第四魔法 ケンカするほどひどくなる・・・
「ねぇ、志堂君は私と付き合ってたのに……あの人は誰なの?」
目の前にはなぜか薫の姿があった。
小学校のときにはなかった女らしさ(決してやらしい事ではない)もある。
あたりは暗く見た感じ俺と薫しかいない。
「なんで、薫が……?その前に付き合ってたって!?」
「覚えてないのね……」
薫の顔は急にしおらしくなっていく。
「ごめん、でも俺今、婚約者いるし……」
「婚約者ぁ~?彼女ならまだしも婚約者ぁ~?」
何かキャラかわってません?
「こほん。」
一つ咳払いをして胸を押さえ深呼吸をする。
「とにかく、いまそっちに向かってます。たっぷり話し合いましょう……。」
そう言うと薫は遠くの方に行ってしまう。
「待てよ、薫!」
俺も走って行こうとするが、追い付くどころか逆に離れて行ってしまう。
「ちょ、まてって」
その時、視界が真っ暗になり薫の姿も見えなくなる。
「薫ぅぅぅぅううううううううううううううううう」
ゴンっ!
俺の叫び声と同じくらいに鈍い音が部屋に響く。
「んが」
「きゃ」
額が異常に痛い。
何事かと思い周りを確認すると部屋には、ベットに寝転んでいる俺と床に額を手で押さえて悶絶しているネロスがいた。
この状況からして俺は何があったか自分で予想がついた。
薫の事は夢で、うなされていた俺をネロスが起こしたら、俺が飛び起きてネロスの額と俺の額がぶつかった、という所か。
「ね、ネロス……? 大丈夫か?」
「いたい~」
ゆっくり起き上がり俺の方を涙目で見てくる。
「いや、ごめん。」
「ねぇナイト、まだ痛いから額にキスしてくれない?」
え?
ネロスは前髪を持ち上げおでこを突き出してくる。
「そしたら治ると思うの、早く~。」
「さすがにまずいだろ、な?」
「出来ない理由でもあるの?」
「いや、そういうわけじゃ―――」
「薫さん……?」
「ッ!」
前髪を下ろしさっきまでのかわいかった表情と反対の悲しい顔になる。
「薫さんとは何でもなかったんじゃないの?起きた時も『ネロス』って言うんじゃなくて『薫』だったし……薫さんが、いいの?」
「ネロス、ちが―――。」
「ごめんね、ちょっと一人にさせて?」
ネロスの表情は笑っていたが俺が今まで見てきた本当の笑顔ではなく何かを必死に隠そうとしている顔だった。
ネロスは部屋から出て行く。
つい最近もう泣かさないって誓ったばっかなのに……
俺のバカ野郎っ!
力いっぱい壁を叩く。
拳から血が流れているが、不思議と痛みは感じない。
「ごめんな……ネロス。」
ここに本人はいないが謝ってしまう。
俺は布団から出て、ネロスから買ってもらった未だに似合っているかわからない服を着る。
自分の部屋を出てネロスの部屋に行こうと思ったが足が動かない。
謝る勇気が出なかった俺は、机の上に紙で『ネロスごめん。ちょっと出かけてくる、学校には一人で行ってくれ向こうで合流しよう。』と書き置きをして家を出た。
まだ朝だということもあり寒い。
マントをしていて良かったと思う。
「どこ行こうか、街にでも行ってみようかな。」
前にネロスと一緒に歩いて行った道を思い出しながら歩いていく。
歩いていると前から鳥の絵が描かれた馬車が走ってきた。
その馬車はちょうど横に止まる。
「目つきが怖いおにいちゃん!」
馬車のドアが開き中から聞きなれた声が聞こえる。
そこには上にシャツ下にはフンドシという服装をしている少女がいた。
「おお、フンドシ少女じゃないか!どうしたんだ?」
「えっと……なんもなかったけど、おにいちゃん見えたから声かけた。」
「そっか。ありがとな。」
自然に頬が緩む
そいやぁ自己紹介してなかったな。
「一応名前あるから教えとくね?俺は夏木志堂。みんなからはナイトって呼ばれてる。」
「わかったにゃあ、私は志堂兄ぃで。」
なんかクセになりそうだ。」
「ああ、それでいいよ。君の名前は?」
「私はね、キョウ・ポーシュ・アルド。アルドちゃんって呼んでいいよ?」
「そっか、オッケーだ、アルドちゃん。」
「お嬢様、お時間です!」
馬車の中から執事らしき老人が呼んでいる。
「分かったわ、今行く~じゃあね志堂兄ぃ。家に遊びに来てねぇ~」
そうとだけ言うと馬車に乗り込んで走っていってしまった。
俺は見えなくなるまで手を振った。
「行っちまった……アルドちゃんか、かわいいなぁ~」
アルドちゃんもお嬢様なのかな?
