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ウィザナイ  作者: あつあに
3/6

第2魔法  学園と仲間と青春?と………

「……ト……イト………」

 誰かが揺さぶってくる。

 揺さぶりを無視して布団の中に潜ると揺さぶるのをやめてくれた。

 だがその瞬間

 「早く起きなさい!」

 言葉を吐き捨てながらネロスは布団を取る。

 「甘いな……」

 俺は負けじと取られた布団を奪い取ろうとするが一歩遅く手は宙を舞いそのまま布団ではなく別の物を掴む、それはマシュマロのように柔らかく、手に収まる程度だが程良い弾力がある。そう、男が決して軽はずみに触ったらいけない禁断の物だ。

 「これは……おっッブ!」

 「なに触ってんのよ!最低!変態!不潔!」

 ネロスは顔を真っ赤にして俺に平手打ちを遠慮なくしてきた。

 突然の事だったのでよけられなかった俺はもろに直撃してしまい、風呂場事件と一緒のように地面に顔面着地。

 「昨日の風呂場よりも痛いぞ……」

 「だって……今日は触ったのよ!? 当り前でしょ?」

 ネロスは半泣きになりながら言ってくる。

 「もう最悪だわ……あなた一応婚約者なのよ?そこは自覚して!」

 「狙ったわけじゃないんだけどな……てか、あんまりなかったじゃん」

 「なんですって?」

 どうやら俺は踏んでしまったようだネロスの地雷を………

 「なにが、どれくらい、なかったの!?」

 こわっ!

 ネロスの目は光っていた。そう、例えるならば獲物をねらうライオンの如く目が光っていた。

 光った時俺の脳裏に嫌な事が思い浮かんでしまった。

このままじゃ、食われる……

 骨までやられてしまうぞ。

 「まて、ネロス俺は何も言ってないぞ?お前はすごくいい体つきをしているじゃないか。スレンダーな体だぞ?自信を持て。」

 俺はセクハラまがいの事を言ってネロスを落ち着かせようとするが、

 「うるさい………自分がどんな体つきかなんて、自分が一番分かってるのよ!」

 「俺はそんなことないと思うぞ?お前はお前が持っている以上に魅力的だぞ?」

 「嘘ね、どうせ男なんて胸がでかい子がいいんでしょ?」

 「いや、そうでもないぞネロス!」

 言え、俺よ言うんだ

 「俺はな、ネロス」

 「なによ……」

 ネロスは涙を流さないよう頑張りながら答える。

そんな涙目で見ないでくれよ!

 でも、言わなければ、今後の為にも

 「俺は……」

 「だから何よ」

 言え、俺よ言うんだぁああああああああ

 「俺は!胸がないほうが好きだぞ?」

 言ってしまったぁ………胸はやっぱりあった方が言いに決まってるのに。男の皆に聞いてみなよ、絶対大半の人がそう言うから!

 「本当に?」

 「ああ、あんなのあっても邪魔なだけだろ?気にすることないさ。」

 「そうよね?あんな物いらないものよね、いや、いらないわ!さすが私のナイトね。」

 ネロスは自分に無理やり言い聞かせて納得をした。

 ちなみに顔はあやしい顔をしている、顔はひきつりながら無理やり笑っておりフフフと笑っているから余計に怖い。

 「当然だろ、小さいほうが何かと便利だからな………」

 「わかってるわねぇ、さすがさすが。」

 ネロスは腕を組みながらうなずいている。

 「そういえば。」

 何かを思い出したようでネロスは部屋から出ていった。

 ただ待っているのも暇なのでベッドから出て朝の運動をしとく事にした

 ん?俺はなんでベッドで寝ているんだ?

 服は昨日のままだからセーフだけど………

 俺が考えていると部屋の戸が開き、ネロスが顔を出した。

 「ごめんねこれあげるわ、昨日持って来たんだけど寝てたからあげれなかったの。」

 ネロスが持ってきた物は『真剣』だった。

 偽物ではない本物の

 「まじか………真剣って。」

 「シンケンって言うの?これ。家に代々伝わってる物なんだけど、私って魔法使いだから倉庫にしまったままだったのよね~。」

 見た目とは違いドスンという重みがありかっこいい真剣なのだが

 「錆びてるな……」

 「なっ!仕方ないでしょ?倉庫にしまってたんだから。」

 「だな……」

 真剣は見事に錆びついており、切れ味がすごく悪そうだった。

 「じゃあ今日の学校帰りにナイトの服を買うのと一緒に鍛冶屋にもっていきましょう。」

 「そうしようか。」

 「うん。」

 ネロスは笑顔で俺に返事をする。

 「朝ごはん作ったから食べて早く学校に行こうよ、転入の手続きがあるから。」

 「じゃあ飯食うか!」

 ネロスに言われるがまま俺は食卓に向かう。

 テーブルにはすでにパンと目玉焼きとスープがあった。

 「いただきまっする!」

 一昔古いギャグをやってから俺は椅子につき食事を始める。 

 ネロスも席につき食事をする。

 周りから見たら違和感がない光景だ。

 俺、昨日ここに来たんだけどな………不思議だ。

 そんな事を思いながらスープを一口。

 「ん……」

 「ん?どうしたの!? ナイト?なんで泣いてるの?」 

 俺は泣いていた、

 家に帰れない悲しさ?

 いや違う、単純に

 ネロスのご飯がおいしかったからだ

 「うますぎる。」

 「え?」

 「俺美味くて泣いたのなんて初めてだ……」

 「そんなにおいしい?」

 「ああ、最近何も食ってなかったからなぁ昨日の飯も久々の飯だったし。」

 あれ?

