ノイドsideー02
上空を覆う大きな影は陸と治安維持局の劣兵たちを包み込んだ。
「おい、なんだあれは!」
「わかりません、本部からはこのようなものの情報はなにも・・・」
どうやら治安維持局の兵器か何かではないらしい。
陸は劣兵たちが唖然としている隙に逃げようと考えた。
「このやろうっ!」
目の前の劣兵に体当たりする。劣兵は後ろの劣兵にもぶつかりドミノ倒しになっていく。
その隙に陸は走り出した。
しばらく走り続けて立ち止まった。彼らが追ってきた気配はない。陸は上空に浮かぶ影を見た。
「あれ、建物か?」
陸が視界にとらえたのはいくつもそびえたつ建物だった。まるで高層ビルだ。
「街が飛んでるってのかよ、ふざけんじゃねーよ」
とにかく仲間のところに帰らないと。陸は怪我した腹部を抑えながら仲間たちの待つ隠れ家に向かった。
「陸!よく戻ったな!」
帰還次第すぐに治療を受けた陸はレジスタンスのリーダー橘と話していた。
「あのでかい影・・・あれは確かに街だった。橘さん、何か知ってるか?」
「俺も初めて見た。出現してからもう一時間近く経つが、動きはない」
「治安維持局の奴らも知らなかった。もしかしたら外国のものかもしんねえ」
「そうだな」
橘は深くため息をついた。また仲間が殺されたことに怒りを覚えているんだ。
「やっぱり、マイド?」
陸の問いに橘は首を横に振った。
「あの物体からは魔力が微塵も感じられない。おそらく原動力はガソリンかなんかだ。昔の飛行機と同じ原理ならな」
「じゃああれは俺たちの味方か!?」
それならきっと強力な味方になるはずだ。
「まだわからない。とりあえず様子を見てそれから・・・」
その時だった。何かの警報のような音が響き渡った。
「まさか、あれが動き出したのか!?」
橘は様子を見に行った。陸も付いていく。
外に出ると謎の影が動きを見せていた。
突如ミサイルのようなものが発射され、空中で分解された。その中からは大量の球のようなものが見えた。それは急速に落下して地上に落ちていく。
その途端、巨大な爆風が二人を襲った。