馬車乗ってたし、専属の執事いたし。
うーんどうなんだろう。
アルドちゃんのことばかり考えているといつの間にか知らないお屋敷の前に立っていた。
入口には二人兵がいて、侵入したとたん殺されそうな感じだ。
一旦帰ろうと思ったのだが、門の所に見たことがある鳥の絵が描かれているのを発見して兵の人に聞いてみることにする。
「すいません、ここってアルドちゃんの家ですか?」
「なんだ貴様は?我が主君をちゃん付けとは何事か!?」
「すいません。友達なんですが……」
「友達……?」
二人の兵は向き合い『ならば仕方ない』と門を開けてくれた。
警備薄すぎるだろう!
「失礼しま~す。」
せっかく開けてもらったので入ることにする。
中は外から見た通り広かった、サッカー場にでもできるんじゃないか?と思うくらいの大きさで、あっけにとられてしまう。
道を進んでいき面積に似合った大豪邸に近づいていく。
「でけぇ……」
近づくとよりでかさがわかる入口は、大きいデパートの入口みたいに広い。
「あれ?志堂兄ぃじゃにゃい、もう遊びに来たの?」
声と同時に背中に重みがかかる。
この声は……
俺は振り向き声の主を確認する。
「にゃっほ~」
「アルドちゃんの家だったの?」
「知らにゃかったの?」
「いや門番が、我が主君って言ってたからもしかしてと思って。」
「ふ~ん、まぁいいや。早く中に入ろ?」
アルドちゃんは背中から降りて俺の腕をとり家に入る。
いい感じに執事さんが重そうな扉を開けてくれる。
ガチャ、という音と共に中の風景が見える。
「すげぇ……」
その一言しか出ない風景だった。
中は、階段が目の前にあり下のカーペットには虎に角を生やして目が6個ある毛皮……
「なんじゃこりゃ!?」
「んにゃ、これはね魔獣の中でもレベルが高いジキューダっていう魔獣だよ。昔おじいさんが狩ってきたらしいよ。」
「これを……」
おじいさんすごすぎる!
どんな人なのかな?
見てみてぇ!
一人で考えていると階段から杖をついたおじいさんが降りてきた。
「ひょひょひょ、帰ったのか?アルドや~」
「ちょっと薫ちゃんに渡すもの忘れてたから、帰ってきたんだよ~」
アルドちゃんは俺の腕から離れておじいさんのもとに駆け寄り説明した。
「薫……?」
「にゃ?そうだよ~薫ちゃ~ん」
アルドちゃんが2階に向かって声をかける。
俺は知り合いかと胸を高鳴らせながら待つ。
アルドちゃんが呼んだあと、すぐに階段を1人の女の子が降りてきた。
その子の姿は夢に出てきた女性らしくなった薫そのものだった。
「アルドちゃん、なんです……か?」
薫は始めアルドの方を向いていたが電池が切れる寸前のブリキのようにこちらを向く。
「薫……?」
「志堂君……?」
やっぱり薫だった、夢に出てきたそのままの薫だった。
「なんでここに?」
「えっと……」
薫はまだ状況が飲み込めてないのかオロオロしている。
「まぁ、ゆっくり話す時に聞かせてくれよ。それと、志穂はこっちに来てるのか?」
薫はゆっくりと首を振る、それだけでも意味がわかった。
「そうか……」
「ニャにやら事情があるみたいだね?私の部屋来て話さにゃい?」
そういい、アルドちゃんが階段を上がっていく。
俺と薫もそれに続いて上がっていく。
――・―――・―――・―――・―――・―――・―――・――
「ナイト……」
私はナイトが出て行ったあとすぐに仲直りをしようと追いかけようとした。でも居間のテーブルにナイトの置き手紙があり、先に学校に行ってくれと書いてあった。
仲直りしたかったのに……
手紙を持ってすぐに支度をして、家を飛び出しナイトが出て行った方に向かって走った。
ナイトは走ってすぐのところに一人でトボトボと歩いていた。
「ナイ――」
ナイトを呼ぼうとしたその時、馬車が私の横を通り過ぎてナイトの横で止まった。
反射的に木の陰に隠れてしまう。
馬車からは見たこともない小柄の女の子が降りてきた。
ナイトは頬を緩めてエロい目付きで少女を見ている。
「最低ッ!」
心には楽しそうに話しているナイトを殴りたいという思いがこみ上げている。
手を握り震わせながら見ていると小柄な女の子は馬車へと入って行ってしまう。
「何よあの子、ナイトのバカ……」
いつの間にか握られていた手は力を失っていた。
「私、言いすぎたのかな……ナイトは記憶がないのに、あんなに強く言って……」
私が考えているうちにナイトはいなくなっていた。
「はぁ、学校で会う約束してるし、学校でまってよ……」
来てくれるよね?