 記憶がもどってるのか?

 「ナイト!記憶戻りだしたの?」

 ネロスが声を張り上げ聞いてくる

 「いや分からない、口から勝手に……何なんだ。」

 「そう。」

 ネロスは座りながら言った。

 そして座り直し俺の方を向き

 「ゆっくり思いだそう?時間はあるからさ。」

 「ごめん。」

 「謝らなくていいよ」

 少しの沈黙が訪れる、その沈黙を破ったのはネロスだった。

「早く食べようよ!いらないんだったら全部食べちゃうんだから!」

 そう言い俺のパンを取って食べる。

 「あっ!俺のパンをこのやろ。」

 俺も負けじとネロスのパンをとる。

 「それ私のよ、返して!」

 「お前も取っただろうが!」

 「ちぇ」

「ブフッ」

「プッ」

 「あはははははは。」

 2人は同時に笑い部屋中笑いに満ち溢れた。

 その後も楽しく会話はしながら食事をした。

 ありがとうな、ネロス



食事が終わり片づけをして学校に今向かっている。

学校への道のりで家は全くなく森しかない。

「なぁ学校ってまだつかないのか?」

「もうちょっとよ、頑張って歩く!」

「だってよ~これは背負わなくてはならないのか?」

そう言い俺は背中にある真剣を指さす。

 「当然よ、あなたの武器なんだからあなたが持ってないとね。」

 「それはそうだが、重い………」

 これ何キロあるんだよ本当に

 早く着かないかな~

 その願いが通じたのか森の終わりを告げる光が見えた。

 「着いたわよ。」

 森を抜けるとそこには国会議事堂くらいの大きさの建物があった。

 「これが………」

 「そう、トイスタナル魔法学院よ!」

 それはすべて石とコンクリートで作られておりとてつもなく広くとてつもなく大きかった。

 「まずは校術長に挨拶しなくちゃ。」

 ついてきて、と言いながら俺の前をネロスが歩き出す。俺もネロスについて歩き出す。

 「なぁネロス、校術長ってどんな人なんだ?」

 「えっと………今から聞く事は言わないでよ?」

 ネロスは立ち止まり顔をこっちに向けて唇の前でシーッと言いながら忠告してくる。

 「勿論だ。」

 「よし、なら教えてあげましょう。」

 ネロスは振り返って進みながら話しだす。

 「校術長っていうのは当然学校で1番偉い人ね、でもエロいって噂……悪い人ではないらしくて、学校内でもズバ抜けて魔力が高いらしいわ、とにかく謎に包まれていて分かっているのはこれくらいかなぁ、後は本人に聞いてみなさい。」

 聞いて分かるんだったらすぐ謎解決なんじゃないか?

 そんな事を思いつつネロスの後をついて行く。

 「あら、そこにいるのはヴァ―シュル家のお嬢様じゃなぁい。」

 そこには緑色の髪のセミロング少女が立っていた、歳は俺達と変わらないくらい、だがしかし、ネロスには無い物があった、それは胸だ!

 その少女にはネロスとは月とスッポン、いや卵とスイカぐらいの違いがあった。

「うわっ、ナイト逃げましょ……ってどこ見てるのよ!」

 俺の目線に気づいたネロスはいつの間にか手に持っていた杖で俺の頭を殴る。

「いってぇええええ、何だそれ?いつから持ってたんだ?シャレにならないぞ!」

「うるさいわね、あんたがあいつの胸ばっかり見てるのがいけないんでしょ?私の婚約者っていうのを忘れたの?」

ネロスが髪をなびかせ顔を近ずけながら言ってくる。

「忘れてねぇよ……」

いきなり顔を近づけてきたので頬を染めネロスはいない斜め上の方を見ながら言ってしまう。

「じゃあ、私の目を見て言ってよ!」

ネロスはもっと顔を寄せて来ておでことおでこがぶつかり合うぐらい近くなる。

「バッ、ちょい離れろよ、顔が近いって!」

「え……?」

ネロスは顔が近いと言った瞬間自分の顔がどれくらい近いか気がつき頬を染める。

「バカ………」

「仲がよろしいようですわね。」

いつの間にかセミロング少女が隣に来ていた。

「「うわっ!」」

「あら、リアクションも一緒ですわね、本当に仲のよろしい事で。」

「ちがう!」

「え、違うの?」

ネロスは瞳を揺らしながら問ってくる。

女の子にこんな顔させて、違うなんて言ったら男じゃないよな。

「ごめんなネロス、違うことないよな俺達ラブラブだもんな。」

「ラブラブじゃないけどね。」

違うんかいっ!

なんか恥ずかしいわ!

