マイドsideー02
「なんだよあれ!」
悠二は絶句した。巨大な地響きと共に上空に巨大な物体が現れたのだ。真下からでは正体がわからないが、それは上空を移動していた。店の外にでた悠二たちはそれを見上げた。
「おい、あそこに見えるの建物じゃねーか?」
来妓が指差す先には確かに建物らしきものが見えた。
「おいおい、街が飛んでるっていうのかよ」
信じられない光景だ。だがこの目で見ている以上信じるしかなかった。
悠二は目の前の現実を受け入れらずパニック状態に陥りつつあった。そんな彼と反比例するかのように、来妓は冷静に物事を処理しようとしていた。
「とにかく、俺たちは地下避難所に向かおう。治安維持局があのデカブツをなんとかしてくれるはずだ」
「そ、そうだな・・・」
悠二は来妓の冷静さに唖然としながらも地下避難所を目指して走り出した。
「こっから地下避難所は一番近くて10分で着くよ。そこへ行こう、来妓」
「ああ、だけどあそこは小学校や老人ホームとか、人がたくさんいる建物が密集してる。俺たちが入れるかどうかも怪しい」
来妓の判断は冷静で適切だった。キャプテンとして俺たちを引っ張ってきたんだ。来妓には優れたリーダーシップと判断力がある。悠二はそう理解した。
「少し遠いがあそこの避難所に行こう。ショッピングモールんとこだ」
「おいこっから30分はかかるぞ!」
悠二は明らかに怯えていた。無理もない。得体の知れない何かが真上を飛んでいるのだ。
「今は浮かんでるだけでなんもしてないし、そもそも攻撃してくるとも限らない。でも油断は禁物だ。だから冷静に迅速に向かうんだ」
「わかったよ・・・」
悠二は来妓の背中を追うように走った。