ナイト……
アルドちゃんの部屋は女の子らしく、ぬいぐるみが部屋中にある。
部屋はなかなかに広くネロスとは違ういい香りがした。
その部屋の中心に俺たちは座ってお互いが知っている情報を交換している最中だ。
「それにしても、びっくりしたなぁ。まさか薫もこの世界に来ていたなんてな。」
「はい。えっと、あの、志堂君、さっきの事なんですけど……」
「さっきのこと? あぁ、こっちに来た理由のことか?」
「来た理由というか、気がついたら白い光の中にいました。」
「白い光……」
なんか引っかかる言葉だな。
考えれば考えるほど頭が痛くなる。
「あの日あなたと……いえ、幼馴染4人で一緒に遊園地に行ったじゃない、みんなで観覧車に乗ろうっていうことになったのは覚えてますか?」
「観覧車……?」
頭に引っかかるがはっきりとは覚えてない。
「覚えてない?志穂ちゃんが2人で乗ろうって言い出して、愁君も狙ったかのようにくじを出して、くじ引きしたでしょ? そしてくじ引きの結果、愁君と志保ちゃん、私と志堂君で乗ったじゃない。」
「すまん……思い出せん。」
薫には悪いが本当に少しぼやけた感覚でしか思い出せなかった。
「本当に何にも覚えてないのね……」
「うん……。」
少しの沈黙が流れる。
その沈黙を破ったのはアルドちゃんだった。
「あれ? そう言えばもう一人幼馴染がこっちに来てるんじゃにゃいの?聞いてみればいいじゃにゃい。」
「そうか。」
「そうですね。」
「私は用事があるから今日は学校休むって言っちゃったんにゃけど………」
「オルドちゃん来れないの?」
「にゃ。」
オルドちゃんはかわいらしい顔をこっちに向けて愛くるしく頷く。
「そうか……」
一応3人のお世話になっている人も入れて話した方がいいと思うんだけどな……
「まぁ3人集まって話し合いをするか。」
「そうしましょう。私、準備してきます。」
言うが早いか薫はオルドちゃんの部屋を出て行き、自分の部屋に向かった。
「ねぇ、志堂兄ぃ、薫ちゃん普通に話してるように見えるけど凄くうれしそうにしてるにゃ、今まで以上にいい笑顔にゃの。」
「薫が……?」
アルドちゃんは何も言わずただ頷く。
「志堂君、準備が出来ました。早速行きましょう。」
「今行く。」
俺はアルドちゃんに行ってくると言い部屋を後にする。
「暇、暇すぎるわ……」
「人を呼んでおいて何言ってますの。」
ナイトが学校に向かっている頃私はカフェテリアでお嬢様気取りのクルナルとそのパートナーの愁君とローズティーを飲みながら話していた。
「オルナ、そんな言い方してやるなよ。」
「愁は私とこの女どっちが好きなのよ!」
「そんなのお前だけどよ………」
「だけど何っ!? 何かあるの!?」
クルナルはパートナーと痴話げんかを始める。
私はケンカする相手もいないのに……
「はぁ………ナイト……」
私の様子を見て二人はケンカをやめる。
「喧嘩しちゃったんだろ? じゃあ、なんで謝らないんだ?」
「謝るタイミングが分からなかったのよ、追いかけて行ったら他の女の子と話してるし。」
あの事考えてきたらまた頭にきてきた。
ナイトのばか!
バカバカバカッ!
「じゃあ、あいつ以外の婚約者探せば?」
愁君は「あたりまえだろ?」という顔をして言ってくる。
「何言ってるの?ナイト以外の男の人なんて……」
どんなに女好きで最低で人としてどうなのと思う事があっても私はナイトがいい。
「と、いうより他の婚約者なんて無理ですわ。この世界では生まれた時からパートナー同士が決定していますの。最近発見された事ですわね。」
愁君と私は「そうなの?」とクルナルに聞く。
クルナルは口では答えずに頷きティーを飲む。
「でもちょっと待て、そうなると俺と志堂は違う世界から来たんだぜ? おかしいじゃねぇか。」
「そこはまぁ後々調べればいいですわ。……あ………」
愁君の疑問を適当に流したクルナルは窓の外を見て動きを止める。
「何見てるの?」
クルナルが見ていた所をわたしも見るとそこには
「ナイトッ!」
とその横に誰か知らない他の女がいた。
「誰よあれは!」
私は椅子から立ち上がり大きく声をあげてしまう。
クルナルが「落ち着きなさいよ、ヴァ―シュル。」と落ち着かせようとしてくれるが私の耳には届かない。
「ナイト~待ってなさい………今そっちに行くわよ~」
そう言い全速力でナイトの元へ向かう。
後ろで「待ってくれ~」と愁君が言ってるが待たない!
早くナイトをお仕置きしなくちゃ、ね。
「着いたぞ、薫。ここがトイスタナル魔法学院だ。」
「ここが……大きいですね。」
薫は学院を見上げてかわいらしい瞳をキラキラさせて見ている。
そんな薫はとてもかわいらしかった。
ずっと眺めていたいくらいに綺麗で美しい。
おっと、こんな事思ってるとネロスの怒りを悪化させてしまうな。
「そろそろ愁を探しに行こうか。」
俺はもっと見ていたかった薫の顔から眼を離し学院の入口に向かう。
薫と楽しそうに話しながら入口の方に歩いて行くと前から大きな『球ころがし』くらいの火の玉が………火の玉が来とるぅぅぅうううううううううううううううう!