「少なくとも仲は良いという事よ。」

「そうか………」

「本当に仲がよろしい事で。」

隣でセミロング少女が冷めた目つきで言ってくる。

「もうそれでいいや……。」

「それはそうと、ヴァ―シュルはこんな男を婚約者に選んだの? あなたには期待していたつもりだったけど残念ね。今年のラヴァーズバトルの優勝者は私に決まりね。おほほほほほごっほ、お、おほほほほ。」

むせてるし、あんな笑いしなかったらよかったのに。

「いつもと喋り方違うし、慣れない笑い方するからむせるのよ………第一あなた婚約者いないじゃない。」

「い、いますわよ!今日はたまたまいないだけですの。試合の日――――」

カーンカーン

セミロング少女が何か言おうとしたら鐘が鳴り始めた。

「やばっ!ナイト早く授業行くわよ。早く。」

ネロスが俺の手を持ちながら言ってくる。

俺は手をひかれそのままネロスと一緒に走りだす。

「校術長に挨拶があるんじゃないのか?」

「授業に出てからでも間に合うわ。」

俺達が走って行こうとしたら、セミロング少女が俺達が走っている方向にどうやって移動したのかは分からないが立っていた。

「ま、待ちなさい、その方に私の紹介をしていませんわ!」

「あ~うるさい! クル オク サ ムイ ハク フク!」

ネロスは杖を制服の胸ポケットから取り出し自分の額に当て詠昌を始めた。

詠昌が終わると出会ったころよりも少し大きくなっている火の玉が目の前に現れ、真っすぐにセミロング少女に当たった。

「ひどいひどいひどいですわぁぁああああああ」

火の球は大きな音を上げて爆発をし、少女は何処かに飛んで行った。

「あれは大丈夫なのか?」

 「大丈夫よ、早く行きましょ。」

 俺は心配になりながらネロスに手をひかれ地を蹴り学校内に入って行った。

 

 

 

ここは魔法学院の1Fから2Fに続く階段前、俺はネロスのパートナーとして魔法学院に入学するために1人で校術長の所に来た。

何故1人かというとネロスが

「私は授業受けないといけないから1人で校術長の所に行ってきて、これ校術長室までの道のりと、この学校の地図だからよろしくね。」

と言い俺の右手に地図を渡す。

「よろしくね、って一緒にいってくれないのか?」

「よろしくね☆」

「かわいく言っても駄目!」

「ちぇ」

かわいく舌打ちをして上目使いで見てくる。

か、かわいい

これには不覚にもグッときてしまった。

「ならこれならどう?」

「何やっても1人ではいか―――ッツ!?」

俺が話していた途中で、ネロスはいきなりキスをしてきたのだった。

「…………」

今回のキスは初めてした時よりも長かった、ずっと。

「これでもダメ?」

ネロスは顔を真っ赤にして、長かったキスをやめて聞いてくる。

俺は頭が回らず、ボーッとした状態で、ああ、と答えてしまう。

「じゃあ教室で待ってるね?」

ネロスは白色の髪を揺らして階段を上がって行った。

「……………………はっ!してやられたぁぁぁああああああああああああああああ」

俺はその場でうずくまり地面を叩いていた。

 周りの視線が痛い・・・

 早く行こう!

俺はその場から逃げるように地図を見ながら走って校術長室に向かった。

「まずは地図を確認っと」

 地図には1Fから4Fまでの部屋が詳しく書かれていた、その中でも校術長室は見つけやすかった。

 それは4F全部が校術長室だからであった。

 「でかいな………」

 とにかく行くか。

  ネロスが上がって行った階段を俺も上がる。

 周りの視線が突き刺さる、さっきの叫んだ件ではない…と思う、俺が背中に剣を背負っているからだ。ここは魔法学院であり剣士なんて普通はいないはずだからな、剣士がいる場合誰かのパートナーしかないからな、それに俺は誰にも見られた事がないはずだから余計に目立つはずだ。

 「早く行くか。」

 周りの目が気になってきたので駆け足で登って行く。

 「はぁ……はぁはぁ……きっつ!」

 何段あるんだよ!

 次の階が見えないくらい階段は長く大変だった。

 そんな時、目の前から黒いマントを付けた剣士が隣にツインテールの髪の少女と話しながら降りてきた。

 ツインテールの少女はかわいらしく見た目はネロスとはまったく違って一言で言うと『幼女』だった。

 「トウマ、下で話し合いをしましょうよ。」

 「そうだな、じゃあ俺先に行って何か買っとくよ。いつもの場所で待っててくれ!」

 トウマと呼ばれている少年はツインテ少女の頭に手を置いて、うん!、という元気でかわいらしい返事を聞いた後に走って降りてきた。

 うらやましいなぁあんな事ネロスにしたらどうなるんだろ………



 「ネロス下でお茶でもしないか?」

 「いいわね、じゃあ私何か買ってくるわ。」

 「なに言ってるんだ、女の子に何か買いに行かせるわけにはいかないよ、俺が買ってくるまで待ってろ、な?」

 俺はネロスの頭に手を置き白色の髪をくしゃくしゃにしながら聞く。 

 「分かった、じゃあこれお金ね?美味しいのよろしくね?」

 ネロスは満面の笑みで俺にお金を渡す。

 「任せとけ!最高の物買ってきてやるからよ!今日別れた場所で待ってろよ?」

 「うん!いってらっしゃい!」

 ネロスは胸の前で小さく手を振る。

 ジェスチャーは小さいが声は元気な物そのままだった。

 「俺はもう1度ネロスの髪をくしゃくしゃにしてやった。

 「ひゃっ!」

 ネロスはそんな声をあげて驚く。

 「じゃあな、後で。」

 「うん。」

 

 

 うーんこれは違うな。やっぱりここは………

 

 

 「だ~れだ?」

突然俺の目の前が何かに隠されて暗くなる。

 「ネロスだろ?」

 「せ~かい!何で分かったの?」

 ネロスが視界を隠した手をどけ俺の前に立つ。

 「運命の相手だからな。」

 俺がそう言うとネロスは顔を一気に赤くする。

 「そ……そうね。」

 「ああ。てか何か用事があって来たんじゃないのか?」

 「あ、それはね」

 こいつ忘れてたな………

 「い……に…ちゃ……ない?」

 ぼそぼそ言っていて何を言っているかが分からない。

 「何て言った?」

 「い、一緒にお茶しよ、って言ったのよ!このバカ!」

 バカって……

 ネロスは顔を真っ赤にして短いスカートをしっかりと掴んでいってくる。

「ああ、それは良いが勉強はどうしたんだ?」

 「抜けてきたわ、ナイトに会うためだもん。」

 そうかぁなら仕方ないよな

 って、そんなわけあるかいっ!

