ノイドsideー01
ノイド領、東京の周辺のスラム街一帯は東京外と呼ばれている。貧困と暴力で溢れたこの東京外に正義などあるはずもなく、ノイドと判定されマイドから蔑まれてきた旧人類はただただ飢餓に苦しめられていた。
学校なんてものはない。企業もない。畑仕事も大量のスラムが原因で上手く耕せず、水も汚れてばかり。
そんな過酷な状況下で、少なからずレジスタンスは存在する。生きる希望を捨てず、ただひたすらに抗い続ける彼らはノイドたちの希望の星だった。治安維持局が設立されるまでは。
「このテロリストども!」
治安維持局の劣兵たちは容赦なくレジスタンスを一掃する。
「一人逃げたぞ!追え!」
魔法で発生した炎を回避して退避したレジスタンスの一人は隠し通路を通って追ってを逃れた。
「ちくしょー・・・強すぎだろ・・・・・・」
腹部を撃たれた。銃撃魔法を受けたのは初めてだが、あんなの避けれるわけないじゃないか!
【応答しろ!陸!応答するんだ!】
通信が入った。陸は負傷した部分を抑えながら通信に応じる。
「ハァ・・・ハァ・・・こちら斑神・・・チームは全滅した・・・俺も負傷した・・・今トンネルを受けて病院に隠れている・・・」
病院と言っても、今となっては廃墟だ。病院だけじゃない。治安維持局のテロ鎮圧により東京外は完全な廃墟と化した。
【我々は今救助できない。Bルートを通って帰還しろ】
「りょ・・・りょうかい・・・」
一刻も早く逃げなければ。このままでは出血多量で死んでしまう。
陸はただ無意味に病院にきたわけではない。この怪我を治すとまではいかないが応急措置ぐらいはできる。
包帯や消毒液などは大量に残っていた。陸は応急措置を施す。
「・・・いくか・・・」
まだ痛むが文句は言えない。陸は病院をでて仲間のところに帰ろうとした。
だが、治安維持局に見つかってしまった。だっき陸のチームを襲った奴らだ。
「まだ子供だな。魔法を使えれば今頃はマイドとして高校に通えていただろうに」
そう言いながら劣兵は右手をかざした。
「死ね」
死ぬ。陸は死を覚悟した。だが・・・
「な、なんだ・・・!」
巨大な地響き。そして急にあたり一帯が暗くなった。陸はふと空を見上げる。
「なんだよ、あれ・・・」
巨大な物体が陸たちを見下ろすかのように浮かんでいた。