「ちょ待て、薫、後ろ下がってろ! ふぅ……はっ!」
俺は即座に飛んできた火の玉を真剣で斬る。
斬れた火の玉は見事に分裂して薫と俺の頬をかすめて飛んでいく。
「大丈夫か!? 薫!」
「私は大丈夫……ッ!」
「薫、どうした?」
俺は火の玉の風圧で倒れた薫を見下ろす。
薫は足首を痛そうに押さえている。
さっきの何処かで見たことある火の玉のせいで折れたのかもしれない……急いで保健室に連れて行かないと!
「薫、背中に乗って。」
「え、でも……。」
「早くっ!骨が折れてたらどうするんだ!」
「では……」
薫は倒れかかるように俺の背中にしがみつく、その時に薫の胸と俺の背中がぴったりくっついて何とも言えない感触がぁ!
って!そんな場合じゃないだろ!
「薫、行くぞ。」
俺は頭に生まれた邪念を必死に振り落として錆びた剣をしまい、薫を背中に乗せ、細心の注意を払いながら思いっきり、地面を蹴った。
俺が学校の門の前に走っていくと、そいつが見えた……
白い髪の毛と今にも下着が見えそうなくらい短いスカートをなびかせながら、術を唱える為に必要な杖をこちらに向けたまま仁王立ちするその人。
「ナイト、何処行く気?」
冷たい声に似合う、光った鋭い目。
普通ではありえないかわいさを持っているその人は、間違うことなんてない、間違えるはずがない、俺の婚約者のネロスだった。
おそらく、今飛んできた火の玉はネロスの魔法だろう。
「何のつもりだよ……ネロス。」
「何のつもりって、何?ナイトこそどういうつもりよ!その子誰よ!」
「誰って、誰でもいいだろ。」
「よくないよ、私達婚約者なんだよ?その女のせいで取り消しになんかしたくない!」
ネロスは胸元から婚約書をとりだし叩きながら俺に訴えかけてくる。
「私はね、ナイトと喧嘩して、私も悪いと思って……謝ろうと思って追いかけたんだよ?なのにナイトは私の知らない女の子と楽しそうに話して………でも大丈夫だろうって信じて学校で待ってたのよ!?なのになんで、なんでこの女と一緒に来るの?答えてよ、ナイト!」
「お前には関係ないだろ?」
ちがう。
「俺はお前に感謝してるよ、見ず知らず俺にあんなにやさしくしてくれて………でもさ、何でそこまで俺を縛り付けるんだよ!」
ちがう、ちがうちがう!こんな事言わずに事情を説明して朝はごめんって言えばいいじゃないかっ!
「俺が誰と話していたっていいだろ、話しただけでいちいち……いや、なんでもない。そこどけよ、薫を保健室に連れていかなくちゃならない。」
ただ一言ごめんって言えよ……何で俺………そんな簡単な言葉も言えないんだよ。
「そんなにその女が心配……?なんで、なんで。」
ネロスが俺に聞くが俺は無視して歩きだし、ネロスの隣を通る。
「ごめん……。」
ネロスに聞こえるか分からないくらいの声の小ささで謝る。
今はこれしか言えない。
ネロスは何も言わず下を俯いていた。
心が痛くなるが、俺は見て見ぬふりをして薫を保健室に連れて行った。
息を切らしながら遅れてきた愁とオルナさんはどういう状況か分からずに二人でオロオロしている。
「志堂、どうしたんだ?」
愁が聞いてきたが俺は「すまん……。」と言い保健室に向かう足を速めた。
―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――
「一体どうしたんだよ………何があったんだ。なぁ、ネロスちゃん……。」
「……ねぇ、愁君、私、どうしたらいいの……?」
ネロスちゃんは涙を流さない様に、必死に泣くのをこらえながら聞いてきた。
「ヴァ―シュルはどうしたいんですの?」
「私は……」
いきなり喋り出した俺の婚約者、オルナがネロスちゃんに向かって厳しそうな口調で言った。
「すぐに答えは出ないんですの?前はあんなに嫌なくらいでベットベトでヌッルヌルで気持ち悪いくらい仲がよかったではありませんか。それが、少しの喧嘩ぐらいで、男の浮気ぐらいでピリピリして………みっともないですわ!」
オルナ、お前………。
「私の愁なんてね、ちょっとかわいい女の子がいたら見とれて、デレデレして」
あれ?
「そっちの方ばっか見て、鼻の下のばして」
「おい、オルナ。」
「志堂君の比じゃないんですからね!」
ごめん、なさい………。
「一緒にしないでよ……ナイトと愁君を一緒にしないでよ!ナイトの方が何千倍もカッコいいし優しいし、私が助けてほしい時も飛んできてくれたんだから!」
全否定された俺は心が傷つきました。
「んなっ!愁の方がカッコイイですわ!」
「ナイトよ!」
「愁ですわ!」
「「………ップ。あははははは」」
2人は自分の婚約者を褒めた後見つめ合い、いきなり笑い始めた。
「元気になりましたわね、ヴァ―シュル。私が愁を好きなように愁も私が好きなんですわ!ね?愁!」
「は、はいっ!」
目を鋭くさせて俺に同意を求めてきたオルナは目だけで「空気読めよ」と伝えてくる。それが怖くてなすがままに答えてしまう俺もどうなんだろうな………。
「その人を愛したらその人の事が本当に好きならその人が考えている事が手に取るように分かりますわよね?ましてや私たちは婚約者同士なんですよ?なら、いま志堂さんが考えている事は分かるんじゃないですの?」
「クルナル、ありがとう……私ナイトの所に行って仲直りしてくる!」
そう言いネロスちゃんは志堂を追いかけて走って行った。
「オルナはすごいな……一瞬でネロスちゃんを元に戻しちまうんだから。」
本当に凄いと思う。
「じゃぁ~頭撫でて~愁ぅ~」
さっきまでのお嬢様キャラは捨てて素で俺に甘えてくる。
言われた通りに頭を撫でてやった。
ネロスちゃんや他の子もいいけど、やっぱりオルナが最高だな!
