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死体から再スタートって  作者: マイワミクロ
第1章
7/13

同族出現!…なのか…


「うー…酷い目にあったよ。」


まだ馴染んでない足で走るのはつらかったよ、ちなみにいま俺は元いた洞穴に戻ろうと森の中をさまよっていた。そして、


「このパーカーもらっちゃったけどいいよね。あのTシャツボロボロだったし。」


そう、あの家に忍びこんだとき、パーカーを盗んできてしまっていたのだ。まあパーカーの一枚や二枚なら大丈夫でしょ!多分!



「確かここら辺に洞穴が…あっ、あった。て、あれ?」


洞穴の近くに妙な物体が置いてあった。

おそるおそる確認してみると、 … それは死体だった。髪は白髪で、肌色は少しねずみ色になっていて、顔には縫い目が二、三本縫ってあった。顔立ちを見るからに多分女性だろう。そして体にもいくつかの縫い目があった。



「こんなところに死体を捨てるなよ。バカじゃないか。」


俺がそうぼやいていると


ガバッ!


「えっ?」


死体が急に起き上がったのだ。そして、


ジーー…


何故か俺のことをガン見してくるんですけど…


「なっ何ですか?」


意を決して聞いて見ると、


「キャーーー!!!」



「うるせー!!なんだよ急に!!」



「しっしっ、死体が動いてる!」



「いやっ!あんたが言うなよ!」



「私?何を言ってるの?私はちゃんと生きてるわよ。」


彼女はフフンと胸を張ってそう言った。…あまり大きくないな…


「ちょっとなんか失礼なこと考えてなかった?」



「いえ全然、取り敢えずそこの水溜りで自分の姿を見て見れば?」



「なっ何よキョンシーの癖に、…え?」


水溜りに反射された自分の姿を見て彼女は凍りついた。


「何で…何で私ゾンビなんかに…」


この世界にはゾンビも存在するのか。っと今はそれよりも彼女のことだ。もしかして彼女も俺と同じでもとは人間だったのかな?



「何で…何で…っ痛!」


「おっ、おい大丈夫か!?」


急に彼女が頭を抑えうずくまった。









…….瞬間、彼女の頭の中である出来事が再生された。


「逃げなさい。〇〇!!早く!!」


彼女の母であろう女性が、彼女を守るために男に立ち向かった。が、


ドスッ!


「がっ。かは!」


男は無残にも母の心臓を紅に光る杖で貫いた。


「無様だな…」



「かっ、母さん?母さん!!」


彼女は母の元に駆け寄ろうと走った、しかし


「悪いが始末するように命令されてるでね、あんたも死んでもらうよ。」



「いやっ、いやっ!」


ドスッ!


男は彼女の心臓も紅に光る杖で貫いた。薄れゆく意識の中で彼女は思った、


…殺す…どんな手を使っても…絶対に殺してやる!…絶対に!!








……



「そうか、私殺されたんだ…」



「おい、どうしたんだ急に?」



「あの男を殺しに行かないと…」


はあっ!?イヤイヤ!


「ちょっと待て!どうした急に!?」



「あんたには関係ないでしょ…私は母さんの仇を取るの…あの、紅の光を放つ杖を持つ男を殺しに行く!」



「事情はよくわからないが、一旦落ち着け!あんた自分の姿を見ただろ!ゾンビだぞ!!」


「それがなに?」


それがなに?ってこいつ…なんで分かんないんだ?


「俺がさっき村に行った時の村人達の反応とあんたの反応を見て薄々感じていたが、俺たちキョンシーやゾンビはおそらく人間の敵だ、そうだろ?」



「ええ、そうね。」



「それが分かっていながらなんで行こうとするんだ!?わざわざ兵士に『はい殺してください。』って行ってるようなもんだぞ。」


さっきの小さい村であの数の兵士があんなに来たんだ。この状態の彼女が行ったら即餌食になるのは目に見えている。



「あんたには分かんないでしょうね、母さんを目の前で殺された私の気持ちが!」



「え、」



「私はあいつが憎い!それにゾンビなら

死ぬことはない、不死身だ!!ふふふ、これならあいつを殺すことができる!!!」


彼女は笑いながらそう言った。それを聞いて俺は、


「バカか。」


そう言った。


「なんだと!?」


「バカかって、言ったんだよ。そんな怒りに身を任せたらいつまでたってもその紅の光を放つ杖を持つ男には会えないぞ。会えたとしてもミイラ取りがミイラになるのは目に見えている。」



「お前ー!!」



彼女は俺の胸ぐらを掴み今にも殴りかかろうとしたが俺は話すのをやめない。



「それに、お前ゾンビは不死身だって言ったよな、多分それは間違いだ。」



「なっ!何を言っているのかしら?ゾンビは不死身。それくらい常識でしょう。」



「キョンシーの俺が太陽の光を弱点とするように、ゾンビにもきっと弱点は存在するはずだぞ。それでも、あんたは自分のことを不死身と言えるのか?」


「そっ、それは…」


彼女は、俺の胸ぐらを離し、何も言い返せなくなってしまった。


「…じゃあ…」



しばらくすると彼女がまた話しかけきた。


「じゃあどうしろと言うの?母さんを失った私のこの気持ちは、助けることも出来なかったこの悔しさは、私は、どうしたらいいの…」


彼女は力が抜けたように座りこんでしまった。


「…あのさ、俺はあんたの気持ち、少し分かるよ…」



「え?…」


沈みこんでしまった彼女に俺は少し昔のことを話すことにした。



「俺さ、元はあんたと同じで人間だったんだよね。」



「えっ?貴方も、人間だったの?」



「ああ、そんで小さい頃に両親が土砂崩れに巻き込まれて死んでしまったんだ。」


「……」



「両親を亡くして人生に希望を見つけられなかった時、俺のことを好きだって言ってくれる女性が現れたんだ。 最初は何を言っているんだって思ったよ、どうせ嘘でも付いてるんだろうなって、でも彼女の目を見たら違った、凄く綺麗だったんだ。純粋にこんな俺を好きだって言う目をしていた。 そんな彼女に俺も惚れてしまったんだよな、絶対に幸せにしてやるって思ったのはあの日が初めてかもな。…でも…」


