」
赤栗毛の少女が答える。
2人は薄茶色の軍服を着ていることから、軍人なのだと思える。
一人の肩章は金色・・・黒線が2本の士官。
もう一人は同じく金色に細い1本の線が入っていた。
「ミハル分隊長!もはや、猶予はありませんっ!
急がねば間に合わないかと・・・」
「うん・・・解ったわミリア。
早速っ出撃準備にかかれっ!」
ミハル分隊長の命令がミリアに下る。
「ヤァー!」
敬礼をしたミリアが姿勢を正す。
「ミリア!
アイツに遅れを喰らうんじゃないわよ!」
「了解ですっ!
この日の為にトッテオキの一台を用意してありますっ!」
ミリアは自信満々に答えた。
「そう・・・そうだったわね。
これで勝利はもうこちらのモノ・・・ね!」
ミハル分隊長はニヤリと笑ってミリアに頷いた。
「よしっ!搭乗員整列っ!」
ミリアは指揮官室を飛び出し命令を部下に命じた。
「ふっふっふっ!これで・・・私の勝ちよ。魔法少女”チマキ”・・・」
ミハル分隊長は窓越しに空を見上げて呟いた・・・・
___________
「ヴァレンタイン?」
銀髪を紅い紐で括った少女が緑髪の少女に訊いた。
「そーっ。ヴァレンタイン・・・チアキは誰にあげるの?」
緑髪の少女が尋ね返す。
「あの・・・ね、シャル。男の人にあげるんでしょ?
ヴァレンタインのチョコって・・・・」
銀髪の少女チアキが小首を傾げて考えると、
「私に男友達って居ないから・・・まあ、義理チョコなら。
部隊の人位かなぁ・・・今あげるとしたら・・・」
考えた結果、思いついた事を話した。
「ふぅ~ん・・・そうなんだぁ・・・」
悪戯っぽい瞳をチアキに向けて口篭もる緑髪の少女に、
「じゃあ、シャルは?誰かにあげるの?」
モジモジしているシャルに訊くチアキ。
「え~っとぉ。・・・欲しい・・・」
小声で呟くシャルに、
「欲しい?チョコを?シャルが?」
一言一言を切って訊く。
「うん・・・チアキから・・・チョコ・・・欲しいナ」
・・・・・。
思わず口篭もったチアキがワンクッション開けて。
「えええええっ!?シャルって・・・男の子だったの!?」
「・・・。馬鹿・・・」
驚くチアキにシャルがジト目で言い返す。
「だって・・・チョコ欲しいって・・・」
驚き続けるチアキに、シャルが教えるのは。
「チアキ、いい?
最近は女の子同志でも贈るんだよ!
好きな娘なら男の子じゃ無くっても善いんだって!」
「・・・そうなの?」
「そうですっ!」
鈍感なチアキに業を煮やしたシャルが大きな声で肯定した。
「そ~なんだぁ・・・知らなかったな~(棒)」
瞳を宙に漂わせて、チアキが惚ける。
「でねっでねっ!チアキにチョコ・・・貰いたいんだぁ。
ヴァレンタインのチョコレートぉ・・・欲しいんだぁ・・・」
瞳をハートマークにしたシャルが手を合わせてデレる。
「う・・・うん。いいよ、シャルがそんなに欲しいんなら・・・」
「ホント?やったぁ。チアキがチョコくれるんだぁ!」
いとも容易く承知したチアキは、この時その後の運命を知る良しも無かった。
運命とは・・・かくも皮肉なモノなのか・・・
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<キュラ キュラ キュラ>
重戦車のキャタピラ音が轟く。
「前方2000メートルに補給所が見える!」
数両の重戦車が砂漠の中にぽっかりと現れたオアシスを見下ろす丘に登り詰める。
「くっくっくっ!政府軍め。あんなに大量の物資を山積にしくさって。
あの物資を我等反政府軍のモノにされるとも知らずに・・・」
重戦車の指揮官が笑う。