―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――
「ただのねん挫ね、その程度だったら安静にしとけば直るから。ここで休憩していけば?」
無駄にある胸元を強調するかのような服、綺麗な足をより綺麗に見せるミニスカを着ている、保健の先生のリューグウ・カレイ先生が言う。
「そ、そうですか。大したことなくて良かったな薫。」
「ええ、ありがとうございます。でも、私のせいであの方と喧嘩してしまって……」
「いいよ、気にすんな……。」
本当なら今すぐ飛んで行ってネロスに言いたい、さっきはごめんって、本当にごめんって伝えたい。でも、俺にそんな資格はない、一方的にネロスを振りまわして、心配させて……こんな俺には資格が、ない。
「なになに?恋かい?恋の話ぃ?」
カレイ先生はお色気を醸し出しながら俺の顎を手であげキスをするかと思うくらい近くで言ってくる。
「なんなんじゃ――」
「ナイトッ!」
ないですよ、と言おうとした瞬間勢いよく保健室のドアが開き俺の婚約者のネロスが息を切らして立っていた。
「ネロス!?」
「ふ~ん、薫ちゃん、少し付き合ってくれない?」
「え?あ、はい!」
無駄な気遣いをしたカレイ先生の言葉の意味を察してか、薫も怪我をした足で立ち上がり先に出て行ったカレイ先生を追いかけて薫も部屋を出て行った。
薫も先生も部屋を出て行ったわけで、この部屋の中には俺とネロスだけで凄く気まずい空気が流れている。
「「あ、あの!」」
「あ、いや、ネロスから言ってよ。」
「う、うん。ありがとう。え、えっと………ごめんなさい!」
ネロスはきまずそうな顔をしてこちらを向いた後いきなり頭を下げた。
「え?」
「私、ちょっとした事でナイトを怒って、困らせて。クルナルに言われたの、本当に好きならその人の考えてる事が手に取るように分かるって言われたの。そう言われた時、私は本当の意味でナイトの事が好きじゃないんだと知ったわ。だから、本当の意味で好きになれるように、ううん、ナイトの事が手に取るように分かるようになる。今回は本当にごめんなさい!………許してくれる?……って、なんで泣いてるの!?」
「何でもない。俺こそごめん、ちゃんと説明したらいいのに………このケンカの原因を作ったのは俺なのに……こっちこそごめん!」
俺は目から流れ落ちる涙を拭きながらネロスに心からの謝罪をする。
ごめん、ごめん、本当にごめん。
俺は心で何度も謝りながらとめどなく流れる涙を拭く。
「もういいよ。顔あげて。」
「ごめん、ごめん。」
「もういいよ、ねぇナイト。」
「ごめん、ごめん!」
「ナイト、ききなさぁ~い!」
俺が何回も謝るのをネロスが手で無理やり止めた。
頭を鷲掴みにした手は無駄に力がこもっており、いつぞやの状況と一緒だった。
「………ップ、あははははは」
俺と同じことを考えていたのか、ネロスも笑いだす。
「はは、前と一緒だな。」
「うん。あの女の事は返って教えてね?」
「あ、ああ。」
そこはネロスの事しっかりと調査するようです。
抜かりないが、かわいいな、俺の婚約者は………
その後俺とネロスは分かれた。俺が薫の世話をしてくると言うとネロスは「私も行く!」と予想通りに言いだしたが、「俺がそんなに信用できないか?」というと「そんなことないけど………」と言いながらついてこようとするのをやめない。なので「ついてこようとしたら疑ってるのと一緒だろ?俺を信じてくれ。」と言いやっとネロスは教室に授業を受けに行った。
「さて、薫を探さなくてはな。」
「探さなくてもいいわよ~」
探し始めようと思って保健室から出たら聞いたことある声が聞こえた。
後ろを向くとそこには予想した通りかな、無駄に強調された胸元、綺麗な足をお持ちのカレイ先生が立っていた。カレイ先生の肩を借りて薫も先生の隣を歩いている。
「いや~少年、よかったなぁネロス君が優しくて。」
先生はニヤニヤしながら言ってくる。
「て、ことは………」
「お察しの通り、盗み聞きの立ち聞きをしていました。すいません。」
「はぁ~」
俺は大きな、大きなため息をついた。
「何処から何処まで?」
「勿論全部よ!」
エロ教師が笑顔でグッジョブしてくる。
そんな笑顔で言われてもなぁ、てか、グッジョブしてきたのがイラっと来た。
「まぁいいや、薫何処行きたい?」
「そうですね、それでは志堂君の家に行きたいです。」
は?