「でも…なに?」


「俺は告白されたその日に死んでしまったんだ。」


「えっ!」


「無様だよな…絶対に幸せにすると誓った矢先に彼女を残して死んでしまうなんてな…こんなの、死に切れないよ….」



「……」



「だからさ、全く同じとはいかないが、大切な人と別れてしまって悲しいって気持ちは分かるんだよ。」



「なんで…..」



「ん?」



「なんでそんな事があったのに、貴方はそんなに落ち着いているの?彼女に会いたいとは思わないの?」



「会いたいよ…でも無理だよ。 こんな姿じゃ彼女を怖がらせてしまうだろうし…」



「悔しいとは思わないの?その理不尽な事実をなんとかしたいと思わないの?」



「悔しいとは思うよ、でも事実をなんとかしようとは思わない。こうなってしまった以上今は彼女の幸せを願うしかないしさ。」



「強いのね….」



「そうか?」



「強いわよ、私なんかよりずっと….私は母さんを殺された恨みで頭が一杯になっていた。羨ましいわよ…」



「別にそんなんじゃないよ、ただそう願うしか出来ないだけだし。」



「そう考えられる事が凄いのよ、でも私は違う…。今もあの男を殺したい気持ちが収まらない…私は…どうしたらいいの…」



「手伝おうか?」


「え?」


「復讐の手伝い、同じ元人間のよしみでさ。」



「でもっ!これは私個人の事情よ!関係のない貴方を危険な目に合わせるわけには、」



「死んだ両親から女性や子供が困っていたら助けてやれって言われてるんだよ。それに自分のことを知るためには旅に出ないとダメだと思っていたところだしね。仲間がいるのは心強いよ。」



「ふっ、ふん!勝手にすれば!」


プイッと顔を赤くしてそっぽを向いてしまった。照れてるのかな?


「はいはい勝手に付いて行きますよー、あとさ、あんた。」


「なに?まだなんかあるわけ?」



「泣いても良いんだぞ。」



「っ!何をいって…」



「母親を殺されて、さらに気がついたらゾンビになってしまった、なんて泣きたい気持ちで一杯のはずだぞ。我慢しなくていいよ、ここには俺しかいないから。」


「うっ、ううっ!」


彼女の瞳には涙が溜まっていた。


「色々不安かもしれないが、安心しろ今から俺が一緒にいる。一人で悩まなくていいんだよ。」



「うっ、うわーん!!!」


彼女は緊張の糸が切れたように大粒の涙を流して泣いた。それを俺は泣き止むまで優しく抱きしめていた。






………

数分後…


「あの、あっありがとう…」


彼女は先ほどの事を恥じているのか顔を赤くしたまま目を合わせてくれない。まいったな…


「あ〜、あのさ?」


「はっ、はい!なに!?」


そんなに緊張しなくていいのに。最初の時の強気はどこにいったんだか。



「とりあえず一緒に旅に出ることは決まったけどさお互い名前を知らないんだよね。」


「あっ、そういえば。」



「だからさ先ずは自己紹介をしようよ。その方がいいでしょ?」



「そっそうね。じゃあ先ずは私から言うわね、んんっ!私の名前は…あれ?」


「どうした?」


「名前が思い出せない…なんで!?」


「嘘だろ!?まいったなー。」


記憶喪失かなんかかなー。うーん、どうしよう?呼び名がないと不便だよなー。

あっ!そうだ!


「俺が名前を付けていいか?」


「えっ!まっまあ、この際仕方ないわね、お願いするわ。」


「よし!じゃあハクシでいいか?」


「ハクシ?」


「うん、白髪の死体だからハクシ、どう!?」


「随分安直な名前ね…まあいいけど。それで、貴方の名前は?」


「おう!俺の名前は…ありゃ?」


「あんたもまさか…」



「忘れた…なんでー!!えー!!どうしてー!!?」


おかしい!前世の顔、身長、年齢とかはすぐに出てくるのに、何故か名前だけが出てこない!?


「あっ、あのさ!忘れたのなら私が付けてもいい!?名前!」


「えっ、あんた…いや、ハクシが?」


うーん出てこないのは仕方ないし、ここはお願いしようかな。


「ああ、よろしく頼むよ。」


贅沢言っちゃいけないが出来ればカッコイイ名前が良いな。


「うーん、なにが良いかな?…そうだ!

シンってのはどう?」


「シン?死んでるからか?」


俺よりも安直じゃないか?


「違うわよ、それもあるけど。真実のシン、新しい道のシン、そして信頼する人のシン。シンって言う言葉には素晴らしい意味が沢山あるのよ。その、ダメかな…」


成る程…そう考えると思ったよりも良いかもな。それにせっかく付けてもらったんだし。断る理由はないな。


「いいよ。」



「そうよねやっぱりダメ…えっ、今なんて?」



「名前それでいいよっていったんだよ。」



「よっ、よかったー。断られたらどうしようかと思った。」


あれ?なんかデジャブを感じるのは気のせい?…まあいいか。


「これからよろしくな、ハクシ。」



「こちらこそよろしく、シン。」



こうして俺は新しい仲間ができ。新しい名前が付けられた。



シン、か…中々良い名前だな…

初めてのシリアス回でした。上手く書けていれば幸いです。次回も頑張ります!!

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