「よしっ!直ちに攻撃だ!政府軍の泣き面を拝んでやろう!」
指揮官がキューポラから手を振って仲間の戦車に命じた。
「・・・・。これを護るのが私達の使命よ。
一発でもコレに当てさせる訳にはいかない・・・」
蒼髪をピンクのリボンで括ったミハル分隊長が呟く。
「その通りです、ミハル先輩。
奴等の狙いはこの・・・<チョコレート>なのですっ!」
赤茶色の髪をヘッドフォンで押えたミリア准尉が装填手ハッチで頷いた。
「奴等はこちらに気付いていないみたいね・・・」
ニヤリと笑うミハルが言った。
「では・・・戦争を教育してやりましょうか・・・中尉殿」
その笑みに答えたミリアがハッチを閉めて配置に就く。
「うん・・・それでは戦闘配置。
これよりチョコレートを守って闘います。
戦闘!対戦車戦っ、我に近寄る敵重戦車!」
ミハルが喉頭マイクロフォンを指で押えて、戦闘の指揮を執る。
「了解!対戦車戦闘っ、配置に就きました!」
先任搭乗員のミリア准尉が復唱する。
「よしっ!第1弾から全力で攻撃する。
第1弾<魔鋼弾>装填っ!魔鋼機械発動っ!」
ミハルは右手のブレスレットを袖口から出して、ミリア装填手に命じた。
「はいっ!魔法徹甲弾、<魔鋼弾>装填!
魔鋼機械発動します!・・・車体の変化に注意!」
ミリアは、左手で砲尾に付いてある紅いボタンを叩き付けた。
<ブ オ ォ ン>
紅いボタンが押し込まれると同時に低い唸りが車内に響いた。
「魔鋼機械作動開始!」
ミリアの報告に頷いたミハルが瞳を閉じて念ずる。
ブレスレットに着いた碧い石が輝き出す。
「みんな!ショックに備えて!」
ミハルが一言命じてから・・・
「魔鋼力全開っ!レベル5・・・このポルシェタイガーを無敵にするわよ!」
自らの魔法を放った。
<ギュルルルッ>
魔鋼機械が物凄い音を立て、中に納められてある水晶を回転させた。
<ギュワワワンッ>
魔法の力を車体に発散して<魔鋼騎>ポルシェタイガーが変わる。
「いくわよ、みんな!敵を駆逐するから!」
ミハルの瞳が碧く輝き、魔法の力を顕す。
「目標!左舷の重戦車!距離1500メートル、敵速15キロ。
動標的につき、3シュトリッヒ前方を狙え!攻撃開始っ!撃て」
ミハルの号令で戦闘が始まった。
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「なんだろう?あの煙は?」
チアキが砲手席で言った。
「どうやら・・・戦闘があったみたいだな」
車長のラミル少尉が答えた。
「戦闘?じゃあ・・・補給物資は?」
心配そうにチアキが後部座席を見て訊く。
「うむ・・・この辺に味方部隊が来ているとは聞いてはいないが・・・」
ラミル少尉が腕を組んで難しい顔になる。
「どうしよう・・・シャルに持って帰れなくなるのかなぁ」
キューポラに居るラミル少尉を見上げたチアキが、
「車長・・・兎に角近寄って確認しましょう」
補給所に向かう事を進言する。
「そうだな・・・何故だか知らないが・・・嫌な気配がする」
戦闘を予感するようにラミル少尉が呟いた。
__________
「戦闘終了。
やはり・・・Pトラは無敵だったわね!」
「はい!用意した甲斐がありました!」
ミハルとミリアが周りの残骸を観て頷き合う。
「ミハル先輩。後はこのチョコレートを我々の基地に持って帰るだけですね!」
「そうよミリア。
これで<XーDAY>は・・・我々だけの一日になるのよ!」
2人がニマリと笑い、
「あーはっはっはっはっ!」
高笑いした・・・・。
「待つのです!」
2人の高笑いを中断させる声が!