 「抜けてくるなよ!しっかりと勉強してラヴァーズバトルで優勝しようぜ!」

 「ナイト……そうよね、やっぱ勉強してくる。」

 そう言いネロスは教室に戻ろうと走り出す。

 なんか寂しいな。

 「ネロスッ!やっぱり、その……今日ぐらいは良いんじゃないかな?えっと、俺が自分で受けてみてネロスの力がすごい事は知ってるからさ、その……」

 俺なに言ってるんだよ。さっきまで勉強してこいよとか言ったくせに。

 この優柔不断男がぁぁあああああああああああああああ

 そう思っていた時には既に俺は自分の頭を拳で殴っていた。

 「ちょ、ナイトッ!? なにしてるの!止めてよ。」

 そう言い自分を殴っている俺の手をネロスの柔らかくて温かい手で止めてくる。

 「とめてくれるな!俺は、グフッ!自分の優柔不断さに、グフッ!罰を与えてるんだ!」

 「ねぇナイト、優柔不断な所もナイトのいいところじゃないのかな?」

 「え?グフッ!」

 「私そんな」

 「グフッ!」

 「ナイトの事」

 「グフッ!」

 「そろそろ止めて!」

 「はい……。」

 ネロスは目を鋭くさせ、ずっと殴っていた俺の手をつかみ無理やり止めた。

 怖い……そして痛い……

 「あのネロスさん痛いのですが……」

 「あ、ごめん!」

 そう言いすぐにネロスは手を話す。

 大丈夫かどうか心配しているネロスはちらちらと俺の手を見てくる。

 「ネロス、大丈夫だよ。」

 「うん、ごめんね。」

 そう言いネロスは頭を下げる。

 「いや、俺が悪かったからさ、顔あげてよ。さっき何て言おうとしたのかな?」

  「えっと、私優柔不断なナイトも好きだよ?」

 めちゃくちゃかわいい。

 「そうかな?」

 「うん、すごくいいと思うよ。」

  ネロスがはにかむような笑顔で言ってくる。

  これは最高だ!

  「ネロス!早くお茶に行こう!」

  「うん!」

  

  

  まあこんな感じならいいかな~。

  って!

俺は何ていう妄想を!

  最低だ……

  妄想が終わった時ツインテールの少女と剣士はもういなくなっていた。

「だ~れだ?」

  落ち込んでいる俺の目を2つの影がいきなり覆い隠した。

  これは、さっきの妄想の続きですか!?

  「ねぇ、だ~れだ。」

  ネロスもいじらしいな、ここは分からない振りしてみよう。

  「誰?俺ここに来たばかりだから分からないんだ。」

  「え、わからないんですの?」

  ですの?

  ネロスってそんな言葉使いだったけ?

  そういやぁ匂いも違うような。

  「もう分からないんですの?私ですわ!」

  目を隠していた2つの影はなくなり、目にまぶしい光が差し込んでくる。

  光に目が慣れた時目の前にいたのは

  「今日あったセミロング少女じゃないか!」

  目の前にはセミロング少女が悠然と腕を組んで立っている。

  胸がでかいせいか腕で支えるような腕の組み方をしている。

  「すばらしい」

  「なにがすばらしいの?」

  「何って、見てみろよ胸があんなに……」

  「へぇ、胸ね……」

  俺は振り返った、そこには顔をひきつらせて無理やり笑って腕を握りしめ、ぎゅうぎゅういわせているネロスがそこに立っていた。

  「あれ、ネロス……?なんでここにいるの?」

  「うるさいわね、なんでもいいじゃない!」

  「何か用があって来たんだろ?」

  「なんにもないわよ!」

  ネロスは頬を膨らませてそっぽを向き、回れ右をして、きた方向に歩きだした。

  「まてよ、何処行くんだ?」

  「何処に行っても私の勝手でしょ!あんたなんてその生意気女と仲良くしてなさい!」

  「ちょ、待てよネロス。」

  ネロスは無視してそのまま歩いて行ってしまった。

  「いいんですの?」

  「後で謝るから……で、何か用があって来たんでしょ?」

  「そうですわ、私の名前を教えに来たんです。」

  「名前?」

  「そう、名前ですわ!」

  少女はそう言い、夢が詰まった膨らみを揺らしながら言う。

  ついつい目がそっちに行ってしまう。

  やっぱり素晴らしい

  ネロスには永遠にこの重量は無理だろうな………

  おっと、こんな事思ってるとネロスがまた起こるな。やばいやばい。

  俺は首を振り邪心を捨てて、少女と話を始める。

  「そうか、ネロスに謝らないといけないから早めに頼む。」

  「わかりましたわ、私の名前はオルナ・クルナル・トール、ですわ。オルナと呼んでく ださいませ。」

  「あ、ああ。分かったよオルナ。」

  「では、用事が終わりましたので私はこれで、あとヴァ―シュルならたぶんあそこにいますわ。」

  オルナが近くの窓から森の方角を指さしている。

「あそこって森?」

  「ちがいますわ、あの森を進んでいくと小さな湖がありますの。ヴァ―シュルは何か悩みがあったりしたらあそこに行きますの。」

  「よく知ってるな。」

  「………そうでもないですわ。」

  オルナは顔をそむけて頬を少し赤くして答えてくれた。

  「そっか、ありがとうなオルナ、今度礼するな。」

  「わかったから早く行きなさい。」

  「ホントにありがとな。」

  