「いやいやいや、俺はネロスの所の居候だし、それにアルドちゃんが心配するぞ?」
「それなら大丈夫です。今日は志堂君の場所に泊まるので、と言っておきました。それにネロスさんはあなたの友達を家に入れたら怒るんですか?」
「うっ!」
ちゃっかりアルドちゃんには連絡してるし、しかもネロスが怒るから、何て言ったらネロスの器が小さい事になる……さて、どうしたものか。
「どうなんですか……?」
薫の目も光り出す。完璧に悪い顔つきになってる。
「ど、どうぞ……。」
俺は招く以外に方法が思いつかず招待することにした。
この場合は仕方がないはずだ、ネロスが許すという奇跡的な事になるように祈ろう。
俺と薫は学校を後にして俺とネロスの家に帰った。
―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――
カーンカーン、と授業の終わりを現わす鐘が学校中に鳴り響く。席を立ちそのまま家に帰る人もいれば友達としゃべりながらお茶をする人もいる。
オルナと愁君からお茶のお誘いはあったけど、一刻も早く返ってナイトと話したいと言って家に向かって走った。
ナイトとすぐに話したくて。
「ナイト、待っててね。早く帰るから!」
走って帰っていると朝、ナイトを見失った場所で見た事のある鳥のエンブレムをつけた馬車が横を通り過ぎた。早く帰らないといけないがそっちに足が進んでしまい、
「そこの馬車止まりなさい!」
叫んでいた。
ギ―ッ、と鈍い音を奏でながら馬車は徐々に動きを遅め、ブルンッ、という馬の鳴き声と同時に止まった。
馬車の扉が開かれていかにも高そうなスーツをピシッと着た執事らしきおじいさんが降りてきた。
「なんですかな?」
こちらを警戒しながら近ずいてくる。執事さんとの距離が2メートルになった所で馬車からもう一人降りてきた。その独特な服装、ロリな見た目。朝ナイトと話していた女の子である。
「お嬢様!でて来てはなりません。こ奴は怪しすぎます。」
「にゃ? じー、この人は大丈夫だよ、多分ネロスさんにゃ。」
「なんで、私の名前を?」
「にゃはは、志堂君から聞いたにゃ。怒りっぽくて、一緒にいるだけで疲れるって。」
ナイト、シバクッ!
「でも、とてもかわいいんにゃって。いろんな事ですぐ怒るけど、いろんなところで食い違いがあるけど、大切でかわいいって言ってたにゃ。」
ナイト……
「私もナイトが好き!」
「にゃッ!私に抱きつかにゃいで~!」
あまりにも興奮してしまった体が理性に逆らってくるくる回転し、ナイトが好きという気持ちを抑えられずにいる。アルドちゃんは私にがっちりと掴まれてるので、身動きが取れずに一緒にくるくる回る。
「あ、ごめんね?あなたの名前何?」
「にゃ~アルドにゃ~」
アルドちゃんは目を回しながら言う。
「アルドちゃん……じゃあ、アルちゃんって呼んでもいい?」
「にゃ。」
アルドちゃんならぬアルちゃんは、かわいく頷いて返事をする。
「私の名前はネロスよ。これからよろしくね。じゃ、私急いでるから、またね~」
「ばいにゃ~」
アルちゃんと軽く挨拶を交わしナイトの元へ行くために私はまた走り出した。
やっと着いた。
「私の家よっ!」
ナイトに早く会いたいと走り、やっとついた、我が家に、私とナイトの愛の巣に帰って来た…………キャ。
うふふふふ
私とナイトの、あ~いのす~♪
私は一人勝手に妄想を膨らませて、家の前で心も体もミミズのようにクネクネしてしまう。
「な~い、とっ!」
クネクネしながら私の愛しい彼の元に行く。
「何処にいるのかな~?私の愛しい恋人や~い♪」
自分でも信じられないくらいの甘えた声を出しナイトを探す。
「ここかな?」
暖炉の中、床の下、屋根の上。
色々な場所を調べて、調べてない場所が残り一つ。それはナイトの部屋……。
「ネロス、行っきま~す!」
私は思いっきり中に向かって突入した。
ドン、という音を立てて扉が開く、そこに見えたのは……
「な、なん、なんで……」
ベットの上でキスをする二人、こちらから見たら、ナイトの頭が見える、向こう側には黒い髪であの天敵がいた。
音にびっくりしたのかナイトがこっちを思いっきり振り向いてみる。
ナイトの顔を見た時私はこの言葉しか出なかった。
「何やってんのよ、ナイトッ!」
―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――
俺は薫と昔話などをしていた。だが薫が「目にゴミが入った」と言ったから見てやっていた。そうしたらどうだろう、後ろから扉が思いっきり開け放たれる音。扉の方を見てみると顔を赤くして怒るネロスがいた。
「ちょ待てネロス、お前は何か勘違いをしている!」
「何が勘違いなの!? ナイトは今その女にムッチュッチューしてたじゃないの!」
「何だよムッチュッチューって!」
「え?ムッチュッチューは………ムッチュッチューよ!」
だから何なんだよ!