「そのチョコレートはみんなのモノの筈!」
声のする方に2人が振り向くと。
「げっ!”チマキ”・・・ラミルさんっ!」
驚くミハルとミリアを尻目に、
「こ~らぁっ、ミハルゥ。勝手に独り占めする気だったのか?」
キューポラからラミルが叱りつける。
「しまった!見つかっちゃった!」
動揺するミハルのポルシェタイガーに近付いてきたラミルのパンサー中戦車が停車する。
<ダッ!>
飛び降りてきたチアキがミハルを見上げて、
「独り占めなんて・・・ずるいですよ!」
チアキが言い募ると。
「い・・・いや。これはだな・・・反政府軍に盗られないように・・・」
ミハルが言い訳がましい事をチアキに言うのを、
「ミハル・・・嘘は・・・駄目だ」
ラミルがきっぱりと見破った。
「う・・・バレバレぇ~・・・(涙目)」
ミハルが呆けていると、チアキがチョコレートの山を観て、
「では。このチョコレートは回収させて頂きますから」
山積されたチョコレートに向おうとすると。
「待ちなさいっ!あのチョコレートを護ったのは我々なのよ!
半分は・・・頂戴っ!」
ミハルが指差しラミルにお願いした。
「ミハル・・・・駄目だ」
・・・・。
「な~ん~でぇっ!?」
「ミハル・・・諦めろよ」
・・・・。
沈黙が流れた・・・。
ぷるぷるミハルが下を向き震える。
が。
「わーかった!こうなれば闘うのみ!
力づくで奪い取ってやるぅ!観てなさいチアキ!
あなたには指先一本もあげないからっ!」
「ミハル・・・お前・・・闇堕ちしたか?」
呆れたラミルがため息を吐く。
「なーんとでも言いなさいラミルさんっ!
このチョコレートは大切な人に贈る為に我々が貰い受ける事にしたのよ!」
「・・・。」
最早・・・返す言葉も失ったラミル。
「ラミル車長・・・どうしましょう?」
チアキが困って伺いを立てる。
その言葉を聴いたミハルが、
「あ~ら、チマキ。私の邪魔をする気なの?
なんなら、この88(ハトーハトー)ミリで・・・吹飛ばしてあげましょうか?」
ミハルが後ろに控えるPトラで威嚇する。
「ミハルぅ・・・いい加減にしないと・・・来るぞ?」
ラミルが空を見上げて腕を組む。
「来る?・・・何が・・・ですか?」
ラミルの視線に吊られて見上げたミハルがその気配に気付いた。
「はっ!そこに居るのはっ!アンネ!」
チョコレートの陰から身体を空間から現したのは。
「は~い、巫女ミハル。元気ぃ~?」
「・・・。と・・・言う事は?」
ミハルがもう一人の気配を感じ取る。
「おいっス。ミハル・・・来ちゃった」
縫ぐるみのライオンが背中の羽根をパタパタさせて現れた。
「・・・・。と・・・言う事は?」
冷や汗を掻くミハル。
「うん・・・ぜ~んぶ・・・筒抜けだから・・・リーン様に」
< どっ >
冷や汗より巨大な汗を掻くミハル。
「にゃ・・・にゃんですってぇ~」
最早・・・猫に睨まれた鼠・・・・。
「ミハル・・・覚悟・・・完了?」
ラミルとアンネとグランが同時に言った。
「あ・・・ああ・・・・あああっ!?」
怯え震えるミハルの耳に聴こえたのは。
ーミハルっ! お手 ー
<ぽんっ>
「アイヤァー・・・お赦しおぉぉっ」
獣耳と尻尾を生やしたミハルが怯える。
グランの眼から立体画像が映写される。
「ミハルぅっ!オイタが過ぎるわよっ!これは罰が必要な様ね!」
「あ~れぇ~。お赦しくださいぃっ」
ミハルはリーンの前に伏せのポーズをさせられる。
「それにしても・・・こんな大量のチョコレートを、どうするつもりだったのよミハル」
立体画像のリーンが聴きと咎める。
「いや・・・それはその・・・」
ミハルは言い辛そうに口篭もる。
「それはですね、リーン王女様。ミハル先輩は大切な方に贈ろうとされていたのです!」