  

  

  ここは森の中にある湖、俺はオルナに言われてここにネロスを探しに来た。

  湖は透き通っており魚が元気に泳いでいるのが分かる。

  森に囲まれているから涼しいしオルタは小さいって言ってたけど広かった、向こう岸がぎりぎり見えるくらいで普通に広かった、広いが居心地がいい場所だ。

  「おーい、ネロス~。でておいで~。」

  さっきからネロスを探しているのだが、全然出てこない。

  「こりゃすぐには許してもらえないパターンだな。」

  俺がため息をつき木を背もたれにして休憩しようと思って座った後に上を見上げると事件が起きた。

  なんと木の上の枝に小さな女の子がいた。

  木登り好きの女の子ならそれぐらい普通だろうが!と思う人もいるだろうが、気に登っていた事に驚いたわけではなかった。驚いたのはその少女の服装にあった。その少女は上はシャツを1枚で下はなんと、ふんどしだった。

  「ふんどしだと!?」

  「にゃ?」

  驚きのあまり声を出してしまい少女にきずかれた。

  「どうしたんだい少年?」

  少女はスタッ、と枝から降りて来て目の前に立った。

  「君も何か悩み事があってきたのかい?」

  「え、えっと俺は探してる人がここにいるって聞いて来たんだけど。」

  「ふ~ん、ちょい待ち。見つけてあげるから休憩しとき。」

  そう言いふんどし少女はまた木に登って枝から湖を見渡し始めた。

  俺はふとももを見てにやけながら少女の返事を待った。

  数分経って少女が俺の目の前に降りてくる。

  「探している人って髪が白色の人?」

  「ああ、そうだよ。」

  「その人ならこの湖の反対側の森の中に入って行ってたよ。しかも誰か隣にいた。」

  「森に?しかも2人で!?」

  ふっざっけんなぁぁぁああああああああ

  誰だそいつは、俺の婚約者をたぶらかしやがったのは見つけたらただじゃおかねえ!

  「しかもイケメンだったよ。」

  Fuck yOu!

  ぜってぇ殺す………

  「君、目が鋭くなったよ?」

  「ありがとうね、またどこかで会えたらよろしく……」

  「こわっ!」

  俺は少女の言葉には耳を傾けずにネロスがいると言う方角へ向かった。

  

  

  「ナイト追いかけてくれないのかな……」

  「君の事が好きじゃないんじゃないの?」

  そう言い隣で一緒に歩いている、シュート・バルス・ワンドが言っている。

  「そんな事……」

  「君に似合うのはあんな男じゃなくて私じゃないかな?」

  ワンドさんはナイトにはない爽やかな笑いをしてきながら言ってくる。

  私がこの人と今歩いているのは、ナイトが私の物をバカにして学校から飛び出して湖で1人泣いてたらいきなり近ずいて、勝手に一緒に行動してきて……決して私がついてきてとか言ったわけじゃないんだけど。

  「もう本当にいいですよ。ついてこなくて大丈夫ですって。」

  作り笑いをしていうものの

  「君を襲ったりしないから安心しなさいって。逆に襲いに来たやつは倒してあげるからさ。」

  前髪を片手で、ファサッとあげる。

  きもいんだってそろそろきずけよ、一線引いてんだよ。

  「本当に大丈夫ですから……ナイトが迎えに来てくれますから。」

  精一杯の作り笑いをして言うが、ワンドは一歩も引かない。

  「いやいやあんな男に君みたいなかわいらしい少女を任せておけないから、さぁ一緒に行こう!」

  もういやだよ、誰か来てよ、ナイト!

  「ねええぇぇぇぇぇぇぇろおおおぉぉぉぉぉぉぉぉすうううぅぅぅぅぅぅ!」

  「ナイト!」

  「誰だぁぁぁぁぁその横の男はぁぁぁ!」

  ナイトは顔を鬼のようにさせ殺気を出しながら走って来る。

  「助けて!私この男にあんな事やこんな事されたの!」

  ネロスは目に涙を浮かべて必死に叫んでいる。

  「あんな事やこんな事だと……」

  

  

  「ほら、ネロス君早くしたまえ。」

  「駄目ですこんな事!私には婚約者がいるんです。」

  「うるさい!あんな男より私の方が魅力的だろうが!そんな事言う奴はお仕置きだぞぉ、うへへへへ、それっ!」

  「お助けぉ~。きゃ!」

  ワンドはネロスに乗りかかり服を脱がし始める。

「よいではないかよいではないか。」

  「おたすけえ~」

  

  

  「てめぇ、ネロスに何したんだ?あぁ!?」

  「その下品な目を見せないでくれ、君は自分がネロス君みたいなすばらしい女性につり合っていると思っているのかい?」

  ワンドは髪をかきあげ爽やかな笑顔を見せてくる。

  「それは、似合ってるとは思わない……」

  顔を下に向けてしまう、確かに俺はつりあわないかも知れない………俺と違ってネロスは1人で生活もできていてしっかりしている。

「なら――」

  「ナイトは私とつりあってるわよ!」

  2人の会話に割って入りネロスが声を張って言った。

  「ナイトは私とつりあってる、ううん、つりあってるなんてものじゃないわ、最高のパートナーよ!変態でどうしようもないところもあるけど、それがナイトだと私は思ってる。」