「ご心配なく志堂君とはムッチュッチューはしてません。」
「嘘つきなさい!絶対、ムッチュッチュ―してたんでしょ!?」
「ちょ、待てネロス、まじで話し聞けって!」
「……でも、ムッチュ――」
「ムッチュッチューはしてねえよ!お前、ムッチュッチューって言いたいだけだろ!」
「ばれた?」
そうなんかい!
突っ込んだら話が流れそうだから、あえて、口に出さずに突っ込みを入れる。
「たく、さっきの、顔近ずけてたのは薫が目が痒いって言ったから見てやってただけだよ、たく、それだけだ。」
「ねぇ……そんな出来た話があると思う!?」
「あるんです!」
「本当にッ!?」
「本当だ!お前に嘘はつかない!てか保健室であれだけ話し合ったんだぞ?そう簡単にネロスを裏切ってたまるか。」
我ながら、なんてくさいセリフなんだろうと思いつつネロスに向かってはっきり言ってやる。
そのくさいセリフの何処を気にいったのか、我が姫は目を輝かせて、吐息を洩らしているのかと思うほどに小さな声で「ナイトォ……うへへへへ」と笑っている。
「二人とも臭すぎです……。」
薫にストレートに言われて意外と傷つく、しかも臭いって言われた。俺ってそんなに匂うかな……。
「志道君、体臭の匂いじゃないですから。分かっててやりましたよね。」
「ばれた?だって、だって、だってなんだもん!」
俺は気持ち悪く体をくねらせ女の子に出来るだけ似せた声(俺の限界)で返事をする。
薫には遠い目をされたがネロスは
「私はナイトがいい匂いって知ってるも~ん、この匂い吸ってると落ち着くのよね~」
顔を俺の胸ですりすりしながら気持ちよさそうにしている。
「うざいです、早く離れないさい。」
「なんでよ、第一彼は私のナイト……いえ、私の婚約者なんだけどね~」
一度中止していたすりすりを、ネロスは薫に言い放った瞬間また始める。
そんなに挑発しなくても……あぁ、薫の顔がどんどん不機嫌になる。
薫はどう見ても不機嫌だった。だがイライラした顔は変わり口にかすかな笑みが見てとれる。
「志堂君、私達はあんなにあつい夜を過ごしたじゃないですか。」
「はぁ!?」
「どういう事よ、ナイト!」
薫、いきなり何言いだしてんだよ。
「ちょ待て知らねえぞ!」
「それはそうでしょう、志堂君は最近のあった記憶を忘れてるんですから。」
そうか、俺の失った記憶には薫とのあつい夜の思い出がぁ!?
俺の知らないうちに俺は大人になっていたのか!
「ナイト、口が笑ってる。」
俺の知らないうちに頬が上がりニヤニヤしていたらしい。
「あの時の志堂君は激しかったですよね、二人とも初めてだから……って優しくしてくれて、私を大事に抱きしめてくれましたよね。」
薫は相変わらず、昔から一緒にいる俺にしか分からないぐらいの笑みを浮かべてネロスが怒っているのを楽しんでいるようだった。
これはまずい、早い所ネロスの誤解を解かないとまたケンカになる。
そう思いネロスの方を見るとネロスは顔を真っ赤にして怒っている、と思ったのだがネロスの表情は非常に落ち着いたものであった。
「そうよね、ナイトは記憶がないんだもんね。だったら、今まで誰とどうなったかなんて関係ないわ、今が大切なのよ、ふふん。」
「「………え……」」
言ってやったわ、というような顔をしながら腕を組んで薫を見やる。
薫と俺ははネロスが怒り狂うものかと思っていたが、的が外れて驚きを隠せていなかった。
「何、聞こえないの?もう一回言ってあげようかぁ?」
「いいです。」
完璧に薫を言いくるめたネロスは嫌味ったらしく言う、それに対して薫は一言だけ返す。
「なになに?どうしたの?いつもの減らず口はどうしたのぉ?」
「いえ………。」
また嫌味ったらしく言うネロスに、薫はまた一言だけ返す。
あ、薫の目が少し潤んできた。
少し潤んだ目で俺に助けを求める薫、なかなかにかわいいものだがネロスが言いすぎな事もあるので、俺はネロスに言うのをやめさせる。
「ネロス、そろそろやめとけよ。今のはそんなに薫は悪くないだろ?」
「ナイト……ナイトは、こいつと私、どっちがいいの……?」
なっ!
こいつ……涙目で見てくるのはどうかと俺は思うぞ。だがここで言いくるめられてみろ、一生ネロスの尻に敷かれて生きる生活だ!ここは言ってやる!言いきってやる!
「そんな顔しても駄目だ、今のはお前が言いすぎだ。早く薫に謝れ。」
「でも――」
「デモでもホモでもカモでもない!今のはお前が悪かっただろ、早く謝りなさい。」
言いきった、男夏木志堂、言い切りました!