横から現れたミリアがびしっと言った。
「馬鹿っ、ミリア。言っちゃ駄目!」
泡を喰ったミハルが黙る様に言ったが。
「いいえ、先輩。はっきり言わないと。
リーン様に変な疑いを掛けられてしまいますから。」
きっぱりと断わった。
「ミハル先輩は、リーン様がお一人で寂しがっておられるのではと思い、
ヴァレンタインのチョコレートを贈ろうと画策されたのです。
ちょうどこの集積所にココア豆が集まるのを知り、チョコレートにされたのです。
まあ・・・魔法で・・・ですけど。
ですが!このチョコレートは確かにミハル先輩がお造りになられた物なのです!」
力一杯ミハルを擁護するミリアの言葉に、
「ホント?ミハル・・・」
リーンが確かめる。
「う・・・うん。リーンに贈ろうと思ったから・・・」
チラリとグランを観て、ミハルが頷く。
「そ・・・そうなんだ・・・ポ」
顔を赤らめたリーンが嬉しそうに頷いた。
「そう言うわけだ~からっ。ラミル少尉、全部とは言いませんが。
あの一番大きいハートのチョコだけは・・・ミハル先輩にください!」
ミリアが懇願する。
「お・・・お願いしますぅ。ラミルさん・・・」
ミハルも懇願する。
二人揃って瞳をウルウルさせてラミルを見上げた。
「だってよ・・・チアキ」
困った顔のラミルがチアキの決断を待つ。
「困りましたねぇ(棒)」
チアキはそう言ってから立体画像のリーンを観た。
<ウル ウル>
もう一人此処にもウルウル娘が・・・・。
「はぁ・・・。ショウガナイですねぇ(棒)」
「チアキ・・・初めっから・・・やるつもりだったんだろ?」
ラミルが微笑んで訊く。
「・・・。ミハル分隊長、勝負です!」
突然チアキが闘いを挑んできた。
「おい?チアキ?」
ラミルが不自然な勝負を挑むチアキに訊くと。
「ミハル分隊長!どちらが大切な人に喜んで貰えるのか・・・勝負です!」
チアキが指を一本立てて勝負の方法を教えた。
「大切な人に?」
「そうです!観てくださっている大切な人(読者様)に喜んで貰えた方が勝ちですから!」
チアキが魔法石を手にして魔法力を解放する。
<ポウッ>
「よ~しっ!その勝負。受けて起つわ!」
ミハルの瞳が碧く染まり魔法力を放つ。
<ポワワンッ>
2人が同時に魔法を掛ける。
自らの身体に・・・
「さあ!受け取って下さい。ヴァレンタインのチョコレートだよ!」
チアキはショートパンツにタンクトップの薄着になる。
「ミハルからのチョコレート。一番大事なあなたに!」
ミハルはセーターにホットパンツ姿となり大きなハート型の包みを両手で抱えた。
さあ!あなたはどちらに軍配をあげるのでしょうか?
「・・・。
あのねぇ・・・2人共。
大切な人・・・待たしていない?」
ミリアが頭を押さえて呟いた。
「あ・・・」×2
こうしてミハルはリーンに。
チアキはシャルレットに。
無事にヴァレンタインのチョコレートを渡す事が出来た・・・と、言う事です。
善きかな<セント・ヴァレンタイン>。
善きかな<魔鋼騎戦記・ヴァレンタイン大作戦>。
終 劇
ところで・・・女の子同志にあげて・・・男の子には?
欲しいな・・・チョコ・・・(心の叫び)
ちゃんちゃん・・・・
いやぁ。
どーも、さば・です。
<セント・ヴァレンタイン>DAYに因んだ物語を・・・って事でして。
本編が連載中なのに・・・いいのかな?
「いいんですっ!だって・・・描きたかったから」
こんな衝動で書き下ろしちゃった小説ですが。
ここまでお読みくださった大切な読者様。
お読み下さりありがとうございました!
また、機会があれば違うネタで描いちゃおうかな(書いちゃおうかな)。独り言です・・・