  「ネロス……」

  ネロスの目は真っすぐ俺の目を見ていた。

  「そうだな、そうだよな。俺はネロスの婚約者だ!」

  「ふん。婚約者がどうした、婚約破棄もできるんだぞ?」

  「やなこったぁ、お前が言った通りネロスは魅力的な人だからな、婚約破棄なんざぁ死んでもいやだね!」

  「ほう、そこまで言うなら君から奪い取って見せよう!」

  ワンドは胸元から杖をとりだした。

  その杖の先をこっちに向けて詠昌を始める。

  「キュル グス ジュル」 

  ワンドの杖の先に電気を帯びだ丸い球体ができる。

  その丸い球体は真っすぐ俺の方に飛んでくる。

  「そんな攻撃きかねえよ。」

  俺は後ろに背負っている錆びた剣を構える。

  錆びた剣を……

  「って錆びとるんだったあああああああああああああ」

  「はははははは、笑い物だな。何だその剣は。」

  ワンドは腹を抱えて爆笑している。

  「くそ。」

  ナイトは飛んでくる球体を転びながら間一髪でかわす。

  「どんなもんだ、よけてやったぜ。」

  「ナイト、それはフェイクよ!」

  「おそい!雷の聖霊よ我が魂に答え力を貸し、敵なる者を討たん。」

  ワンドが詠昌を終えるとワンドの後ろの方にたくさんの丸い円ができる、その丸の中にはたくさんの文字が書かれている。

  いわゆる魔法陣だ。

魔法陣は光を放ちバチバチと電気の音を全開で奏でながら剣を吐きだす。

  「どうだい僕の最終魔法ファイナル・マジックは?これはよけきれないだろう?」

  「さすがにまずいかな……」

  「さあ、僕の剣達よあいつを、刺そうか……」

  ワンドは不吉な笑みを見せながら杖をこっちに振りおろし攻撃を開始する。

  「ちょちょちょちょいまちっ!」

  俺は恐ろしさのあまり目を閉じてしまう。

  剣に刺されてない………

  俺は少しずつ目を開けるとそこには俺をかばうようにして腕を広げたネロスが立っていた。剣はもう少しでネロスにあたるというぎりぎりの所で止まっている。

  「ネロス……」

  「ナイトに手を出さないでっ!」

  「まだ誰が君に似合っているのか分かってないようだね、その男は君には似合ってないだろそれに比べて僕はどうだ、顔は上だスタイルも抜群おまけに金持ち。なにが不服なんだい?」

  「不服って……いっていいの?」

  ネロスは広げていた腕をしまい握りこぶしをつくり言う。

  「全部よ!あなたのナルシストの所が嫌い!目が嫌い!慣れ慣れしいのが嫌い!ナイトを侮辱する所が嫌い!」

  ネロスは今まで溜まっていたであろう言葉を吐き捨てて気持ちのよさそうな顔をしている。一方のワンドは何か信じられないものを見ているような眼をしている。

  「なにを言っているんだネロス君………君はそんなにその男に毒されていたのか!そうかそうなんだな……」

  自己暗示をかけるように一人でブツブツ言い始める。

  「毒されてる?何言ってるの、私は本当にあんたの事を気持ち悪いと思っているんだけど、よらないで!」

  「ネロス君!」

  ワンドはネロスの腕をつかもうとするがネロスに見事に交わされる。

  「さわらないでこの変態!」

  ネロスが顔を真っ赤にして思いっきり叫ぶように言った。

  この一言が効いたのか分からないがワンドはその場で立ち尽くして下を向きブツブツをまた独り言を言いだした。

  「変態だと、この僕が変態だと言うのか、こんな屈辱的な事ははじめて言われた。僕にこんな事を言ったんだ、なにをしても文句はないだろう、そうだ文句はない!」

  ワンドの声は次第に大きくなっていき、ついには叫びながら言っている。

  「あいつやべぇ、ネロス早く逃げよう。」

俺が振り向きネロスを押して走り出そうとすると

「ナイト危ないっ!」

そう言うとネロスは俺を押して、俺がいた場所に立つ。俺を押したと同時に黄色の光線らしき物がネロスの肩を貫いた。肩の制服の所は血に染まりネロスが肩を押さえて悶えている。

  「ネロスッ!何でかばったんだよ………」

  「だって、ナイトは……私の大事なパートナーだもん。助け合うのは……当然でしょ。」

  ネロスは必死に笑って見せた。その笑いはひどく痛々しく見ているこっちがつらくなった。

  「早く治療しよう、つかまれよ、ネロ―――」

  「無視しないでほしいな。」

  ワンドがいきなり背後に現れ俺の頬を殴る。

  痛ぇ……

  俺は力を振りしぼり立つ。

  「なんだよ~今のは気絶ものなんだけどな~」

  「けっ、こちとらお前とは違って殴られて生きてきたからなこんなもんへでもない!」

  そうだ、ネロスに比べたらこんな痛み。

  早くネロスを助けなくちゃな。

  よし、戦ってやる!

  俺は後ろにぶら下げている剣を抜きとる、ガリガリと剣は音を立てながら柄からその姿を見せた。

  「何だいその構えは~僕をバカにしてるのかなっ!」

  ワンドは魔法陣から出てきた剣の一つをこちらに向けて攻撃してきた。

  剣は一直線にナイトに向かって飛んでいく。

斬れる斬れる斬れる斬れる斬れる斬れる斬れる斬れる斬れるっ!