ネロスもここまではっきり言われるとは思ってはいなかったのだろう。下を向きさっき薫に言っていた時みたいな元気がない。
「あんた……ナイトに免じて言うけど、ごめん、なさい。」
「いえ、私も少しからかおうとしてましたので。でも志堂君、私をしっかりと守ってくれました。あの時と一緒ですね。」
薫の笑顔、これには本当にいつ見てもドキッ、と心に来るね。
てかあの時って……?
「掴った時です。」
「ああ………てか心読むなよ!」
薫は俺の心を呼んだとしか思えない返しをしてくる。
「ふふふ、私がどれだけ志堂君と一緒にいると思っているんですか?心を読むくらいお手の物です!」
そこまで言い切られてもなぁ。第一心を読まれるのは色々とまずいな。
「心を読まれると、何でいけないんですか?」
「………」
薫の前では余計なことは考えないでおこう。
「二人だけで私を無視するなぁ!」
ネロスが俺の腕をひっぱてくる。
「な、志堂君腕を離しなさい!」
「嫌です~。」
ネロスももう止めとけよ。
「なら……私にも考えがありますっ!」
薫は薫で俺の片方の腕に絡みついてくる、二人とも俺をとりあい中間にいる俺はヤジロベエみたいな腕ののばし方に………しかも痛い……痛い、痛い!
「だぁぁぁああああああああ!痛ぇよ!ちぎれるよ!? 本当に腕取れるかと思ったよ!」
がっしり掴まれていた腕を無理やり力ずくでほどいてやっと解放される。
「でも先にその女が――」
「でも先にその人が――」
ダンッ!
ネロスと薫がお互いに言い訳をしようとした時、近くにあった机を思いっきり叩いた。机が叩かれる音を聞いて二人とも動きを止めて口を閉じる。
「お前ら、それ以上うるさくすらなら、どうなっても知らねぇぞ………」
俺は怒りにまかせて薫るとネロスを睨みつける。
二人とも今までに見た事がない俺の姿を見て黙ってしまう。もちろん、どうなっても知らねぇぞ、とか言ったけど俺に何かする勇気なんてないから、そこがばれたら、終わりだったのだが一向にばれないのでキレているふりを続ける。
「いい加減にしろよな、なんで喧嘩すんだよ!ナカヨクヤロウゼ。」
我ながらなんて下手な芝居なんだ。全体的に駄目だったがその中でも、最後の「ナカヨクヤロウゼ」なんて完璧な棒読みだし………これでばれないのか……?
自分でもこれだけ下手なら、ばれるか?と思って覚悟はしていたが何が嬉しかったのか姫達はこっちをキラキラな目で見つめて
「ナイト、さすがね………。」
「志道君、さすがですね………。」
と言ってくる。
「あ、ああ。」
あまりにも簡単に納得したな、何か怖いぞ。
「そうね、仲良くよ、ネ?」
「仲良く、ですよ、ネ?」
二人は握手をしてにこやかにほほ笑み不吉に途切れた言葉を並べる。
「薫さん、仲直りしたし、初めての共同作業しない……?」
「いいですよ、ネロスさん……。」
共同作業!? 仲直りしたのはいいがそんな所まで行く気か!そんな、まさか、いきなりそんな!
「俺も一緒に参加していいか?」
駄目だろう、と思いながらも、頭の中がピンク色の俺は、二人と一緒に共同作業を!という意志で二人に聞いた、そして答えはまさかの
「ナイトはもうすでに入ってるわよ?」
へ?
俺も入ってる?
「そうですよ、私達の共同作業には志堂君の力が必要不可欠なんです。」
ほう、俺の力が……こりゃあ、今夜は寝れないかなぁ……って、何だ!?
一人ウキウキと浮かれていた俺は突如羽交い絞めされて、動けなくなった。目の前には手をワキワキと動かすネロス、後ろにはアルドちゃんよりはないがそれなりの物を押しつけてくる薫、と逃げ場をなくした。
薫って意外とあったんだな……
何て考える余裕が俺にあるのはこの後のことが予想できるからだ。
「あら?潔いいわねぇナイト。」
「まぁな、覚悟はできている、思いっきりやってくれ!」
「いいわ、その根性、貰った!よくも怒ってくれたわねぇ!歯、くいしばれ~~!」
パチーーーン
ネロスに言われた通り歯を食いしばる、だが、やっぱ痛いな……。
「いてぇ……」
俺が呟くと後ろにいた薫は、今度は俺の前に、前にいたネロスは後ろで俺を羽交い絞めに……って、こいつらさっきまで喧嘩してたとは思えないコンビネーションだな!
「志堂君、ごめんなさい!」
パチーーーン
謝ったと同時のビンタ、本当に痛い……。
こんな生活がこれからも続くのか、嬉しいようなきついような。
そんな事を部屋中に響くビンタ音と一緒に考えていた。
はぁ……
俺がこれからこいつらを守り、これからのすばらしい未来に誘おう
いや~本当にいちゃらぶ大好きですねw
もはや私の願望、妄想の塊で本当に申し訳ないです。
次はエピソードですので短いです。実質的にはもうここでエンドです。コンテストの戦いしないまま終わってしまったので恥ずかしい・・・
それではまた次回で!