  「死ね」

  「っ!」

  シュッ

  剣を振る音とともにナイトに向かっていった剣は錆びた真剣に斬られていた。

  「なにっ!?」

  「斬れた………よし、いける!」

  ワンドがひるんでいる状態に勝負を決めなくちゃいけないな、となると周りの剣が邪魔だ………

  ナイトは風をきりながらワンドに向かって走る。

  「君は甘いなぁたかが一回斬れただけだろう?この量には敵わないだろ?」

  ワンドはそう言い杖をこちらに向ける。

  「剣よ舞え!あの男を串刺しに。」

  ワンドの周りに浮いていた剣が一斉にナイトに向かって走り出す。

  「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお。」

  ナイトは自分に向かって飛んでくる剣を必死に斬り落としていくがあまりの量に何本かが体を斬り血がでて見るも無残な状態になって行く。」

  「あはははははははははははははははははははははははははは。」

  ワンドは笑い、ナイトが力尽きるまで止める気はない。

  「ナイトォ………」

  ネロスは顔をくしゃくしゃにして泣き崩れてしまう。

  「くそっ」

  女は泣かせねぇって言ったのに……

ドスッ

  その時、鈍い音とともに感電しながらナイトは膝から崩れ落ちた。

  飛んでくる剣をすべて受け切れずに一つが心臓に刺さってしまったからだ。

  胸が痛い

  血が温かい

  俺ここで死ぬのかな?

「ナイトっ!」

ネロスが霞んでよく見えない。

  「やっと当たったか、手間かけさせないでくれよ。」

  その後ろにワンドが見えた。ワンドは言い杖をしまい、埃をはらうように手をパンパンと叩く。

  「ナイトッ!だい、じょーぶ!?」

  「ネロ、ス……」

  意識が薄れる中ネロスの声が聞こえてきた。

「死んじゃやだぁ……死なないで、ナイトォ………」

  「ネロス君そんな汚い物に触らないでおきたまえ。」

  「うるさいのよっ!」

  そんなネロスの目にある涙を拭き取ってやる。

  ネロスの涙は拭いても拭いても次々と溢れだしている。

  「ねぇナイト覚えてる……?」

  ネロスはスカートのポケットをごそごそと探り一つの紙をとりだした。

  その紙には出会ったときに無理やり押させられた母印がしっかりとついている『婚約書』だった。

  「あなたは私を守るナイトなのよ?勝手に死ぬことなんて許さないわ、早く起きて私を守ってよ」

  「ネ、ロス………」

  俺がネロスを守る、か……ワンドに勝てなかった俺をまだ頼ってくれてるんだな。

  「っ!」

  「ナイト!」

  最後の力を振り絞り体を起してネロスをかばうように立つ。

  「俺が、ネロスを守る!」

  その時ネロスの持っていた婚約書が光り出した。

  儀式をした時よりも暖かく強く光り始めた。

  「なんだ?」

  その婚約書はネロスの手を離れ空中に舞い上がり、ナイトめがけて落ちてくる。

  当たると思ったらナイトの額に強い光とともに婚約書が吸い込まれていっていた。

  「う、ああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

  ナイトは雄たけびに近い声をあげる。

  「なにが起きてるの……?」

  光が消え婚約書がナイトの中に入ってしまった。

  「ナイト……」

  ナイトは立ちつくしたまま動く気配がない。

  「ナイト、大丈夫……?」

  ネロスが前に立ち目を見て見るとナイトの目は右目が赤く左目が青くなっていた。

  「いい気分だ……ネロス下がって……雑魚魔法が、消えろ。」

  そう言うとナイトの胸に刺さっていた矢は消えて無くなる。

  「お前も消えるか?」

  ナイトはワンドに赤と青の目を向けうすら笑みをうかべて言う。

「ひ、ひぃお助けぇえええええええええええ」

  ワンドは走って森の中に逃げて行ってしまう。

  「もう、だ……め」

  土煙をたてながらナイトは倒れてしまう。

  薄れゆく意識の中でネロスが、死なないでと言っているのだけが聞こえる。

  死にはしないよネロス、ただ眠いな……

  瞼を閉じ心の中でそうつぶやいた。

  

 

  

  「ここは……?」

  起きたらどこか知らない所で寝ていた。

  そこはカーテンらしき物に仕切られていて、仕切りの中にベッドが一つと物を入れる  

為のタンスしかなかった。

  その時いきなりカーテンが開いた。

  カーテンが開きそこに立っていたのはこの世界に来てからよく見ていた白いロングの髪の少女で、俺の婚約者でもあるネロスが立っていた。

  「ナイト……?ナイト!」

  ネロスは笑いながら涙を流して抱きついてくる。

  少し傷に響いて痛かったがネロスの笑顔が見れたので、おっけ~。

  「大丈夫?」

  「ああ、まだ少し痛いけどなんとかね。」

  「それは良かったですね~。」

  「うぉおおおい!誰だあんた?」

  そこには長身で中々のイケメンの若い男の人が立っていた。

  「どなたですか?」

  ネロスの方を振り向き問うとネロスはずっとにこにこしたまま返事を返さない。

  「わかりませんか?ではお教えしましょう、私は魔法学院第4代目校術長バーテン・クロイツ・ルビシアです。」

  「あんたが、いや、あなたがこの学校の校術長!?」

  「はい。」

  バーテン先生は笑顔で答える。

  「えっと、いくつか質問していいですか?」

  俺の横で手をあげネロスが言う。

  「1つ目は―――」

  「返事は聞かないのですね……」

  「歳っていくつですか?」

  「ホントに聞かずに始めましたねぇまぁいいですけど、私の歳は29ですよ。」

  「「29!?」」

  俺とネロスは同時に声を上げ驚く。

  「そんなに老けて見えますか?悲しいなぁ、はぁ」

  「いえいえ、校術長を任されているぐらいですからもっと歳の方という印象が強くて……」

  「はぁ、次行きましょう………」

  ため息をするも聞いてくれるようだった。

「はい。えっと何の属性を使うんですか?」

  「私ですか?私はSですよ。」

  「「S!?」」

  また二人は声をそろえて言う。

「で、Sってなんだ?」

「………」

この場の空気が一気に固まった。

「知らないの?まぁ知らなくて当然かな。Sっていうのはね『スペシャル』の略よ、ごく稀にオールマイティーに能力が高く生まれている人がいるの、Sは学校ではどの属性にも入らずにSっていう特別クラスに属するわ。Sの人は優遇されたり色々といい事ずくしなの。」

「凄いんだな。」

「ちなみにね、私も…S……なのよ?」

ネロスは頬を赤らめ少し目をそらして言う。

「ほう、凄いんだな。」

そう言うとネロスは顔を赤くしてうれしそうに照れだす。

「そうでもないんだけどね、でもでも素直に褒められたのは嬉しいし……もう、ナイト大好き!」

 ネロスは思いっきり抱きついてきたので傷に響いたがネロスの笑顔が見れたからよしとしよう。

 「そいやぁあいつどうしたんだ?あのいけすかない奴。」

 「ああ、ワンドさんの事?あなたが睨んだら逃げて言ったわよ。あの時の顔ったら――」

 「俺が、睨んだ……?」

 「え、睨んでたじゃない、矢を消えろ、って言った時すごくかっこよかったよ!」

 「消えろ?何の事だ?俺は倒れて目が覚めたらここに……あれ?」

 「どうやら前後の記憶がないみたいですねぇ。」

 先生がいきなり現れて言う。

 「あれ?先生いたんですか?」

 「影が薄いですよ。」

 「君達……落ち着きなさい、大丈夫ですよ、バーテン・クロイツ・ルビシア……話を戻しましょうか。」

 先生は頭に血管を浮かせ言ってくる。

 怖いですよ先生………

 「ナイトくんあなたはどこまで覚えているんですか?」

 顎に手を付け考える。

 「えっと……ワンドの魔法にやられてダウンしてネロスを死んでも守らなくっちゃって思ったらいきなり婚約書が光り出して、それから……覚えてないです。」

 「私を死んでも……!? ナイト大好き!」

 またネロスは俺を抱きしめてくる。

 ネロスから甘い匂いがして頭がポー、として傷口の痛みを感じなくなってくる。

 「ナイト?大丈夫?」

 「あ、ああ。」

 ネロスの声に正気を取り戻すが、

 「いてえええええええええええええ」

 確認のためにネロスが顔を離して、それと同時にネロスのいい匂いも遠ざかるので麻酔効果となっていたものが消える。

 「ナイト!?」

 ポー

またネロスの顔が近付き麻酔状態。

 「ちょっと?」

 「いてええええええええ」

 麻酔がとける。

 「ナイト!」

 ポー

また麻酔……

 これの繰り返しである。

 「見せつけてくれますねぇ……はぁ、一人身で悪いですね。一人でも十分楽しいですよ!」

 「えっと、先生?」

 「悪いんですか?一人で悪いんですか?見せつけないでください!」

 「ネロス……いったん離れようか………」

 「うん……」

 ネロスはゆっくりとベッドから降りて俺の横に立つ。

 「だいたい、痛いならこうしてればいいんです!」

 先生は何処からか杖をとりだし俺の方に向ける。

 その杖の先端が強く光って温かく包み込んでくれる。

 「っ!」

 光は、ほんの数秒で消えてしまった。

 「何が起きたんだ?」

 先生は杖を胸ポケットにしまい言う。

 「どうです?痛みは感じなくなったでしょう?」

 「え、あれ?ホントだ。全然痛くねえ。」

 いままで傷んでいた胸の傷が光に包まれて痛くなくなっていた。

 「校術長、お客様です。」

 いきなり他の教師と思われる人がバーテン先生に話をかける。

 「ここで、ですか……ハァ、この話はまたしましょう、今回はこの辺で、では。」

 バーテン先生はマントを翻し呼びに来た先生と一緒に部屋から出て行く。

 「すごかったな。」

 「うん。」

 「あれ?そいやぁネロスも怪我してたよな?大丈夫なのか!?」

 俺はネロスに詰めかけるように聞く。

 「うん、大丈夫だよ。先生が直してくれたの。」

 さすがだな、校術長やってるだけの事はある。

 「それよりも……」

 ネロスは頬を赤くして言う。

 「私の事を心配してくれるなんて、ナイト大好き!」

 ネロスが抱きつくが、今回はバーテン先生に直してもらったので痛みがなく、ネロスのいい匂いを堪能することができた。

 「まぁ、今度から何処行く時でも俺がついて行ってやるよ。な?」

 「うん!」

 満面の笑みでネロスは返事をする。

 その笑顔を見ながら俺は誓った



今回はネロスを泣かしてしまったけど次は絶対泣かせない!

 


さあさ、第2章になりました。

たぶんこの時代の僕は「いちゃラブ」「ファンタジー」がお気に入りだったんでしょうね。痛い妄想が続いてますw


次回も出すのでよろしければご覧ください

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